夢実現研究会2009

団塊世代の生き方を考えよう。

いまの経済は、どのような状況か?

2009-03-16 13:17:30 | 経済的自立:投資
大恐慌入門:朝倉慶 前編
<<要約>>

まえがき
〇悲劇の幕はまだ、切って落とされたばかり
① 158年の歴史を誇ったリーマン・ブラザーズは、2008年9月15日にあっけなく倒産しました。
② CEOのリチャード・ファルドは、毎年200億円の報酬を受け、世界で最も尊敬されるCEOともてはやされた彼でしたが、今は無謀な投資の推進役として、一斉に世間の非難を受ける立場になったのです。
③ これを契機に、一気に金融の大崩壊が始まりました。AIGの危機、欧州の金融の連鎖危機、各国の公的資金導入と金融機関の国有化、アイスランドの国家破綻、ベラルーシ、ウクライナ、アルゼンチンなどの国家財政の危機。金融どころか国家破綻の問題にまで発展してきました。
④ なぜこんなことに?サブプライムローンとは、それほど大きな爆弾だったのか?
⑤ 実は今、もうすでに世界は金融崩壊しているのです。この1年で世界中の株価の時価総額は3000兆円ほど減少しました。半減したのです。世界のGDPの6割がなくなってしまったのです。日本のGDPは500兆円なので、日本の国が6つ世界から消えたようなものです。
⑥ しかも、これは株式市場だけの話であって、不動産などの他の経済的損失は含まれていません。負債は山のごとく膨らみ、それが全世界同時に発生し、まさに歴史上稀有な状況です。
⑦ これだけのことが起きているのは、それ相応の理由があるはずです。
⑧ どうしたら、あんな厖大な額を損できるのか?
⑨ しかも手に負える領域を遥かに超えてしまっています。一金融機関はもとより、国家でさえ対応できない状況にまで陥ってしまっているのです。

〇デリバティブという金融博打に熱狂したツケをこれから払わされる
① 世界中の大銀行が、全く警戒することなく、いとも簡単に資金を博打につぎ込んで、しかもその博打に負けることなどないと信じこんでいたのです。
② 金融工学の発展で、リスクはなく、確実に収益が取れると信じ込んでいたのです。
③ その博打に、自己資本の30~50倍もの巨額な資金をつぎ込んだのです。
④ 商業銀行には、自己資本比率8%という歯止めがあって、12.5倍までしか投資が出来ないのに、SIV(特定目的会社)というオフバランスの隠れ蓑を使って、証券会社に続けとばかりに、自己資本の30~50倍の投資に走ってしまったのです。
⑤ 自分で投資するノウハウがなければ、そのノウハウを持っていると思われるヘッジファンドに貸し付けたり、ファンドを買ったりしたのです。
⑥ その博打の総額は、6京円という天文学的数字です。
⑦ 普通の日本人なら、このデリバティブ市場の知識もなければ、やったこともない。
⑧ 普通に考えれば、そんな理解できない博打に投資することなどありえないことです。
⑨ 年収500万円の人が、1億円借金して、毎週競馬場へ行っている。最近は大儲けしているらしい。ということで私も10万円ずつ投資をした。そして3ヵ月後、すべてすってしまった。考えてみれば競馬の必勝法などあるわけないよね。夜逃げしたらしい。1億円も借金して、競馬やるなんてイカれている。よく言うよ、自分だって信用して投資したくせに。
⑩ この話と世界の金融機関がやったことは本質的に同じことです。この必勝法に当るのが金融工学です。訳のわからない高等数学を使って説明されると、本当のことのように思ってしまうのです。ちなみに微分方程式は、ある前提を土台に理論を展開する。従って前提が間違っていれば、すべてが間違ってしまう。
⑪ ゴールドマン・サックスがやっているから大丈夫、モルガン・スタンレーがやっているから完璧なはず、というふうに、圧倒的な名前とイメージに妄信した、ということです。
⑫ 財界首脳や政治家、役人は本当の意味での危機感を持っていません。この危機が人間の叡智で克服できると考えています。デリバティブの怖さとスケールの大きさを理解できていないからです。
⑬ これから来るものは、マネー社会の崩壊、デフレ不況の中の必需品だけの悪性インフレ、そして、それに伴う世界中の窮状からくる戦争なのです。

■世界はこれから未曾有の大恐慌に突入する。
〇デリバティブが大量破壊兵器に変わったことに、誰も気づいていない。
① 世界有数の富豪、ウオーレン・バフェットは、「デリバティブは大量破壊兵器である」と。
② マイロン・ショールズは金融工学でノーベル賞を受賞。しかし、1998年、LTCMロング・ターム・キャピタル・マネージメントで巨額な損失を出し、非難された。それほど、金融工学は不完全な理論だということです。
③ 今、世界は巨大なデリバティブ市場の崩れから、実質破綻状態にあります。
④ この状況が、日本の識者には理解できていません。なぜなら、デリバティブが理解できないからです。
⑤ 日本の識者はもちろんのこと、国内の証券会社の役員クラスでもデリバティブ取引などやったことがないはずです。実践がないことは致命的なことです。現場を知らない人の意見がどれほど的外れになるか自明です。
⑥ 今回の混乱の主因は、想定元本が6京円にものぼったデリバティブ市場の崩壊が問題なのですが、これが、経験がないためにまったくわからない。
⑦ 今、専門家と称している人は、6000億円の世界、通常の経済活動であるGDPの世界しか見えません。しかし、今回の経済危機は、従来の経済とは質的に全く異なるのです。
⑧ 専門家とは言っても、自転車が乗れるだけの人が、一度も自動車に乗ったことのない人なのに、車の運転とはこうするものだ、といっているようなものです。なんとも間抜けな話です。
⑨ しかも、そんな彼らの意見を鵜呑みにしているのが我々です。

〇CDSが崩れたら、世界は破滅しかない。
① 世界金融市場の現状:目に見える世界→株式市場、約3000兆円+債券市場、約5000兆円:目に見えない世界→デリバティブ6京円→CDS、5400兆円+住宅ローン、700兆円+債務担保証券、300兆円
② デリバティブの特徴→「金額が桁外れ」「デリバティブ取引がわかる人がいない」「6京円が崩壊」「デリバティブ取引は流動性がない」「デリバティブ取引は相対取引で、市場取引ではない」
③ CDSの想定元本は5400兆円で世界のGDPに匹敵。
④ CDS市場は相対取引。ゆえに保険を引き受けたほうは、損失が出たら保証しなければならない。しかし、保証しうる資金がなかったら?
⑤ 2007年のCDS市場は4400兆円。
⑥ 金融機関は保険を掛けて、どんどん証券化を進め、ヘッジファンドはこの保険の6割を引き受ける。
⑦ ヘッジファンドの運用資産は170兆円。
⑧ デフォルト率が4%になったら、4400兆円×0.6×0.04=105兆円
⑨ これだけ巨額のお金を払える能力があるか?
⑩ 世界最大の保険会社AIGは、このCDS市場のビジネスは危険だと判断し、2005年に撤退。
⑪ その後、このCDSの売り手に(保険の引き受け手)にはモノライン(金融保証専門の保険会社)各社とヘッジファンドが本格的に参入。
⑫ 2005年段階で撤退したAIGが巨額の損失を出しているのですから、後発組の損失は想像もできないほどです。

◆CDSクレジット・デフォルト・スワップ◆
① クレジット・デフォルト・スワップとは貸付債権の信用リスクを保証してもらうオプション取引であり、ある会社に無担保で貸付がある場合や、社債や売掛金などがあるばあい、その貸倒リスクを担保させるための保証契約であり、契約期間は5年が中心である。
② 期間は相対契約のため3年や7年など複数の契約があると考えられている。
③ CDSの代表的なものとしては、2者間(買い手と売り手)の間で結ばれた次のような契約である。
④ 買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。
⑤ プロテクションの買い手は売り手に定期的に(通常は4半期毎、契約時日割り、のち期日日払い)プレミアム(ないし保証料)を支払う。
⑥ 売り手は契約期間(通常は5年)のあいだに参照企業Aがデフォルト(債務不履行)した際に、あらかじめ決められたルールに従いその買い手の損失を補償する。
⑦ 参照企業が現実にデフォルトした場合、買い手が社債などの債券を保持したままCDSの契約者同士で現金のみで決済する場合と、売り手にひきわたして決済する場合があり、後者が主流である。ただし、契約上は現物決済であっても、実際にはISDAにより開かれるオークションによって決定される回収率(最終価格)に従い、カウンターパーティー間のエクスポージャーをネットした上現金にて決済されるケースが多い。参照企業に対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクを分散することが可能となる。

〇CDS問題に比べたら、サブプライム問題は、公園の散歩みたいなもの。
① 現状を例えると、年収700万円、預金が1000万円の家庭。お父さんが連帯保証人になって10億円の負債を抱えた。そんなとき、奥さんがパートに出て収入を増やしますか?子どもの塾をやめさせますか?食費も切り詰めますか?3%の利息だったら、年間3000万円の利子です。預金をすべて出しても利息も払えません。打つ手がないのです。
② 今、世の中で議論されていることは、これと同じです。破壊的な借金の額が見えてこないために、通常の解決策しか出てこないのです。
③ 時間はない、解決法もない。せめて現状だけでも認識して覚悟を固める必要がある。

〇企業破産どころか、今や世界各国に国家破産が連鎖し始めた。
① 現在は、市場の混乱から「質の逃避」ということで、米国債は投資の絶好の対象となっていますが、いずれFRBの資産の酷さが白日のもとになり、一気にドル暴落、そして世界の貨幣への信頼崩壊へと続くでしょう。
② 2008年10月、アイスランドが破綻、その後も次々に国家が財政危機に陥ってきた。スイスなども銀行の総資産が自国のGDPの7倍あり、崩壊への途上にあります。
③ アイスランドは、非常事態宣言を発令し、大手銀行を国有化しました。国有化した金融機関3行だけでも、その総資産額はアイスランドのGDPの9倍に達しました。これが国家破綻の姿です。
④ もはや金融危機を通り越して、国家破綻の危機へと局面は移りつつあるのです。
⑤ そして、アメリカのデフォルトまでに発展した段階で、自然に日本も破綻するしかありません。

〇FRBの資産内容の悪化がドル暴落の引き金を引くのはいつか?
① 2007年12月のターム資金貸付、2008年のベアー・スターンズ救済、米国債貸付、ファニーメイ、フレディマック救済、AIGへの9兆円の資金供給、68兆円の不良債権買い取りと、どんどん資金をFRBはつぎ込んできました。しかし、無尽蔵に資金があるわけではなく、いずれ、その歪が発生します。
② このFRBの資産劣化と米国の対応を考えると、いずれ米国債も暴落します。
③ そのように考えていくと、最後の頼りは商品しかありません。金ゴールドはその筆頭でしょうが、それ以上に穀物です。不況で職がなく、お金も使い果たし、そして食べ物も手に入らなくなったら、さらにそれが世界中で起こり始めたら、どうなっていくのでしょうか?

〇時価会計をやめたのは、SIVという巨大な爆弾を隠蔽するため。
① SIVは、実は大きな爆弾です。
② これが設立された経緯は、証券会社と銀行の自己費本比率の違いがもたらした。
③ ゴールドマン・サックスなどの証券会社の自己資本比率は緩かったのです。
④ これら証券会社は実質的に、大きなヘッジファンドで、まさに資金を調達して、レバリッジをかけ、あらゆる投資をすることで利益を生み出してきました。それに対してシティなどの商業銀行は、FRBの管轄下で、8%の自己資本比率の枠をはめられていました。このため証券会社のように多額の投資をすることができないでいたのです。
⑤ これを証券会社並みにする「魔法の杖」がSIVでした。
⑥ SIVは簿外であるのでなんにでも投資できるわけです。
⑦ このSIVにバックアップライン(銀行が保証する形)を作っておいて、CPコマーシャルペーパーで資金調達させたり、他行から借り入れをさせることでごまかしを続けてきたわけです。
⑧ この額は、500兆円あるといわれています。
⑨ こんなものを今、表に出すわけにはいきません。即座に金融崩壊です。
⑩ 山一證券は1997年、4000億円の飛ばしで破綻しましたが、このときと比べて、桁が3つも違うのです。SIVで3桁、CDSは4桁、違います。一体、いつまで隠し覆すことができるのでしょうか?

◆SIV◆
① 投資ビークル(Structured Investment Vehicle)のこと。
② 基本的にはBIS規制に対応して、銀行がリスク資産をバランスシート上から消すために本体と分離させることを狙った仕組み。
③ しかし2007年後半以降の金融危機で自力での資金調達ができなくなると銀行本体に戻さざるをえなくなった。
④ 不動産などを担保にした長期証券である債務担保証券(CDO)、資産担保証券(ABS)などへの投資を専門に行う特別目的会社。
⑤ 通常、証券か商品は資産の半分ほどで、残りの半分は信用力の高い金融機関などへの債権を持つ。
⑥ 銀行やファンドから出資を募り、さらに資産である長期証券を担保に組み入れた資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)やミディアム・ターム・ノート(MTN)で負債を調達してレバレッジをかけている。
⑦ ABCPはもともと償還期間が平均半年程度と短いうえ、親会社の大手金融機関が保証を付けているため調達金利が低い。
⑧ SIVはこの短期金利で調達した低コスト資金を利回りのよい長期証券(平均年限3~5年程度)で運用することで利益を上げる構造となっている。つまり、長短金利差と格付けの歪みを収益源とするアービトラージ・ビークルである。
⑨ 常に短期資金を借り換える(ロールオーバー)必要があるが、2007年夏のサブプライム問題によって証券化商品の価格が下落すると、保有証券を担保とするABCPの発行が困難となり破綻の危機に直面した。
⑩ アメリカのシティグループが1988年に本体の財務と切り離した特別目的会社として設立したアルファ・ファイナンス・コーポレーションが最初とされている。その後、流動性の低い証券化商品を簿外で保有し、運用できるメリットから欧米の主要金融機関が相次いで設立し、1990年代末からは数量・資産規模ともに一段と拡大した。2008年8月現在30社前後のSIVが存在するとみられ、その資産規模は約4千億ドルと推定された。

◆CP◆
 優良企業がボーナスや税金の支払いなどで、短期の資金が必要なとき、金融市場を相手に発行する金融商品の一種。

〇時価会計凍結や預金の全額保護などの対応では、もうどうにもならない。

〇日本の金融機関も、これから深刻な事態を迎える。
① 大手行は欧米各国のSIVには多額の資本参加をしている。
② SIVが保有しているのは、ほとんどがCDOを初めとする証券化商品なので、紙くずになるのは必死。
③ デリバティブをやったことのない人ばかりの金融機関担当者も自社の持っている証券化商品を正確に理解できていないのです。

〇シティ・グループへの莫大な政府支援の裏側に何があったのか?
① シティ・グループをはじめ、商業銀行は今回のクレジット・バブルの課程で、SIVをフルに使ってきました。ゴールドマンなどの投資銀行に追いつこうとしたのです。
② この簿外債権が1兆1440億ドルと公表されています。この証券化商品は、いまほとんど値段がつけられない状態です。
③ 日本の投資家が持つCDSは79兆円。ゆえに主要保険会社、地方の金融機関はいよいよ要注意になってきた。

〇GMの状況
① 株価の50円割れは、日本では倒産危険水域。
② アメリカでは、10ドル。GMは現在1ドル70セント。いつ倒産してもおかしくない状況。
③ GMの自前の資金調達は20%の金利が必要。倒産確率95%といわれているので。
④ 債務超過は6兆円。毎月1000億円ずつ現金を失っている。
⑤ 現在GMが発行している社債の残高は280億ドル。これは世界最大。

〇英国はなぜ前例のないほどの低金利にせざるを得なかったのか?
① 企業部門の損失は、米英欧を合わせると半年で3倍にも膨張し、200兆円。
② 半年で膨張した額が、135兆円。
③ サブプライムを超えてきたのです。

■このスーパーバブルの崩壊は誰にも止められない。

〇束の間の解決に終わったファニーメイとフレディマック救済策
① 両社を破綻させれば、140兆円にものぼる、両社を対象としたCDSが一斉に決済不能となり、CDS市場は崩壊し、瞬く間に金融破綻の連鎖が起きたはずです。
② 今、住宅ローン債券を野に放てば、市場に買い手はなく、暴落し、金融恐慌の引き金になるのは明らかです。
③ なので、両社を清算することはできないのです。

〇米政府の政策は、袋小路に入ってもう出られなくなる。
① too big to bail(大きすぎて救えない) が現状です。
② すでに破綻状態のファニーメイとフレディマックですが、保有、保証している住宅ローン関係の債券は500兆円に上り、トリプルAの格付け(日本国債より上)のもと、全世界にばら撒かれています。一番保有額が大きいのは中国、次いで日本。
③ 問題は、その莫大な額です。500兆円の住宅ローンの保有・保証のうち、160兆円の自己保有の債券(この買取資金として社債が発行された)の中には、かなりのサブプライムローンが含まれている。
④ 売れないから、自己保有になっているのだが、現在住宅価格の下落が止まらないので、損失は拡大しているはずです。
⑤ プライムローン(優良ローン)も延滞率が4%に上昇。プライムローンは、サブプライムローンに比べて額が張るので、4%の延滞率であれば、金額ではサブプライムの数倍になります。
⑥ このプライムローンの不良化から推定すると、200兆円規模の損失が発生しているはずです。
⑦ そうであれば、米政府は、保証することは不可能です。

〇リーマン・ショックが金融恐慌の引き金を引いた。
① 2008年3月のベアー・スターンズを救済したのに、なぜ、9月のリーマンは破綻させたのか?
② 鍵になるのは、デリバティブ市場。
③ その最大のものがCDS市場。
④ ベアー・スターンズが破綻した当時、同社のデリバティブ取引総額は、想定元本で1000兆円。しかも同社はこのCDS市場の売り方(保険の引き受け手)であって、保証できないのは明らかで、それが各金融機関の厖大な損失、瞬く間にドミノ倒し、そして金融恐慌になるのは必至でした。
⑤ 従って、救済の道しかなかったのです。
⑥ リーマンの場合は、CDSに絡んではいましたが、その額は、金融連鎖倒産を引き起こすようなものではありませんでした。

〇リーマンは破綻させられたのに、AIGはなぜ救済されたか?
① AIGは総資産額が110兆円の世界最大の保険会社。世界100カ国に展開。日本だけで、契約件数1000万件、従業員26000人。
② 世界中の保険を根底から揺るがすことになること以外にさらに大きい問題は、CDS市場の危機です。
③ AIGは高格付けを利用して、保証業務をかなり行なってきました。その保証残高は50兆円。CDS市場全体からみると、1/140ですが、絶対的な金額は巨大です。
④ サブプライム問題の深刻化を受け、格付け会社はAIG保有の住宅ローン担保証券などの格下げを行なう。
⑤ このため、AIGは保証していた証券化商品の元本返済を確実にするため、現金担保を差し出す必要に迫られ、資金繰りが悪化。
⑥ 50兆円の保証に対して、担保不足ということで9兆円の資金投入。保証額の2割。
⑦ これは、本質的な問題を浮かび上がらせることになりました。
⑧ AIGはCDS市場のメインプレイヤーです。
⑨ AIGですら2割減価しているなら、少なくとも5400兆円のCDS市場の2割から3割は減価していると考えるのが自然です。
⑩ すると、1200兆円規模の損失が発生しているはずです。
⑪ これを保証する側は、保証しきれるのでしょうか?
⑫ このCDSの売り方(保険の引き受け手)の60%はヘッジファンド。運用資産総額で170兆円しかないヘッジファンドが、10倍近くの損失を埋められるはずがありません。
⑬ 核爆弾にも等しいCDS市場の崩壊を防ぐ手立てはなく、米政府はただ、時間稼ぎをして先延ばしする以外にないのです。


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