イブイブ映画日記、

自身の覚え書きのために-ネタバレ-

映画の構造分析/内田樹

2009年07月23日 | 
すべての小説は「人が歩いてきて穴に落ちて死ぬ」か「穴から這い上がる」の どちらかだという説がある。 これは極端な例えだが、どうしても書き込まなければならない、いくつかの「仕掛け」は間違いなく存在する。 良い人と悪い人が出てこなければ、良い人の良さは際立たない。 私たちはこの二項対立図式を終わりなく続けて今日に至っている。 国際政治も社会問題も物語を通じてしかメッセージは発信できない。 「真実のみを . . . 本文を読む

扉をたたく人

2009年07月19日 | 劇場映画
僕が君の心の扉をたたいてる。 君の心がそっとそっと揺れ始めてる ってな歌もありましたが、 ひょんなことから同居人となったふたり(大学教授とシリアから来た不法滞在青年)の交流を描いたとてもいい映画でした。 移民問題についても考えさせられますが、 やはり何といってもメインは、この老教授の心の再生でありましょう。 ジャンベ(アフリカン・ドラム)の腕が上達するにつれ 頑なだった教授は人を思いやること、理不 . . . 本文を読む

レスラー

2009年07月19日 | 劇場映画
レスラーとして名を馳せたのは過去のこと。 今や仕事もなく何をやっても上手くいかない。 おまけに心臓を悪くし、もうカムバックもできない。 それでも「俺の居場所はここしかない」と リングに戻っていくミッキー・ロークは まるで死に場所を求めてさまよう傷ついた獣のようだ。 ロープからダイブする瞬間で終わるラストシーンは 「明日に向かって撃て」のようでもあるし、 あのまま「燃え尽きて灰に」なったかも?と思 . . . 本文を読む

la la laの裏側

2009年07月11日 | 日記
3チャンネルの「佐野元春 ソングライターズ」 ゲストは小田和正。 言葉にこだわる元春と、メロディーにこだわる小田さん。 「名曲『言葉にできない』の『la la la』というスキャットは  想いが深すぎて文字通り言葉で言い表せないから、こうなったのでは?」 と、元春が質問したが深読みし過ぎじゃな~い? 小田さんはつくづく理数系だな~と思う。 曲作りは、コード進行、メロディー、歌詞の順だと何かで読んだ . . . 本文を読む

村上春樹にご用心

2009年07月09日 | 
内田樹/著 村上春樹についての内田氏の考察。大変興味深い。 中でも特に、サリンジャーへのこだわりに絡めて 次のように言及している箇所に、成る程と思った。 こう言われてみれば、村上春樹の仕事はまさにキャッチャーではないか! (遅まきながら気づく私でした)。 本文26頁より「お掃除するキャッチャー」 「エマ」を読むと、こういう仕事は全部メイドがしている。 ご主人さまたちはご飯を食べたり、葉巻を吸 . . . 本文を読む

それでも恋するバルセロナ

2009年07月05日 | 劇場映画
やっぱりウッディ・アレンはいいなぁ。 内面を深く見つめるような内容でもセリフにユーモアがあり、 スターを使ったりしてキャストも豪華で実に映画チックだ(「スペイン語教師の銃が暴発」には大笑い!)。 そして、毎回アテ書きでは?と思うほど役者の個性が生きている。 今回のスカーレット・ヨハンソン(クリスティーナ)、レベッカ・ホール(ヴィッキー)、 ペネロペ・クルス(マリア)、そしてキャラの濃いハビエル(ア . . . 本文を読む