夢実現研究会2009

団塊世代の生き方を考えよう。

今の経済は、どのような状況か?その2

2009-03-16 13:17:47 | 経済的自立:投資
大恐慌入門:朝倉慶 後編
<<要約>>


■資本主義の崩壊がこれから始まる。
〇LTCMがデリバティブ崩壊の先駆けだった。
① 1998年に崩壊したLTCMは、現在起こっていることのすべての問題が網羅されている。
② LTCM(ロングターム・キャピタル・マネージメント)は、ソロモン・ブラザーズの伝説的トレーダーのジョン・メリウェザーによって創設、パートナーはノーベル経済学賞受賞者のマイロン・ショールズ、ハーバード大学のロバート・マートン、元FRBの副議長のデビット・マリンズなど、まさにドリームチーム。
③ 彼らは、投資の世界に物理学や高等数学を導入して市場を定量的に分析し、債券の裁定取引を始めた。
④ LTCMは、割安な債券(ジャンク債)を買い、同時に割高な債券(米国債)を売ることを執行して、鞘を稼いでいた。
⑤ 市場は不特定多数の投資家が存在し、様々な思惑をもって注文が執行されるので、時には割高な値段で買ったり、割安な値段で売ってしまうというミスを日常茶飯事で犯してしまうのです。
⑥ この愚かな投資家のミスを見逃さず、そのロスを瞬時に取って確実に儲けようと、彼らは考えたのです。
⑦ このためには、絶えず投資家の動向をウオッチすること、また、どれくらい乖離が出たら注文を執行すべきか自動判断するプログラムを作る必要がありました。これを実現したのが数学者や物理学者でした。
⑧ ロボットに瞬時に発注させるプログラムを作ったのです。
⑨ このロボットでトレーディングを行なえば、確実に儲かる均衡点を見つけることができました。
⑩ 利益を確実に上げる手法が完成したのですから、後は、いかに多額の資金を投入できるかが課題になりました。
⑪ それを可能にしたのがレバレッジです。
⑫ 投資すれば確実に10%儲かるとすれば、100万円の手持ち資金なら、10万円の儲け、レバレッジ10で1000万円とすれば、100万円の儲け、100万円の資金で100万円儲けられるということ。レバレッジが高ければ高いほど儲けは多くなる。
⑬ そういう手段でLTCMは、発足当時、年率40%という驚異的な利益をあげていた。
⑭ 金融工学とコンピューターをつなぎ合わせた見事な戦略でした。
⑮ しかし、その発想の本質は、愚かな人間のミスをついて、金を儲けるということにしかすぎません。
⑯ 確実に儲けられるということで、レバレッジ率は300倍。運用資金4600億円に対して、想定元本は140兆円にまで膨らませた。
⑰ しかし、どのようなことであれ、真似するものは出てきます。ヘッジファンドの85%がロボット取引だといわれています。
⑱ そして1998年、ロシアのルーブル危機によって、危険を感じた資金が一斉に安全資金に殺到したのです。しかし、そういうことを想定していないロボットは暴走して、LTCMはあっけなく破綻しました。
⑲ ロボットでは、想定外の状況には対応できなかった、ということです。
⑳ このLTCMの破綻の教訓は、金融や相場の世界では、いかに過信が危険であるか、また、金融工学がいかに不完全であるか、そして度を越したレバレッジや巨大すぎるポジションはいかに危険であるか、そしてそのようなものが実体経済を破壊しうる、ということです。
21 その当時、冷や汗をかいたはずの金融機関が、同じ過ちを、スケールアップして犯してしまったのが、今回のスーパーバブル崩壊なのです。

◆裁定取引◆
同じ商品が別の市場で異なる価格で取引されているときに、割安な市場で買い、割高な市場で売って、利ざやを稼ぐこと。また、連動性のある2つの商品の値動きの差が拡大したら収縮したりする動きからサヤを稼ぐことも裁定取引という。

〇LTCMの破綻は今回の大恐慌を予言していた。
① 今回の問題の根底にあるものは、行き過ぎた投資が招いた資本主義のなれの果てです。
② 資本主義的な考え方を徹底的に追求すれば、お金を持った者の勝ち、お金が何でも解決してくれる、ということになります。
③ デリバティブは基本的にゼロサムゲームです。あなたが儲ければ私が損をする、利得の総和はゼロという世界です。
④ しかし、確実に勝つ方法があるのなら、資金をできるだけつぎ込めばいいだけの話です。なにも頑張って仕事などする必要はないのです。
⑤ LTCMは破綻しましたが、この根底にある考え方はますます増殖していったのです。とにかく、お金にお金を増やしてもらうのです。そんな考えを基にした本や書籍が本屋に溢れています。
⑥ 世界中のマーケット、株式や債券、為替、商品市場など、現在、1京5千億円くらいの規模です。でもそんな市場で飽き足らずデリバティブ市場を作ったのです。
⑦ 必ず勝てるのなら、資金を集めるだけ集め、レバレッジを効かせるだけ効かせ投資するのは自然の流れです。
⑧ そんな考えを基に巨額の勝負をしたのは、世界に冠たる金融機関です。ゴールドマン、モルガン、メリルリンチ、リーマンなど。
⑨ 彼らはヘッジファンドや自ら作ったSIVを使って投資しうる限りの資金をまさに全力投球して投資したのです。そのなれの果てがデリバティブ総額6京円の正体です。
⑩ そこに巨大な穴が開いたのですから、何人も対応できません。

〇世界のお金が殺到する商品先物インデックスファンドが相場の撹乱要因に。
① すべての投資方法はインデックス投資(指数投資)を上回ることはできない。
② 2003年頃から、様々な指数連動型の投資信託が上場投資信託ETFとして開発されました。
③ これによって投資方法や相場への劇的な変化がもたらされました。
④ 大型の新規公開株が上場されると、ETFでは当然組み入れなければ指数の連動性が保てないので、こぞって上場時に買うしかありませんし、日経平均の銘柄入れ替え時なども、外される銘柄の大量売りや、採用銘柄の大量買いが自然に起こるわけです。これが相場の撹乱要因です。
⑤ 昨今、指数投資の開発により、様々な投資が可能になりました。その一つが商品インデックスファンド。石油や金に連動するETF。
⑥ これは石油価格や金価格に革命的な変化をもたらしました。
⑦ 従来だと、石油や金の先物取引はあったが、これらは証拠金取引で、期間が区切られた信用取引であったため、年金資金や個人ができる取引ではありませんでした。また、現物を買うとすれば保管に困ってしまいます。ゆえに事実上、これらに投資することは不可能でした。
⑧ しかし、このETFがすべて解決してくれたのです。
⑨ ETFに投資すれば、指数に連動するので、その値上がりがそのまま享受できるし、金または石油に投資するのと同じなので、インフレヘッジになるわけです。
⑩ こんな好機を欧米の投資家が放っておく訳がありません。ヘッジファンドを初め、一斉に投資し始めたわけです。
⑪ 石油価格をWTIウエスト・テキサス・インターミディエートで見てみると、1980年代から1999年までは18ドルで推移、その後147ドルまで急騰。この動きの大きな要因はETFにあります。
⑫ しかし、現在石油価格はWTIが唯一の指標価格とされ、価格の決定権を持っています。しかし、WTIは15兆円の規模に過ぎません。現物市場はこの20倍あります。
⑬ ここに長期資金である世界各国の年金資金が集中してきています。従って、長期的に価格押し上げ要因になります。
⑭ そして、その流れが、より小さな市場である穀物市場に連鎖してきたということです。おれが食糧争奪へとつながっているのです。
⑮ 巨大な金融の力に支配された、とてつもなく高値に世界中の人々がパニックに陥る日が来そうです。

■日本は世界とともに沈むのか?
〇CDO債務担保証券はまさしく紙屑になっていく
① ソフトバンクは2008年10月、CDOに投資していた750億円が全額損失になる可能性があることを明らかにした。
② このCDOはシンセテイクCDO。これはCDSを組み込んでいる。
③ 現在、世界で発行されている300兆円のCDOのうち、170兆円がシンセテイクCDO。
④ CDSは倒産したときの保険。たとえば、リーマンのCDSの引き受け手(CDSの売り方)は、リーマンが破綻すれば、その債券を保証しなければならない。
⑤ そして、シンセテイクCDOとは、その保証額を100億円とすると、100億円を集めてきて、金利の付く債券を買い、さらにCDSの売り方になって、保証料をもらって金利を上乗せする、というもの。
⑥ ですから、同じ100億円の債券でも、CDSの金利が乗っているだけ、利回りがいい。
⑦ ただし、保証すべき会社が倒産してしまうと、保証料の部分だけ減額する。これを回避するため、CDSの組み入れ会社を多くして、リスクを分散する。
⑧ ソフトバンクのCDSの場合は160社。8~20社が倒産したら全額毀損するという内容でした。
⑨ ダブルA格のCDOだったので、販売当初は、ほとんどリスクはないと考えられていた。
⑩ しかし、これらは優先劣後構造といって、倒産会社が出た場合、そのシンセテイクCDOの格付けの低いクラスから、投資額が全額毀損となる。これがダブルAクラスで全損になってきたということは、トリプルAクラスに波及するのは必至です。ソフトバンクのケースは、あと2社で全損ということは、次からの倒産は、いよいよトリプルAのCDOに及ぶということ。
⑪ 日本の機関投資家もシンセテイクCDOを大量に保有しているので、これらが全損となっていくのは時間の問題。
⑫ これらのことから、発行されたすべてのCDOは、ほとんど無価値とみなすべきです。

◆CDO◆
社債や貸出債権(ローン)などから構成される資産を担保として発行される資産担保証券の一種で、証券化商品である。
担保とする商品が債券または債券類似商品の場合にはCBOと呼ばれるが、貸出債権の場合にはCLOと呼ばれる。
CDOは、CBOあるいはCLOのいずれか、またはその双方を包含する商品のことをいう。

〇株価大暴落のさなか、ひとり大儲けをしているヘッジファンドがある。
① 現在、日本の市場で唯ひとり、多額の利益を生み出しているヘッジファンドがある。
② CTAコマーシャル・トレーディング・アドバイザーズ、先物、オプション専門のヘッジファンドです。
③ CTAは、85%までがロボットによるトレーディングで、その手法は相場のトレンドに大きく乗っていく形で、トレンドフォロー型です。
④ 例:日経平均が8000円を割ってくると、数多くの日本の機関投資家は株の含み益が枯渇。それ以上の損失を避けるため、先物でヘッジ売りしておく以外に方法はない。ある一定のライン割れから怒涛の売りが始まる。そのような想定を予めしておき、そこから、どでん買いに回るように作っておく。
⑤ 政府は空売り規制をしていますが、先物には規制しようがなく、何の意味もありません。
⑥ この先物は、資金量のあるところが圧倒的に強い。
⑦ 毎月第2金曜日はSQスペシャル・コーティションといって、オプションの決済日。3、6、9、12月は先物の決済も一緒に行なわれる。
⑧ このSQ日の寄付の値段で決済されるのですが、いくら大量に買っても、売って決済する必要がなく、いくら買い叩いても、買戻し決済する必要もありません。すべてSQの値段での決済なので、CTAだけが価格形成力を持っている状態では、やられ放題なのです。
⑨ ちなみに、2008年10月の安値は10月10日のSQの決済日でした。連日急落しましたが、この日めがけて徹底的に売り叩かれた様子が目に浮かびます。
⑩ ロボットには感情も容赦もありませんから、とことん理詰めで儲けに走ります。多くの投資家が泣いていることなど斟酌しません。

〇急速な景気悪化で失業がこれから爆発的に増えていく。
① 非正規社員の割合は、37.8%。
② 国税庁調査では、年間所得200万円以下の人が1032万人。
③ これらの人の破産ラッシュも考えられます。

■この大恐慌をどう生き抜くか?
〇相場を読む「勘」のない人は、この経済危機で損をするだけ。
① 儲けられる人は感性がいいのです。
② 今は完全に相場が下を向いている。
③ ゆえに、平常時の指標は役に立たない。PER、とか配当利回り、とか割安というものは役立たない。

〇今はまだ、CDO300兆円の問題。これからはCDS5400兆円の問題に突入する。
① 経済評論家やアナリストの意見を聞くべきではありません。なぜなら、いくら優秀でも実戦経験がないからです。
② デリバティブをやったことのある証券関係者、政府日銀、財務省職員はいません。ゆえに6京円というデリバティブの世界には対応できないのです。

〇歴史的な大暴落は実は投資のチャンス
① 古今東西、99%の人が最終的には投資では儲かりません。1、2年、仮に10年間儲け続けたとしても予期せぬ変動やトレンドの変化に対応できず、結局すべて吐き出すのです。
② 投資で儲けられない最大の理由は、投資家が大きなトレンドの変化に対応できないからです。
③ しかし、多くの人が巨大な損失を被っているときが、投資すべき時なのです。
④ 何にか?円高に、です。

〇これから、どう対処すべきか?
① 資本主義というシステム自体が崩壊することを認識する必要があります。
② 何が起こるかわからない状況に突入するということです。
③ そういう状況では、個々の生き方、人間そのものが問われる局面とも言えます。
④ 我々、団塊世代が子どもだった時代は、今に比べてそれは貧しいものでした。その時代に再び帰るのだと思えばいいのです。
⑤ そして、その中から「自分にとって本当の幸せとは何か?」をじっくり考えましょう。
⑥ また、価値観も随分と変わるはずです。そんな中、必要なのは志です。私や我が先に出てきては、今までと変わらないかもしれません。自分を捨てて、公に尽くす、次の新しい素晴らしい世の中を創ろうとする有意の人が今、求められているのです。
⑦ こんな凄まじい時代の変化が見られるなんて楽しいではありませんか?
⑧ それも主役は我々です。この変化を楽しんで、理想のために力を合わせましょう。
⑨ お金とか、つまらない社会的地位より、よっぽど楽しくないですか?
⑩ そんな歴史的変化の真ん中にいて、活躍する、理想を追求するなんて、人生の醍醐味ではないでしょうか?

〇投資家のタイプによって、これからのサバイバルが違ってくる。
① そうは言っても、理想だけでは生きられない。実際、何をするにもお金が必要です。
② この混乱期に、いかに資金をつくるのか?また、資産を守るのか?
③ ピンチはチャンス。このような混乱期こそ一番儲かるのです。
④ 必要なのは発想の転換だけです。
⑤ そして、投資の世界では、自分の適性を知ることが必要。

〇あなたは、どのタイプ?
① 投資経験豊富で、自分は博才がある。
② 投資経験はあるが、損することが多い。
③ 投資下手で、いつも損をしている。
④ 投資するお金もない。

〇タイプ1の人
① このタイプの人にとって、このような流れは史上最大のチャンス。
② 相場で一番難しいのは方向性がはっきりしないときです。
③ 今のように変動が大きいときや、多くの投資家が自信喪失で動けなくなったときは、チャンスなのです。
④ トレンドは、経済は縮小し、ひいてはシステムの崩壊にまでいく可能性がある状況だということです。
⑤ 従って、基本は「売り」です。
⑥ 長期の「空売り」が投資の基本です。
⑦ 買うとしたら、生活必需品やエネルギー、医薬品の銘柄
⑧ 金、穀物などの商品も買い。
⑨ ジャスダック、ヘラクレス、マザーズの中の宝。

〇タイプ2の人
① ジャスダック、ヘラクレス、マザーズの中の宝
② 金、穀物などの商品も買い。

〇タイプ3の人
① 投資など一切せず、現金を持ち、必需品をできるだけ買っておく。

〇タイプ4の人
① 必需品をできるだけ買っておく。
② 信頼できる仲間を作る。
③ 助け合い、共生を目指す。


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