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建築設計、施工

確認申請(建築確認)

2016年02月01日 | 建物と法律
記事投稿 2015年11月20日

建築物の建築等に関する申請及び確認 
基準法第6条

★施主と確認申請

住宅をはじめとして建物を建てようとする場合、その建物が法令に適合しているかどうか確認した上で工事に取りかかることになります。確認申請の義務を負うのは施主(建築主)になります。通常、設計図を作った建築士が施主の委任を受け申請業務を行います。建築基準法などの法令知識、施工に関する知識、工事予算など、こうしたものを総合的に判断しながら設計図にまとめる力が必要になるからです。


★特定行政庁(県知事、市長、町長)

特定行政庁というのは聞きなれない言葉ですが、47都道府県といった地方公共団体には全て、建築確認を行なう窓口が備わっています。建築確認を行う都道府県のことを、建築基準法上特定行政庁といいます。そのほか、市や町でも建築確認を行なうところ、行わないところがありますが、建築確認を行う市や町も特定行政庁になります。建築基準法では次のように定義しています。

第二条第三十五号
特定行政庁
建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。

建築確認を行なう役所は建築主事という責任者を置き、建築主事をトップとする専門部署が組織されます。この建築主事を設置した知事、市長、町長のことを特定行政庁といいます。

埼玉県には建築安全センターがありますが、ここは建築主事をトップとする建築関係の専門部署で、建築確認など建築に関する業務を行なっています。市や町が建築主事を置き、独自に建築確認を行なうところもあります。建築主事を置いた市や町も特定行政庁です。


★指定確認検査機関(民間会社)の設立

かつて建築確認は特定行政庁でしか行なえなかったのですが、1999年(平成11年)の建築基準法改正により、建築確認が民間会社でもできるよう門戸が開かれました。1995年(平成7年)阪神淡路大震災が起こりましたが、倒壊した建物を調査したところ、工事の手抜きや勝手に設計変更された建物が数多く、これらが建物の構造耐力を低下させていたのではないかという指摘がありました。こうして確認業務の強化徹底が図られることになりました。

ところが、建築行政に携わる職員の絶対数が不足していました。そのため建築確認(設計図での確認)は行なわれていても、完了検査(完成した建物の現場検査)が行なわれないというケースが多かったのです。役所だけでは確認業務がまかなえないので、民間会社でも建築確認ができるように、指定確認検査機関が作られることになりました。現在は、建築確認の窓口として、特定行政庁と指定確認検査機関の二つがあります。


以下、埼玉県HP『行政窓口』より引用 平成24年11月時点
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1106/madoguti/madogutiannai.html#tokutei

埼玉県内で特定行政庁となっている市と町

特定行政庁
建築確認に関する事務を全て行っている市

川口市
川越市
所沢市
越谷市
上尾市
草加市
春日部市
さいたま市
狭山市
新座市
熊谷市
久喜市

計12市 12市特定行政庁とも呼ばれる


限定特定行政庁
木造2階建住宅程度の小規模な建築物の建築確認事務を行っている市と町。木造以外の住宅や大規模な建築物の建築確認は県の建築安全センターが行う。

三郷市
入間市
富士見市
戸田市
八潮市
杉戸町
松伏町
吉川市
蓮田市
朝霞市
本庄市
深谷市
幸手市
日高市
蕨市
坂戸市
飯能市
志木市
和光市
桶川市
鶴ヶ島市
行田市
加須市
東松山市
鴻巣市
北本市
秩父市
羽生市
ふじみ野市
白岡市

計30市


都道府県は建築主事を置き建築確認の事務を行わなければならないので、必然的に特定行政庁になります。市や町でも建築主事を置き建築確認の事務を行うところは特定行政庁(限定特定行政庁)になります。


★指定確認検査機関(民間会社)

(1)埼玉県知事指定機関

(株)埼玉建築確認検査機構

計1社


(2)国土交通大臣指定機関、関東地方整備局長指定機関
埼玉県内を業務区域とする指定確認検査機関 H26.12.19時点
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1106/madoguti/documents/shiteikakuninn261219.pdf

一般財団法人さいたま住宅検査センター
一般財団法人日本建築センター
一般財団法人日本建築設備・昇降機センター
日本ERI(株)
一般財団法人住宅金融普及協会
(株)東日本住宅評価センター
(株)東京建築検査機構
ハウスプラス確認検査(株)
(株)住宅性能評価センター
ビューロベリタスジャパン(株)
(株)都市居住評価センター
一般財団法人ベターリビング
(株)ビルディングナビゲーション確認評価機構
富士建築センター(株)
ユーディーアイ確認検査(株)
イーハウス建築センター(株)
一般社団法人日本住宅性能評価機構
(株)ガイア
(株)グッド・アイズ建築検査機構
(株)ジェイ・イー・サポート
日本建築検査協会(株)
(株)国際確認検査センター
日本確認センター(株)
(株)J建築検査センター
多摩確認検査(株)
アウェイ建築評価ネット(株)
(株)EMI確認検査機構
(株)確認サービス
SBIアーキクオリティ(株)
SGSジャパン(株)
日本建物評価機構(株)
(株)神奈川建築確認検査機関
(株)北関東建築検査機構
(株)高良GUT
(株)都市建築確認センター
(株)確認検査機構トラスト
(株)TSK建築確認安全センター
シー・アイ・ジャパン株式会社
AI確認検査センター株式会社
日本タリアセン株式会社
NIC確認検査株式会社

計41社


確認申請を特定行政庁(役所)に届け出るか、指定確認検査機関(民間)に届け出るかの選択は自由です。住宅の新築で住宅かし保険に加入するような場合、建築確認と同時にかし保険手続きができるので指定確認検査機関(民間)で確認申請をすることが多いようです。特定行政庁では、住宅かし保険の手続きができません。


★中間検査、特定工程

2005年(平成17年)マンションの耐震偽装問題が世間を騒がせたということがありました。事件の再発防止を目的として、2007年(平成19年6月20日)建築基準法が改正施行され『建築物に関する中間検査』として、3階建て以上のマンション(共同住宅)については、2階部分の床配筋、梁配筋の検査をすることが明記されました。この条文ではマンションへの規制強化を謳っているだけで、戸建住宅、木構造についての規制はないのですが、県や市の条例で住宅、木構造にも中間検査を義務付けるところがあるので注意が必要です。

埼玉県告示第二百二十六号(木造に関する条文のみ抜粋)

・規制区域:12特定行政庁行政の区域を除く埼玉県全域
・新築、増築又は改築に係る部分が下記に該当する建築物
・主要構造部の全部又は一部を木造とした住宅(長屋、共同住宅及び住宅以外の用途を兼ねる建築物を含む。)で、地階を除く階数が3以上のもの(階数が5以上の混構造を除く。)
・特定工程:屋根工事を完了した時点
・特定工程後の工程:壁の外装工事及び内装工事

埼玉県では、3階建木造住宅は、中間検査として躯体検査(建方検査)が必要になります。12特定行政庁の区域では、県と異なる規制になっていることも考えられます。市条例についての確認もお忘れなく。


★確認申請手数料

埼玉県の場合

100<床面積≦200m2 (例)

確認申請 24,000円
中間検査 23,000円(3階建て木造住宅は必要になる)
完了検査 23,000円


★確認申請と住宅かし保険の流れ

施主(建築主)は、工事をする前、建築主事に設計図面を提出します。その建築工事が法令に適合していると確認された場合、建築確認済証を交付してもらいます。これで工事に着手することが可能になります。工事完了時には完了検査を受け検査済証の交付を受けます。3階建て木造住宅の場合、中間検査が必要になります(埼玉県条例)。住宅かし保険では現場での検査が1~2回行われます。






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