2016年大河『真田丸』32話「応酬」のネタバレ感想のようなものまとめ。
家康くんがやりたい放題。ムカつくくらいにやりたい放題。
※ポリティカル大河って面白い。
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■露と消えた
【確定】出浦様、一命は取り留める
出浦様の生存情報(有馬温泉にて養生中)が出たのはいいことなのですが。
「仕向けたのあんただよね?なんでそんなことしたの?」
と息子たちに問いただされた昌幸。
「信濃を、信玄公の領地をこの手で取り戻す。そのためにはもう一度乱世に戻すしかない。しかしその夢も露と消えたわ」
露と消えた秀吉と、露と消えた昌幸の夢。
ごまかしきれない、ごまかしもできないタヌキが切ない。
■暗躍
本多正信に「今こそ天下を取るしかない」と言われた家康は……
「くどい!」と。
今はそれより秀吉のことを思いたい、そんな家康が後半、鋭い斬り味を効かせてきます。
今回暗躍するのはこのドス黒い本多サド守正信。
■佐吉の向こうに
さて、肝心の豊臣勢は、というと。
「まるで眠るようにすっとお亡くなりに」
嘘こけ、抜け作。
爆睡してたろーが。
唐入りしている兵たちが戻るまで葬儀は行わない、と三成。
その間壺の中で塩漬けになる殿下(この字面の破壊力ぅ)
そして迎える『豊臣家の正念場』。
三成は、「ごくたまに」誤った決断をすることがあるからそのときは正してくれ、と信繁に頼みます。
『佐吉のことを頼む』と言われた信繁。
三成の向こうに秀吉を思い浮かべてるのかな。
■家康、覚醒
豊臣が正念場なら徳川も正念場。
祈るように家康。
秀吉に許しを求めているのか、それとも安泰の世を継ぐと誓っているのか。
そして何か心に決めたような家康。
まずとりかかったことは、嫡男・秀忠を守ることでした。
「すぐに江戸に戻れ」と秀忠に伝えます。
真意を解っていない秀忠は「えってかなんで?」と返しちゃうのですが。
「たまには頭を働かせろ!」
家康、覚醒。
この理由についてのちに昌幸が解説をします、が。
「家康は息子共々ここで討ち死にしては徳川が滅ぶと考えた」
パッパはこう言っていますが『真田丸』の家康は、「徳川が滅んでしまう」ことももちろんなんだけど。
「秀吉に託された世」を守るためには秀忠を生き残らせることが必要だと考えたんじゃないかな、と。
先週、秀吉の隣で「戦はいやだ」と言っていた家康。
織田は滅ぼされた。
信長だけでなく信忠も。
豊臣は今空前の灯。
跡を継ぐ秀頼は幼く、また世が乱れようとしている。
そうなってしまっては元も子もない。
ならば徳川は……
家督を継ぐに十分たる嫡男がいる。
これを守らなければいけない。
「戦は厭にございます」を叶えていく大前提はそれだ、と
しかしこの血筋を守っていく話。
これもまた犬伏につながるのか。
しかも兄上に「さすが父上」って言わしちゃう。
マジ三谷サド筋脚本……
■ポリティカル大河
今回、いくつかのシーンで「これは最近『シン・ゴジラ』で観たぞ」というシーンがありました。
集まった5大老と5奉行。
三成が「老衆の方々よろしゅうございますか」と決をとっていくのですが。
宇喜多秀家、上杉景勝、毛利輝元、前田利長、そして徳川家康がテンポよく登場します。
しかも上に『老衆』っていうテロップ付き!
あれか、役職変わったからテロップ変えてくるんだな!
で、思わず「おおっ!」てなっていたのですが。
みっちゃん「マジめんどくさい」
■凝縮
この中でグイグイいくのが、件の覚醒家康なのですが。
まずその家康チームの阿茶様から寧様へ。
「石田殿が協力してくれない困ってる」と井戸端感覚で話します。
それを横で聞いていたきりちゃんが信繁に伝えたんでしょうね。
信繁は三成に、っていう伝言ゲーム状態。
直接話すシーンはなくとも「あっ信繁はきりから聞いたんだな」だし。
良くも悪くもそのまま伝わってるなと。
寧様は寧様で家康に「どういうことになってるの?」と。
家康は「きつく叱っておきますね」
今度は寧様が三成に同じことを聞くと。
三成は「それは共通認識のはずなんですが」と。
いらんシーンは徹底的に省いたけど、その結果として
「三成、政治的に負けてる……寧様からの信用失ってる」
ってのがしっかり伝わってくる。
■さんじゅうろう
ところで、信繁にお客さん。
お兄ちゃんの計らいで、三十郎がやってきました。
「源次郎さまー!」に慣れきっていた三十郎。
「『さえもんのすけさま』、言いづらいなあ」
うん言いづらい。
久しぶりに信繁に会えた喜びボンバーの三十郎。
信幸と信繁の話に興味津々。
「(えっなになに気になる)」
って身を乗り出しているから、「ひっこんでろ」って言われちゃって。
でも今回は引き下がらないんだもんねーって。
なんなの三十郎www
■全日本もう帰りたい協会
すっかり意気消沈してしまった昌幸。
「秀吉が死んだ。出浦が火傷した。そうだ、家に帰ろう」
──全日本もう帰りたい協会
三十郎から聞いた懐かしい信濃。
信濃をこの手に取り戻すべくここまでやってきたけれど……
明智光秀になってくれる素っ破はもういない。
聚楽第を攻め落とせるぞと言ってくれる素っ破はもういない。
そもそも明智光秀になって謀反を起こす豊臣秀吉がもういない。
攻め落とすはずだった聚楽第も指月伏見城ももない。
まさに昌幸の夢は秀吉の命と共にあって、それは露と消えたんだなあ。
18話『上洛』や26話『瓜売』のときとはまた違う。
気が付いたら「失っていた」真田安房守の背中。
■淋しい女子
茶々は信繁に、一緒に蔵に来てほしいとお願いします。
そこにあるのは秀吉の遺体。
殿下にふさわしくない場所、と話す茶々は思わず信繁の手を握り。
あれか、19話『恋路』のリフレインか。
この秀吉を見つめる『淋しい女子』を見て、声を聴いて、手を握って。
そういう彼女の思いを知った上で、秀吉を看取った真田信繁。
大坂の陣への伏線はもう幾筋も張られている。
■徳川パーリィ
徳川屋敷ではお昼間っからレッツパーリ―。
パーリーと言えば、ずんだ。
ずんだといえば。
「あっれー、ていうか殿下亡くなったって話聞いたんですけどマジっすかー?!」なノリの伊達政宗。
幹事・本多正信に「おいこら」ってされて、「ごめーんごめん、田舎モンだから許してっ」
マジ政宗、おい政宗。
(お前絶対確信犯だろ)
そんなずんだが「ねえねえこの膾かわいいんだけどー」って話を振ったのが。
マジ長宗我部おい長宗我部。
(これは天然味ありそう)
■石田パーr(以下略
そんな大盛り上がりの徳川パーリィの話をきいた三成。
で、やってみた結果。
……わかってはいたけどこれは辛い。
しかも言い出しっぺの三成が「やっぱ帰る」って言いだしたから空気戦慄。
秀吉が生きていたなら、ここにはもっと大勢の大名が揃っていたんだろうけど。
秀吉はもういないから。
しかも三成、呼んでおいて「帰る」はいかがなものかと。
このコミュニケーション能力の問題が、あと何週間後かに致命的なダメージになるんだろうなとも。
というか事務仕事ばっかりで頭の固い官僚VS根回ししてパー券ばらまく政治家の構図ががっつり。
■亀裂
そんな三成と家康の亀裂は、つまり信繁と信幸の亀裂。
信繁と信幸はそれをわかっているような印象で。
でもどうしようもできないのがあって。
それはきっと真田家を守るため/豊臣家を守るためで別れた風が、2人の間に吹いてるからなのかな。
■ファッションきりちゃんキリシタン
「あーつまんなかった」と帰ってきた細川忠興。
そのお屋敷に来ていたのはきりちゃん。
キリシタンになりたい、とガラシャに申し出るのですが、磔になる覚悟はないんだ、と。
ガラシャ「きりちゃん、覚悟ねえんじゃあやめとけや。まずは勉強な。とりあえず半年ROMっとけ」
(とは言っていない)
ガラシャはきりちゃんに対して「あなたはもう救われているのかもしれない」と言ったんですが、アレはどういう意味なんだろうって。
この先きりちゃんは信繁の側室になるわけだけど、そこに至るヒントになりそうなガラシャの言葉。
■ストレート剛速球ピッチャー返し
清正おかえりぃ!!
いよいよ正念場だ。
言いたいことは山ほどあるが今は豊臣家を守るときだ、と話すアツい2人。
三成の言った言葉ほぼそのまま繰り返しちゃう清正いいな。
三成が「おかえりパーリィーやるよ」って。
淋しいあのパーリィとは違って大賑わいの肥前名護屋城パーリィ。
それでもなお三成は「やっぱ帰るわ」とかKYなこと言いだすもんだから。
「今!!俺は!!お前と!!酒を!!のみたいんだよ!!!」
17話『再会』以来の、渾身のストレート剛速球を投げてきた清正に……
「私はのみたくない!!」
キャッチするどころか、ピッチャーの顔面に向かって打ち返しちゃったよ、みっちゃん……。
淋しいパーリィといいこの清正対応といい、キャッチボールが成り立ってないんですね。
人を不快にさせるといってもほどがある。
清正の悲しみを誰かがキャッチしてあげられればいい。
と思ったらそれをキャッチしちゃって、娘を嫁がせて、ついでに懐柔しちゃうのは家康だったっていう哀しみ。
■忠勝ジイジが清涼剤
ところで懸念案件だった信幸やや子問題。
忠勝ジィジに打ち明けようとしたら
「知ってたよ、うちの殿から聞いたよ」って。
「見上げた心根じゃ。その分稲を大事にしてくれればそれでよい」
ああそうか、この人稲ちゃんのことが大好きなんだった。
だから別に問題はないのか。
(→19話『恋路』)
ていうかこれもまた伏線になるんじゃねーの。
■殿下はまだ亡くなってはおらぬ
信幸の問題が一件落着して(でいいんだよね?)、信繁の話。
「話と違うんですがどういうことですか」って家康くんにおこな信繁。
「単刀直入にお尋ねします」
って多分リーガルハイの古美門先生も何度も言ってる台詞なんだろうけど、古美門味がないのが堺さんすごい。
遺言の話と違うじゃないですか、と問いただすんですが。
「しかし殿下はまだ亡くなってはおらぬ」
あ……うん、確かに。
葬儀はまだ行ってないし……。
オープニングのクレジットに普通に出てきたから一瞬「えっ」て思ったんですよ。
まさかそういう意味なのか?そうなのか?
『天下人としての豊臣秀吉』は30話で終わって、『一個人/一人間としての豊臣秀吉』は31話で終わって。
でもまだ『殿下としての豊臣秀吉』は死んでないって、そういうこと……?
壺の中で塩漬けになってもまだ死んでない、まだ死ねない。
そんな豊臣秀吉。
秀吉を近くで見てきた者としての信繁。
複雑な感情が渦巻いていそうな両者の表情。
■上杉の御屋形様!
三成はもう怒ってるし、ああもうどうしようって。
大谷パパンのアドバイスでやってきたのは上杉の御屋形様んち。
おうおう、かっこいいぞ。
(の後ろで直江が「おいおい、やめとけよ」みたいな顔してる)
三成が攻めるんだけど、タヌキ徳川には効いている様子がない。
それを見かねた景勝様。
おやかたさま「あとは我らに任せよ」
みつなり「えっ」
なおえ「(ああ……)」
でその景勝様。
懸命に攻めます。
「忘れたで済むような話ではない」
「えっなに?」
「忘れたで済むような話ではない…ような気がする」
「上杉くーん、はっきり言ってください?」
「何でもないです!!」
あああああ……。
あああああ……。
■源次郎キレていいよ
掟のことは忘れたのか!とつるし上げられる家康なんですが。
(景勝様の忘れた忘れないはこの話)
「御掟のこと忘れておったわ。年は取りたくないものですな。古き事は子細に至るまで克明に覚えておるというのに、新しきことはとんと忘れてしまうのじゃ」
ひどい。
先週までの秀吉のあの描写のあとに、この家康の言葉はひどい。
ムカつくとおりこしてひどい(褒めてる)
でも源次郎はキレていい。
「太閤殿下のご遺言を何と心得おるか!」
だからおまえが言うな。
……と言いたいところなんですが、家康も家康なりに考えての行動なんだろうなと。
自分が天下を取るとかいうよりも、いかにこの「嫌な戦のない世」を続けていけるか家康なりに必死。
体張ってIGAGOEとかもう勘弁。
だから、細かいルールは破るし煽るし脅すし。
必要最小限の死者はこの際気にしないし。
もしかして、家康って昌幸というより信繁のほうとよく似てるんじゃないか。
■夜討ちは卑怯じゃないよ
だがしかし。
そんな家康の真意を知る由もない三成にこんなこと言っちゃった。
「君側の奸の出る幕ではないわ」
※君主の側で君主を思うままに動かして操り、悪政を行わせるような奸臣。「君側」は主君の側、という意味。(Weblio辞書より)
秀吉のそばで常に秀吉を補佐してきた三成。
秀吉政権下では常に三成を通さなければ、事は進まなかった。
でもそれは決して君側の奸ではなかった、ということを知っているのはそれを見ていた者だけ。
ここにいる大多数が知るはずもないし、むしろここで君側の奸って人望厚い家康に言われたら、そっちのほうを信じてしまうかもしれない。
とはいえ、さすがに三成もブチ切れ。
徳川屋敷に夜討ちとな。
4年前「夜討ちは卑怯なり」って大失敗した保元の乱から学んだのかね。
あっ、『平清盛』の話です。
そして始まる、伏見のいちばん長い一日。
三成と信繁の手前に映り込むのは、秀吉から拝領した刀。
ああやっぱ秀吉生きてるんだ、まだ死ねないんだ。
■関ヶ原の先へ
関ヶ原への布石はもちろんなんですが、その先の大坂の陣、真田信繁の最期のシーンに向けて動き出している気がしてならない。
家康に初めて会った時(→4話『挑戦』)
沼田をめぐり、兄がふんばったとき(10話『妙手』)
父が苦しんだそのとき(18話『上洛』)を思い出すように。
緊張する秀吉がリハーサルを持ち出したとき(17話『再会』)
連れションしたとき(23話『攻略』)
「戦は大嫌いじゃ」と秀吉のそばで語っていたとき(31話『終焉』)
茶々や三成など豊臣勢との関わり含めて、家康と信繁の直接的関係も回収されてくんだろうなあ。
■次週『動乱』
オフショットかな?
■おまけ、あっちの長束こっちの長束
『 #真田丸 』新キャスト、長束正家さんがかっこいい感じに載ってますが、ここで『 #のぼうの城 』の長束さんを振り返ってみると「傲慢」「やらかした」「お労しくないしお美しくないしむしろムカつく」「勝頼様のそっくりさん」ってなもんだ。 pic.twitter.com/AvjsBvi8sk
— シン・ゆずず (@yuzu0905) 2016年8月8日
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