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はつゆき型護衛艦

2012年04月16日 15時50分14秒 | 防衛省装備

ご案内

 

はつゆき型護衛艦  (はつゆきがたごえいかん)

JMSDF DD HATSUYUKI class
海上自衛隊の汎用護衛艦

オール・ガスタービン機関を採用し、ヘリコプターや各種ミサイルなどの兵装を
バランスよく搭載するなど、当時の欧米のフリゲートと比較しても遜色のない護衛艦として評価されている。

 (右から)
護衛艦「はつゆき」 (DD-122 / はつゆき型護衛艦1番艦)/第11護衛隊(横須賀基地)
護衛艦「さわゆき」 (DD-125 / はつゆき型護衛艦4番艦)/第11護衛隊(横須賀基地)
護衛艦「しらゆき」 (DD-123 / はつゆき型護衛艦2番艦)/第11護衛隊(横須賀基地)

計画
第4次防衛力整備計画(4次防)を終えた1977年度計画において、海上自衛隊は次代を担う新型護衛艦の整備に迫られた。当時としては、草創期に建造したはるかぜ型、あやなみ型、初代むらさめ型などの退役が間近に迫っており、これらの代艦が必要となっていた。

また、このころ海上自衛隊は護衛艦隊を近代化する新たな戦術単位として、いわゆる「八八艦隊」構想を固めていた。これは、ヘリコプター3機を搭載するヘリコプター護衛艦(DDH)1隻、艦隊防空に従事するミサイル護衛艦(DDG)2隻、汎用護衛艦(DD)5隻からなる護衛隊群(護衛艦8隻、ヘリコプター8機で『八八』)4個群を整備するもので、その具体化にはDD20隻の新造が必要だった。これがはつゆき型12隻及び、その拡大改良型のあさぎり型8隻である。

計画に当たっては、4次防で計画されたものの実現しなかった、3,600トン型対艦ミサイル搭載汎用護衛艦(DDA)及び、ガスタービン搭載の2,500トン型対潜護衛艦(DDK:やまぐも型の最終艦「ゆうぐも」で代替された)の中間的な艦として構想された。


機関

 本型の最大の特徴は、海上自衛隊初のオール・ガスタービン推進方式の採用にある。軽量で瞬発性・整備性に優れた航空機転用型ガスタービンの搭載は1970年代後半当時、すでに列国の趨勢となっていた。

本型では高速用・巡航用2種を組み合わせたCOGOG方式を採った。これは、イギリスの42型駆逐艦に範を取ったものであり、エンジン構成もこれに準じたものとなっている。なお、イギリス海軍においては、21型フリゲートで採用されたCOGOG構成を42型駆逐艦、さらには22型フリゲートのバッチ2に至るまで採用し続けており、本型の機関はこの系譜の傍流と言えるものである。

護衛艦へのガスタービン採用は、これもまた「いしかり」と軌を一にしたものだったが、同艦はディーゼルエンジンと組み合わせたCODOG方式であり、オール・ガスタービンの採用は本型が自衛艦として初めてである。

 

C4Iシステム [編集]詳細は「海上自衛隊のC4Iシステム」を参照

本型は、海上自衛隊のワークホースにおいて、初めてセンサー・武器を戦術情報処理装置と連接し、戦闘システムを構築したシステム艦であるという点で、極めてエポックメイキングな艦である。また、その戦闘システムの構成は、その後たかなみ型に至るまで基本的に変化せず、その原型となった。

戦闘システムの中核となる戦術情報処理装置はTDPS(Tactical Data Processing System)と呼称され、正式名はOYQ-5である。海上自衛隊がこれまで使用してきたOYQシリーズの戦術情報処理装置は通常、大型のCP-642やUYK-7といったコンピュータを使用してきたが、スペース的な制約から、OYQ-5は小型コンピュータであるUYK-20を1基のみ使用しており、これと4基または5基のOJ-194Bワークステーションを組み合わせていた。

OYQ-5の能力面の限界から、本型は戦術データ・リンクとして、標準的な双方向リンクであるリンク 11を搭載できなかった。このため、本来はラジオテレタイプでの受信用であるリンク 14を通じて受信した情報を入力するという変則的な方式を採用している。この手法は、OYQ-5以外には使用されず、また世界でも日本以外には採用例のない、極めて独特なものである。

 対空戦闘システム [編集]本型は、シースパローIBPDMS、62口径76ミリ単装速射砲、高性能20mm機関砲と3重の対空火網を備えており、従来の海上自衛隊の対潜護衛艦(DDK)・多用途護衛艦(DDA)に類を見ないレベルの個艦防空力を具備している。また、それらの火器は、OYQ-5を中核として連接され、半自動システムを構成している。そのサブシステムは下記のとおりである。

対空戦闘システム [編集]本型は、シースパローIBPDMS、62口径76ミリ単装速射砲、高性能20mm機関砲と3重の対空火網を備えており、従来の海上自衛隊の対潜護衛艦(DDK)・多用途護衛艦(DDA)に類を見ないレベルの個艦防空力を具備している。また、それらの火器は、OYQ-5を中核として連接され、半自動システムを構成している。そのサブシステムは下記のとおりである。

OPS-14二次元対空捜索レーダー
OYQ-5戦術情報処理装置
FCS-2射撃指揮装置
シースパローIBPDMS (NSSMS)
62口径76ミリ単装速射砲
経空脅威に対しては、まずOPS-14対空捜索レーダーで目標を探知・捕捉したのち、その諸元をOYQ-5戦術情報処理装置に手動で入力、オペレータが情勢を判断して攻撃の優先順位を決定したのち、攻撃する目標の諸元をFCS-2に手動で入力、シースパローIBPDMSまたは76ミリ速射砲による攻撃に至る。

このうち、シースパローPDMSについては、先行して搭載したしらね型ヘリコプター搭載護衛艦がBPDMSを採用していたのに対し、新型のIBPDMSを採用しており、射撃指揮装置も国産のFCS-2-12型となっている。また、76ミリ砲は、同年度計画で建造された「いしかり」とともに初の導入であり、その射撃指揮には、やはり国産のFCS-2-21が使用される。

さらに1979年度計画の3番艦「みねゆき」からは近接防空火器 (CIWS;Close-In Weapon System) として高性能20mm機関砲2基を搭載し、1・2番艦にも就役後に後日装備された。なお、OYQ-5からファランクスCIWSに対する干渉は必要最小限であり、基本的には独立したシステムとして攻撃を実施することになる。

 

対水上戦システム [編集]本型の特徴の一つが、ハープーン艦対艦ミサイルによる長距離対水上打撃力を備えたことにある。これは、同じ77年度計画の小型護衛艦 (DE) 「いしかり」と同時に導入された新装備であり、護衛艦隊配備の護衛艦としては初の装備であった。ハープーンは4連装のMk 141発射筒2基に収容されて、艦中央部の煙突脇に搭載されており、その射撃指揮を行なうSWG-1 HSCLCSを介してOYQ-5に連接されており、目標諸元の入力を受けることになる。

対水上戦において、本型が使用する主要なセンサーはOPS-18対水上レーダーである。また、レーダーを作動させることが危険な状況においては、NOLR-6C ESM装置やデータリンク(リンク14)からの情報に基づいて攻撃が実施されることになる。

対潜戦闘システム [編集]本級の対潜戦闘システムは、基本的には従来の対潜護衛艦(DDK)・多用途護衛艦(DDA)の発展型であるが、いくつかの点で大幅な性能の向上がなされている。

本型の主たる対潜センサーは、船体装備のOQS-4ソナー、OQR-1曳航ソナー(TACTASS)、および哨戒ヘリコプター装備のディッピングソナーとソノブイである。このうち、ソノブイからの情報のみがOYQ-5に入力されて処理を受け、それ以外のセンサーからの情報は、いずれも水測員によって処理された上で、直接に水中攻撃指揮装置SFCS-6Aに移管される。なお、OQR-1曳航ソナーはアメリカのAN/SQR-18 TACTASSの日本版であると考えられており、長距離での敵潜水艦の探知が可能である。また、OQS-4は、従来のDDA、DDKが艦首装備式(バウ・ソナー)を採用していたのに対し、艦底装備(ハル・ソナー)としたため、艦首の形状は通常のクリッパー型となっている。

一方、対潜攻撃兵器としては、従来より使用されてきたアスロック対潜ミサイルの8連装発射システムMk 16およびHOS-301 3連装短魚雷発射管に加え、搭載するヘリコプターの短魚雷を使用することができる。従って、本型は長射程においてはヘリコプター、中射程においてはアスロック、短射程においては短魚雷と3段構えの対潜火力を行使することができるが、これは、同世代の欧米の同級艦と比して極めて強力なものである。特に対潜ミサイルについては、オランダ海軍のコルテノール級、西ドイツ海軍のブレーメン級など当時盛んに建造された列国の3,000トン級フリゲート(いわゆるStandard Frigate)には無い装備である。また、従来の護衛艦装備のアスロック発射機が人力装填であったのに対し、艦橋構造物下部の弾庫から直接次発装填する方式に改められている。ダメージコントロールの配慮として、弾庫が何らかの原因で爆発しても艦橋が破壊されないよう、艦橋の側面の壁には円形の小窓が各6個づつ設置されている。

これらのうち、アスロックおよび短魚雷発射管はSFCS-6A水中攻撃指揮装置によって統制を受ける。一方、本型の搭載する対潜哨戒ヘリコプターは、アメリカ海軍のLAMPSとは異なり、かなり高度な独立作戦能力を有しており、固有のディッピング・ソナーからの情報に基づいて攻撃を実施することもできるが、LAMPSと同様、母艦からの統制のもとで攻撃を実施することもできる。

 

あさゆき(ローマ字:JS Asayuki, DD-132)は、海上自衛隊の護衛艦。はつゆき型護衛艦の11番艦


 遍歴 [編集]上述のように本型はわずか5年で12隻(準同型艦を含めれば20隻)が建造され、護衛艦としてはちくご型DEの11隻を上回る大量建造の記録を樹立した。これは既に述べられているように海上自衛隊創設期の艦艇の大量除籍に対応したポスト4次防に伴うものである。51大綱の影響は、後継のあさぎり型における大型化やP-3C哨戒機の調達数増加にみることができる。

本型の最大の弱点は、3,000トンの艦体にあれもこれも詰め込んだことによる余裕の無さとする意見があるが、これは問題の主客が逆転している。現代の汎用駆逐艦として必要な要素(ガスタービン主機、システム艦、ミサイル装備、ヘリコプター搭載)は確定しており、それを安価に達成するために排水量の縮小(基準排水量で3,000トン以下が至上命令とされた)と発達余裕の放棄、艦齢延長の可能性の断念等を呑んだ設計としたものである。この最小艦型への要求は、調達時期が四次防終了後の単年度会計であったことも関係している。のちに51大綱の制定によって、単価よりも定数が重視されるようになると、基準排水量で2950トンという「ぎりぎり2000トン台」にする必要性が薄れ、8番艦から排水量が100トン増加している。

海上自衛隊は創設期からアルミ上構の艦艇の建造経験を持ち、また75年のミサイル巡洋艦「ベルナップ」の衝突火災事故の報からもアルミ製上構の脆弱性を熟知していたが、財務当局からの建造費低減要求に応えるためにあえてアルミを採用していた。51大綱の制定によって中期的な防衛力の整備計画の目処が立ったことから個艦ごとの建造単価の極端な低減への圧力が減ったことから、1981年度計画の8番艦「やまゆき」からは上部構造物の鋼製化が図られた。材質の変更やバラストの搭載などによって基準排水量は100トン増えて3,050トンとなっている(83年度計画艦からは拡大改良型の3500トン型護衛艦あさぎり型に移行)。また電波妨害装置(ECM)や衛星通信アンテナを追加搭載するなど、逐次近代化を図っている。

むらさめ型、たかなみ型といった新時代のDDが就役するにつれ、本型は護衛艦隊傘下の護衛隊群を離れ、地方隊に転籍していった、この際に哨戒ヘリコプター搭載運用を引き揚げている。最終艦「しまゆき」はいち早く練習艦に艦種変更された。就役から20年を超過し、本型は今後、順次退役してゆくことになると見られているが、2008年3月の大改編に伴い、地方隊から護衛艦隊(司令部:横須賀)直轄所属の護衛隊に転籍となり、これと同時に哨戒ヘリコプター搭載も復活し、現在も第一線で活躍している。平成23年度からは艦齢延伸も始まった。

☆☆

2012 04 12 中国機が東シナ海で警戒監視中の海自護衛艦に接近 【テレ朝】
 12日午後0時9分ごろ、東シナ海の日中中間線の東側で、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」に中国の航空機が水平距離、高さとも50メートル、実際の距離でわずか70メートルまで接近

 


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