19日付新華社電によると、米中間で「オバマ」大統領の中国語標記をめぐり、対立が発生した。米国側は、原語の発音に比較的近い「欧巴馬(オウバマ)」の標記を要望。中国語は、すでに定着した「奥巴馬(アオバマ)」の方が「不都合が少ない」として、双方の意見は一致していない。
中国語では、外国人名や地名などの固有名詞が漢字で標記することになる。それまで知られていなかった語が登場した場合、まずいくつかの標記が登場し、時間の経過とともに、自然に統一される場合もある。
米オバマ政権は、漢字表記についてことのほか神経質で、中国で「ホワイトハウス」の呼称として定着している「白宮」もふさわしくないとして、訂正を求めたことがある。「米国に宮殿はない」との理由で、「白屋」と呼んでほしいと求めた。ただし、中国で表記を変更する動きはない。
「オバマ大統領」については、在中国米国大使館の広報官が「発音が原音により近い『欧巴馬』を使ってほしい」との考えを示した。
一方、中国政府関係者は、中国で普及している「奥巴馬」では、原語との発音にやや距離があることを認めたが、「欧」の文字にはいくつか不都合があるとして、米大統領の姓の表記として使うことに、難色を示した。
まず挙げたのは、日本語の「オバサン」に由来する「欧巴桑(オウバサン)」との語が中国人の一部で広まっていることだ。「年配で、それほど上品ではない女性」のイメージがあり、「文字構成が似ているので、米大統領のイメージが『欧巴桑』と重なりかねない。それでは失礼に当たる」という。
また、中国でヨーロッパは「欧洲」と表記するので、米大統領名として使うと混乱しかねないという。中国政府関係者は、「奥」の文字には「深み」との意味があり、「私個人も、好きな文字だ」と説明した。
◆解説◆
中国では、外国語の固有名詞を漢字表記する際、中国語の方言差による「不合理さ」が生じる場合もある。たとえば、国名のスイスは「瑞士」は標準語では「ルイシ」と発音され、原語発音とは相当に違う。「瑞士」は、広東語での表記が中国全土に広まった。広東語での発音は「シュイシ」で原語発音に比較的近かった。
国外地名の中国語表記では、意訳の場合もある。アイスランドは「氷島(ビンダオ)」、太平洋のミッドウェー島は「中途島(ヂョントゥーダオ)」と呼ばれる。