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<分析>
◇戦略見直し、脅威は中国
国際石油開発帝石と経済産業省がイランのアザデガン油田からの完全撤退の方針を固めたのは、核開発疑惑のあるイランへの制裁措置で強硬姿勢を崩さない米国に配慮せざるを得なかったためだ。エネルギーの安定確保に向け、石油の自主開発比率を高めようとしている日本には痛手で、政府の資源戦略は見直しを迫られている。【立山清也】
日本企業が権益を持つ油田やガス田から生産した原油・天然ガスは09年度に124万バレルで、日本の輸入量に占める比率(自主開発比率)は23%。08年から試験的な生産を始めたアザデガン油田は含まれていない。政府は30年に自主開発比率を40%まで高める目標を掲げており、権益が10%に縮小したとはいえ、埋蔵量が豊富なアザデガン油田からの撤退は目標を遠のかせる。
政府は9月3日にイランへの追加制裁を閣議了解したが、原油輸入の規制を盛り込まなかった。経産省には「日本がアザデガン油田の権益を手放せば、中国が獲得する可能性が高く、米国からはこれ以上の権益縮小は求められない」との楽観論もあった。だが、米国の姿勢は強硬で、こうした甘い見通しも打ち砕かれた。
日本は原油輸入の約9割を政情不安定な中東に依存しており、日本企業は海外での自主開発を進めてきた。中東だけでなく、欧米や東南アジア、オーストラリアなどに自主開発を拡大、リスク分散を図ってきた。
だが、新興国のエネルギー需要の増大を背景に自主開発競争は激しさを増している。なかでも中国は国際社会で孤立するイランに接近し、日本が06年に手放したアザデガン油田の権益などの確保を図ろうとしている。米欧と距離を置くスーダンなどにも資源外交を展開する中国のしたたかな戦略は日本の脅威と言える。
また、今後深海での油田開発の重要性が増していくとみられるが、メキシコ湾での英石油メジャーBPの原油流出事故で、より高度な安全対策が不可避となっており、米欧メジャーに比べ技術力、資金力に劣る日本にとっては難題だ。
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■ことば
◇アザデガン油田
イラン南西部のイラク国境近くに位置し、日本がイランで権益を持つ唯一の油田。埋蔵量は世界最大級の260億バレルと推定されている。04年に政府系の資源開発会社、国際石油開発(現・国際石油開発帝石)が75%の権益を獲得したが、イランの核開発疑惑で米国は日本の投資に反対し、日本は06年に権益を10%に縮小した。08年にイラン側が試験操業に着手し、日量4万5000バレルを生産しているが、本格生産には至っていない。
【関連記事】
毎日新聞 2010年10月1日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20101001ddm002020054000c.html
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
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