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メキシコリスク現実に、トランプ氏トヨタも批判 業界に緊張感2017年1月10日
[東京 6日 ロイター] - 雇用を守り「米国第一主義」を掲げるトランプ次期米大統領の相次ぐ発言で、自動車メーカーのメキシコ事業リスクが顕在化してきた。日系メーカーは現時点では戦略変更はせず、トランプ氏の政策を注視する構えだ。ただ米国企業だけでなく、日本企業のトヨタにも批判が及び、同氏の本当の狙いは日本製の車なのではとの声も業界から出始め、緊張感が高まっている。
メキシコ生産「あり得ない!」
「トヨタ自動車は米国向けの『カローラ』を生産する工場をメキシコのバハに新しく建てると言っている。あり得ない!米国に工場を建てるか、高い関税を支払え」――。トランプ氏は米国時間の5日、短文投稿サイトのツイッターでつぶやいた。
トヨタの新工場建設予定地はバハ・カリフォルニア州ではなくグアナファト州で、同氏の発言内容は事実と一部異なるが、同社は昨年11月に起工式を開いたばかりで、2019年の稼働に向けてすでに建設に入っている。総投資額は約10億ドル、生産能力は年20万台で、現地で約2000人を雇用する計画だ。
今のところメキシコに工場を構える日系メーカー各社は大幅な戦略変更の予定はない。ただ、関係者によれば、ホンダは日本で生産する米国向け小型車「フィット」をメキシコ生産に集約する計画があったが、日本からの輸出をいままで通り続ける。また、今年からメキシコで増産する計画のある米国向け多目的スポーツ車(SUV)「HR―V(日本名:ヴェゼル)」も、日本からの米国輸出を検討している。
トランプ氏は3日に米ゼネラル・モーターズがメキシコで「シボレー・クルーズ」を生産していることをツイッターで批判し、「米国で生産するか多額の関税を支払うべき」と警告。すでに米フォード・モーターが同日、米国での雇用が奪われるという同氏による批判を受けて18年稼働予定のメキシコ新工場計画を撤回し、米国内の既存工場の能力増強に計画を変更している。
日産に影響大
トランプ氏の対メキシコ政策で日系メーカーの中でもっとも影響が大きいとみられるのは日産だ。同社は小型セダン「セントラ」や「ヴァ―サ」を中心に米国へ輸出している。同社の80万台規模のメキシコ生産のうち約半分が米国向け。自動車専門家によれば、米国での販売台数のメキシコ生産比率は日産は約25%で、トヨタ、ホンダは10%以下。マツダは、米国販売台数の約3割がメキシコ生産車となっている。
トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や対メキシコで35%の関税引き上げを公約にしている。JPモルガン証券の試算によると、NAFTA関税引き上げに伴う業績への影響は、日産が最大で、次にマツダ、ホンダ、トヨタの順だ。
ただ、特にトヨタとホンダについては世界生産に占めるメキシコ生産比率が5%以下と小さく、現時点ではリスクは小さいとみている。
一方、すでに各社は米国での雇用確保に貢献しているのも事実だ。昨年の米国での生産はトヨタ、ホンダ、日産の3社だけで400万台を超える。同氏のツイッターでの批判を受けて、トヨタは「メキシコへの投資によって米国の雇用は減らない」との声明を公表した。同氏からの批判を受ける前、日本時間の5日には豊田章男社長が政治情勢に関係なく米国での増産はいつも考えていると述べた。
「トヨタ=日本」へのメッセージか
トランプ氏がトヨタを名指しして批判した理由は不明だが、自動車業界のトランプ氏に対する警戒感はメキシコ政策にとどまらない。同氏の発言は「トヨタへのメッセージというよりも、日本へのメッセージととらえるべきでは」との声も出ている。
同氏はメキシコというカードを使って、実は日本製の車という本丸を狙っているのではないかという危惧だ。米国販売に占める日本で生産した車の比率は、ホンダや日産は10%以下だが、トヨタは約40%。トランプ氏がここにも高い関税をかけるような事態となれば大打撃になる。
日産は50年前、同社初の海外生産拠点としてメキシコ工場を建設。ホンダも30年以上前にメキシコに進出し、二輪も生産する。14年から稼働を始めたマツダも「重要な生産拠点に変わりはない」と強調する。ある日系メーカー幹部は「各社とも長い時間をかけて意思決定してきた経営判断。戦略をすぐに変えるなんて無理だ」と本音を漏らす。
20日のトランプ氏の大統領就任まであと約2週間。自動車と関連業界全体が同氏の言動を固唾(かたず)を飲んで見守っている。
(白木真紀、田実直美 編集:内田慎一)
http://diamond.jp/articles/-/113734
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