炎の抗議
焼身自殺をする人は、ほとんどいない。
苦痛を伴い死後の見た目は最悪だ~映画に出てくるゾンビの様で、異臭もする。
しかし、焼身自殺ほどインパクトの大きいものはない。
自分の周りに対する影響力が大きいので、
世間や家族に何かを訴えたい場合に限り
この方法を選ぶ理由が在るのかもしれないが、
皮膚の3分の1以上が壊死すれば約50パーセントの確率で死ぬ
皮膚の3分の2以上が焼身ならほぼ間違いなく死ぬ事になる。
しかも焼身自殺で、もし死にきれなかった場合は、
後遺症は他の自殺方法と比べ物にならないくらい~辛く苦痛の伴うものである。
手間もかかる、準備するものとしては、ライターとガソリンか灯油である。
衣類によく染み込ませ、全身が覆われるように手で少しずつ体にかける
体全体を焼身させなけでばいけないからである。が、普通ここまではしない。
焼身に即死はない。体の大半が焼身したとしても、病院に運ばれ~しばらくしてから死ぬ。
この間ずっと~物凄い痛みに耐えなければ死ねない。激痛と共にケイレンが全身に走る。
この死に方は、絶対避けるべきである。
・・・・こんな事を冷静に考える人なら、何もしないだろうが~・・・・・・・・・・
~当直の夜
消防署から連絡を受けたのは、深夜2時頃だった・・・・・
病院(精神科)から一時帰省し療養中の若い女性が、焼身自殺を図り
地元の病院では対応できないので、救急車で市外の県立病院まで搬送した。・・~との事。
まだ意識はある~自分でヤッタ事は間違いない。
一人で現場に駆け付けた。
田舎警察では、刑事当直は一人だ。
~応援に他の係が一緒に行くのだが、今日の当直員は当署随一のアホだ。一人の方がいい。
深夜の農村
過疎の村で深夜~民家を訪ねるのは、無人の集落をさ迷い捜し歩くのと同じだが、こんな場合
静まり返った集落に、一軒だけ灯かりが輝いている。
家人の主だった者は救急車と一緒に病院に駆けつけており、老人と子供から事情聴取するしかなかった。
この家には、二人の若い娘がいる。
年下の娘は、市外で定職に就き結婚して家庭を持っている。
共稼ぎをしながら子育てに励み家を構えるまでになった。
自分の子供~つまり両親の孫を連れ時々実家に帰る~どこの家でも孫は国宝にも勝る宝だ。
孫の言葉~孫の一挙手一投足~なにもかも素晴らしい。
孫がオナラをすれば大笑いになる。トイレにまで一緒に付いていく。
すべて笑いの中~期待の中~希望の中に~時が流れていた。
・・・・・・・・・年下の娘と、その子(孫)のための空間が無限に続く中で~
異次元の空間に取り残された一人がいた。
年上の娘の結婚適齢期は~都会ならともかく~過疎の田舎では~とうに過ぎていた。
しかも精神的な病で入退院を繰り返していた。
~田舎の眼と口は無言の上に残酷である。
・・・・どこそこの○○~と言えば、即座に知れ渡る。何の説明も必要ない。
○○の●●・・・・これで充分
氣印の●●・・・破滅的な風評が、のしかかる
風評は、全てを破壊して無言の暗闇を創りあげた。
その隣の空間に、年下の娘の子供… “孫” の天使は、背中に翼をつけて飛び回り
周りで、満面の笑顔をたたえた高齢者も宙を飛んでいた。
飛べない妖精には暗闇の中で、泥水が頭の上から浴びせかけられる様に落ちてくる。
泥がかかると、なかなか拭けない。~どうしようもない。~なんの方法もない。
この泥は、誰にも見えないのだ。~自分だけの泥・・・・・・・・・・・・・・・
・・・が、いい方法がある。
泥を何もかも燃やしてもらえばいい。
燃やせば何も残らないだろう~・・・なんにもない。
まぁ~タダやるわけにもいけないから・・・
母親をつかまえて口論を始めた~
口論と言っても、何のための口論か??ただ口で “論”を喋っただけだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それを日本語で端的にいえば「口論」さ
本人以上に周りの人は、娘が何を言っているのか意味不明。
ただ、家の事や孫の事を大きな声で怒鳴り散らせた。
怒鳴ったのは、縁側の先・・・~一家団欒の前~後ろは庭。
・・・そろそろ寝ろう~と思う矢先。家族全員がそろっている~…みんないる。
怒鳴った後、オートバイ用の燃料が入ったポリタンクを頭の上で逆さにした。
タンクのフタは無かった。ガソリンの量は、2リットルくらいか?
・・・・・・それより少ないだろう~すべて用意していた。
炎に包まれた体全体には、ものすごい激痛と灼熱感が走る。
耐えきれずに転び回ったり、走り回ったりするだろうが、娘は叫び声をあげその場に倒れた。
驚いた家族は一斉に飛び出し、無我夢中で火を消し救急車を呼び病院へ・・・・・・
確かに焦げて油が付いた箇所は一か所のみ~他にはない。
近隣の目撃者の証言・消防隊員からの報告も矛盾点は無かった。
明け方~本署へ帰り。
報告書を作成した。
この場合、自殺者は病院で治療中。死んだわけではない。
病院へ搬送され12時間以上生きている場合は、
A3位の用紙を二つ折りにした書類「簡易形式」で作成する。(今は知らない)
私は、ありのまま報告し~やっと朝飯にありついた。・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
刑事課に帰ってみると~みなさん雑談中。
私が寝ないで書いた「簡易形式」の報告書は
~肝心の部分は“はがき一枚分”より小さなスペースなので
小さな手書きの字で、最大限の内容を書いたものだが~・・・・・・
まだ刑事課長の机の上にあり~みなさん雑談中なので~そのまんまだった。
どうでもいいから、自分の仕事を進めていた~午前10時ころ
やっと課長さんの目にとまったらしく
「~これじゃぁ~ゼンゼンいかん・・・・・・・」
と、私が書いた書類を手にして、一言吐いた。
課長さんの “御心配” は
母親と“口論”の上(~その後)・・・焼身自殺を図った
との~全体の“流れ”である。
「口論したのであれば」・・・⇒“母親が火をつけた可能性・疑いが残る”
・・・・・・・・・これを県本部の指導官につかれる(質問・詰問を受ける)
県本部から注意を受ける可能性が有ることは、絶対に避けなければならない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~それは出世の鉄則だ。
・・・・・・・・・・こんな書類を作成する刑事は論外だ。(不適格)
口には出さないが、眼では~そう言っている。
要は「口論」の一文字である。
「口論」が有る “自殺” では困る。
全て了解した。・・・・・・・・・・書類一枚で、何もかも納得する組織さ、、
どうでもいいから~私は何も言わずに~新しい書類に、全てを書き直した~一枚の紙だ
「口論」は “省略” “抹消”
自殺者は~何も言わず~語らず~清く正しく・一人で~自殺した。
しかし
この地球上に、、、いや宇宙でもいい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・~何も言わず清く正しく “焼身自殺” する生命体が存在するのだろうか?
こんな疑問を持つ奴は、組織人としてフサワシクナイ。欠陥刑事だ。・・・・どうでもいい。
・・・・・・・・・・・・・・・その日は、早く帰って焼酎を飲んで寝た。
ただ~これが逆の場合
自殺に見せかけた殺人とか~
どう見てもオカシイ自殺~変死体~・・・・の場合。
はたして~現場の警察官は
最後の最後まで~自分の意見を組織の中で押し通す?だろうか?・・・たぶん無いだろう
焼身自殺をする人は、ほとんどいない。
苦痛を伴い死後の見た目は最悪だ~映画に出てくるゾンビの様で、異臭もする。
しかし、焼身自殺ほどインパクトの大きいものはない。
自分の周りに対する影響力が大きいので、
世間や家族に何かを訴えたい場合に限り
この方法を選ぶ理由が在るのかもしれないが、
皮膚の3分の1以上が壊死すれば約50パーセントの確率で死ぬ
皮膚の3分の2以上が焼身ならほぼ間違いなく死ぬ事になる。
しかも焼身自殺で、もし死にきれなかった場合は、
後遺症は他の自殺方法と比べ物にならないくらい~辛く苦痛の伴うものである。
手間もかかる、準備するものとしては、ライターとガソリンか灯油である。
衣類によく染み込ませ、全身が覆われるように手で少しずつ体にかける
体全体を焼身させなけでばいけないからである。が、普通ここまではしない。
焼身に即死はない。体の大半が焼身したとしても、病院に運ばれ~しばらくしてから死ぬ。
この間ずっと~物凄い痛みに耐えなければ死ねない。激痛と共にケイレンが全身に走る。
この死に方は、絶対避けるべきである。
・・・・こんな事を冷静に考える人なら、何もしないだろうが~・・・・・・・・・・
~当直の夜
消防署から連絡を受けたのは、深夜2時頃だった・・・・・
病院(精神科)から一時帰省し療養中の若い女性が、焼身自殺を図り
地元の病院では対応できないので、救急車で市外の県立病院まで搬送した。・・~との事。
まだ意識はある~自分でヤッタ事は間違いない。
一人で現場に駆け付けた。
田舎警察では、刑事当直は一人だ。
~応援に他の係が一緒に行くのだが、今日の当直員は当署随一のアホだ。一人の方がいい。
深夜の農村
過疎の村で深夜~民家を訪ねるのは、無人の集落をさ迷い捜し歩くのと同じだが、こんな場合
静まり返った集落に、一軒だけ灯かりが輝いている。
家人の主だった者は救急車と一緒に病院に駆けつけており、老人と子供から事情聴取するしかなかった。
この家には、二人の若い娘がいる。
年下の娘は、市外で定職に就き結婚して家庭を持っている。
共稼ぎをしながら子育てに励み家を構えるまでになった。
自分の子供~つまり両親の孫を連れ時々実家に帰る~どこの家でも孫は国宝にも勝る宝だ。
孫の言葉~孫の一挙手一投足~なにもかも素晴らしい。
孫がオナラをすれば大笑いになる。トイレにまで一緒に付いていく。
すべて笑いの中~期待の中~希望の中に~時が流れていた。
・・・・・・・・・年下の娘と、その子(孫)のための空間が無限に続く中で~
異次元の空間に取り残された一人がいた。
年上の娘の結婚適齢期は~都会ならともかく~過疎の田舎では~とうに過ぎていた。
しかも精神的な病で入退院を繰り返していた。
~田舎の眼と口は無言の上に残酷である。
・・・・どこそこの○○~と言えば、即座に知れ渡る。何の説明も必要ない。
○○の●●・・・・これで充分
氣印の●●・・・破滅的な風評が、のしかかる
風評は、全てを破壊して無言の暗闇を創りあげた。
その隣の空間に、年下の娘の子供… “孫” の天使は、背中に翼をつけて飛び回り
周りで、満面の笑顔をたたえた高齢者も宙を飛んでいた。
飛べない妖精には暗闇の中で、泥水が頭の上から浴びせかけられる様に落ちてくる。
泥がかかると、なかなか拭けない。~どうしようもない。~なんの方法もない。
この泥は、誰にも見えないのだ。~自分だけの泥・・・・・・・・・・・・・・・
・・・が、いい方法がある。
泥を何もかも燃やしてもらえばいい。
燃やせば何も残らないだろう~・・・なんにもない。
まぁ~タダやるわけにもいけないから・・・
母親をつかまえて口論を始めた~
口論と言っても、何のための口論か??ただ口で “論”を喋っただけだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それを日本語で端的にいえば「口論」さ
本人以上に周りの人は、娘が何を言っているのか意味不明。
ただ、家の事や孫の事を大きな声で怒鳴り散らせた。
怒鳴ったのは、縁側の先・・・~一家団欒の前~後ろは庭。
・・・そろそろ寝ろう~と思う矢先。家族全員がそろっている~…みんないる。
怒鳴った後、オートバイ用の燃料が入ったポリタンクを頭の上で逆さにした。
タンクのフタは無かった。ガソリンの量は、2リットルくらいか?
・・・・・・それより少ないだろう~すべて用意していた。
炎に包まれた体全体には、ものすごい激痛と灼熱感が走る。
耐えきれずに転び回ったり、走り回ったりするだろうが、娘は叫び声をあげその場に倒れた。
驚いた家族は一斉に飛び出し、無我夢中で火を消し救急車を呼び病院へ・・・・・・
確かに焦げて油が付いた箇所は一か所のみ~他にはない。
近隣の目撃者の証言・消防隊員からの報告も矛盾点は無かった。
明け方~本署へ帰り。
報告書を作成した。
この場合、自殺者は病院で治療中。死んだわけではない。
病院へ搬送され12時間以上生きている場合は、
A3位の用紙を二つ折りにした書類「簡易形式」で作成する。(今は知らない)
私は、ありのまま報告し~やっと朝飯にありついた。・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
刑事課に帰ってみると~みなさん雑談中。
私が寝ないで書いた「簡易形式」の報告書は
~肝心の部分は“はがき一枚分”より小さなスペースなので
小さな手書きの字で、最大限の内容を書いたものだが~・・・・・・
まだ刑事課長の机の上にあり~みなさん雑談中なので~そのまんまだった。
どうでもいいから、自分の仕事を進めていた~午前10時ころ
やっと課長さんの目にとまったらしく
「~これじゃぁ~ゼンゼンいかん・・・・・・・」
と、私が書いた書類を手にして、一言吐いた。
課長さんの “御心配” は
母親と“口論”の上(~その後)・・・焼身自殺を図った
との~全体の“流れ”である。
「口論したのであれば」・・・⇒“母親が火をつけた可能性・疑いが残る”
・・・・・・・・・これを県本部の指導官につかれる(質問・詰問を受ける)
県本部から注意を受ける可能性が有ることは、絶対に避けなければならない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~それは出世の鉄則だ。
・・・・・・・・・・こんな書類を作成する刑事は論外だ。(不適格)
口には出さないが、眼では~そう言っている。
要は「口論」の一文字である。
「口論」が有る “自殺” では困る。
全て了解した。・・・・・・・・・・書類一枚で、何もかも納得する組織さ、、
どうでもいいから~私は何も言わずに~新しい書類に、全てを書き直した~一枚の紙だ
「口論」は “省略” “抹消”
自殺者は~何も言わず~語らず~清く正しく・一人で~自殺した。
しかし
この地球上に、、、いや宇宙でもいい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・~何も言わず清く正しく “焼身自殺” する生命体が存在するのだろうか?
こんな疑問を持つ奴は、組織人としてフサワシクナイ。欠陥刑事だ。・・・・どうでもいい。
・・・・・・・・・・・・・・・その日は、早く帰って焼酎を飲んで寝た。
ただ~これが逆の場合
自殺に見せかけた殺人とか~
どう見てもオカシイ自殺~変死体~・・・・の場合。
はたして~現場の警察官は
最後の最後まで~自分の意見を組織の中で押し通す?だろうか?・・・たぶん無いだろう