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「空想から科学へ」革命前のフランスの状態

2017-04-15 03:55:04 | 日記
「空想から科学へ」では、エンゲルスはフランス革命のことを取り上げています。前回、フランス革命はブルジョア革命だと書きましたが、革命の段階でいろいろな階級が登場します。フランスで革命前の社会がどんな社会で、その旧体制をどいう勢力がどんな連合をつくって倒したのかということを見ます。

 革命前のフランスは、絶対王政で、王様が全権限をもっていて議会がありませんでした。戦前の日本も天皇絶対君主制でしたが、フランスの場合はそれよりももっと古いものでした。国民の間では身分制によるすごい差別体制が敷かれていました。当時のフランスは人口約2600人、「10分の1税」という税金をかけて、国家を通じて収入の10分の1を納めさせていたキリスト教、カソリックの僧侶で総数12万人が全国の土地の10分の1を所有し「第1身分」。「第2身分」は、貴族の階級で40万人、税金は払わず最も優遇され全国の土地の10分の2を持っていました。それ以外は、「第3身分」として、それ以外の2,550万人、文字どうり98%の国民です。その国民の圧倒的多数は農民でした。

 この時代のフランスは、最大の都市パリが60万人ぐらい、同じころの日本の江戸が庶民が50万人、武士が50万人で合計100万人の世界最大の都市でした。

 当時フランスでは、第3身分の国民が圧倒的多数なのですが、身分制のもとでまったくの無権利状態でした。体制の危機がすすむごとに、税金その他で圧迫されて、暮らして行けなくなってゆきます。体制全体にガタがきて、マルクスが「経済学批判」の「序言」で言っている「生産関係が生産力発展の桎梏になる」といった状態が現れたのです。

 フランスの貴族や教会が、領地をおさえていて、その境界を超えた商品の流通に税金をかける。これでは国全体としての経済活動ができません。工業でも同職組合ギルドなどが権利を独占し、他のものの進出を抑える。
 イギリスの場合は、そんな制限がなく自由に経済活動が行われており、フランスとの経済活動での商業戦争では勝ち目がありません。
自由に経済活動をしたいというのが、フランスで成長しつつあった中産階級(ブルジョアジー)の最大の要求になっていきました。
 農民は、自分の土地を持つものも多くなってゆきますが、貴族の土地を借りなければ食べてゆけません。自立できるだけの土地をという要求が農民の一番強い要求となってゆきます。
 都市の民衆にとっては、最大の問題は生活苦であり、農業が不作になればたちまち食料の値段があがり生活苦が深刻になります。
 
 こうした第3身分の諸階層の上に君臨している絶対王政は、無駄使いの象徴でした。無駄使いのために財政がひっ迫すると新たな税金で人々をさらに苦しめました。18世紀の終わりごろには、フランスにおいて体制が危機的な状態に陥っていったのです。