すべての小説は「人が歩いてきて穴に落ちて死ぬ」か「穴から這い上がる」の
どちらかだという説がある。
これは極端な例えだが、どうしても書き込まなければならない、いくつかの「仕掛け」は間違いなく存在する。
良い人と悪い人が出てこなければ、良い人の良さは際立たない。
私たちはこの二項対立図式を終わりなく続けて今日に至っている。
国際政治も社会問題も物語を通じてしかメッセージは発信できない。
「真実のみを . . . 本文を読む
僕が君の心の扉をたたいてる。
君の心がそっとそっと揺れ始めてる
ってな歌もありましたが、
ひょんなことから同居人となったふたり(大学教授とシリアから来た不法滞在青年)の交流を描いたとてもいい映画でした。
移民問題についても考えさせられますが、
やはり何といってもメインは、この老教授の心の再生でありましょう。
ジャンベ(アフリカン・ドラム)の腕が上達するにつれ
頑なだった教授は人を思いやること、理不 . . . 本文を読む
レスラーとして名を馳せたのは過去のこと。
今や仕事もなく何をやっても上手くいかない。
おまけに心臓を悪くし、もうカムバックもできない。
それでも「俺の居場所はここしかない」と
リングに戻っていくミッキー・ロークは
まるで死に場所を求めてさまよう傷ついた獣のようだ。
ロープからダイブする瞬間で終わるラストシーンは
「明日に向かって撃て」のようでもあるし、
あのまま「燃え尽きて灰に」なったかも?と思 . . . 本文を読む
3チャンネルの「佐野元春 ソングライターズ」
ゲストは小田和正。
言葉にこだわる元春と、メロディーにこだわる小田さん。
「名曲『言葉にできない』の『la la la』というスキャットは
想いが深すぎて文字通り言葉で言い表せないから、こうなったのでは?」
と、元春が質問したが深読みし過ぎじゃな~い?
小田さんはつくづく理数系だな~と思う。
曲作りは、コード進行、メロディー、歌詞の順だと何かで読んだ . . . 本文を読む
内田樹/著
村上春樹についての内田氏の考察。大変興味深い。
中でも特に、サリンジャーへのこだわりに絡めて
次のように言及している箇所に、成る程と思った。
こう言われてみれば、村上春樹の仕事はまさにキャッチャーではないか!
(遅まきながら気づく私でした)。
本文26頁より「お掃除するキャッチャー」
「エマ」を読むと、こういう仕事は全部メイドがしている。
ご主人さまたちはご飯を食べたり、葉巻を吸 . . . 本文を読む
やっぱりウッディ・アレンはいいなぁ。
内面を深く見つめるような内容でもセリフにユーモアがあり、
スターを使ったりしてキャストも豪華で実に映画チックだ(「スペイン語教師の銃が暴発」には大笑い!)。
そして、毎回アテ書きでは?と思うほど役者の個性が生きている。
今回のスカーレット・ヨハンソン(クリスティーナ)、レベッカ・ホール(ヴィッキー)、
ペネロペ・クルス(マリア)、そしてキャラの濃いハビエル(ア . . . 本文を読む