日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

1月の講演に関して

2010年11月17日 17時18分21秒 | ブラジル事情

 

 大学4年生の内定率が現時点で6割を切っており、史上最低水準であるというニュースを読んだ。このニュースには本当に心が痛むし、今の学生には同情せざるを得ない。

 

僕が就職活動をしていた時期もバブル崩壊直後で厳しかった。しかし、現在の厳しさは16年前とは、いろいろな面で違うと思う。

 

日本の世界的地位の低下。中国・韓国・インドネシア・インドなどのアジア諸国やロシア・ブラジルなどの新興国の台頭。国内産業の空洞化。ITによるさらなる機械化。

 

基本的に人がそれ程必要ない時代になりつつある。それに輪をかけて、一流企業であればあるほど、この先の見えない厳しい時代を生き残るために優秀な新卒、即戦力を採用するという傾向が強い。

 

就職戦線が厳しくなるのは、不景気だけが原因ではなく、内的・外的要因が大きく左右している。今後はブラジルやアメリカ同様に、日本でも若年労働者の失業率は高くなっていくものと思われる。

 

12月末に3年ぶりに日本に帰国するに当たり、母校の大学で1月に「ブラジルの日本語教育」について講演することになった。

 

僕の講演の当初の目的は、ブラジルの日本語教育を紹介することであったが、この講演は就職支援ガイダンスの一環として学内で行われ、日本語学科の学部生のほか、留学生や大学院生も出席するとのことである。

 

学部長からは、「今の学生は勉学に熱心で優秀だが、内向的で、打たれ弱い」から、僕の一風変わった経歴を聞いて刺激を受け、学生がもっと海外に目を向けられればいいのではないかという温かいお言葉をいただいた。

 

 でも、実際には僕自身が打たれ弱い人間である。大学時代、なかなか内定が取れず、就職活動を途中であきらめた。だから、はっきり言って学生の前で偉そうな事は言えない。また、現在の身分も派遣社員みたいなもので、人に発言できる立場にはいない。

 

 しかし、敢えてこのブログで言わせてもらうと、学生に限らず多くの人は自分が本当に何をやりたいかが具体的に分かっていないのではないかと思う。しかも、大学4年生の時点でそれが分かっている人は極端に少ない。

 

自分自身の事が分かっていなければ、どうしてその会社に入ってその仕事がしたいかを面接官に説得力を持ってアピールすることはできない。そして、結果として内定を獲得することもできないのである。

 

就職活動においては、まず自分をよく知ること、自己分析が大事だと思う。その上で社会をよく知り、どう生きるかを決定する。その決断において、就職が唯一の道ではないと思う。

 

ただ、学生生活を過ごしてきた中でいろいろ学習してきたのだから、それを社会に還元して、その代償としての対価をもらい、親から自立して生活していく必要はある。

 

その方法の1つが就職。日本では「就社」であるが、内定を取ることを目的化してはいけないと思う。

 

大事なのは就職してからの仕事であり、どのように社会に貢献するかである。お笑いタレント、プロ野球選手、歌手、漫画家、自営業。自分が好きな道で成功できると思えば、自信を持って目指せばいいのだ。

 

何も一流企業の社員や公務員になれた人だけが、「社会人」である訳ではない。ただ、何も明確な目標がなければ、まずは一旦就職することはいいことかと思う。会社に就職すれば、社会人としての「いろは」を学べるし、実際に働いてみることで見えてくることは多いはずだ。

 

でも、給料が高い。安定した職業である。親が望む会社である。人気の職種である。こんな基準で企業や仕事を選んでいたら、内定は覚束ないだろうし、たとえ入れたとしても、その理想と現実のギャップに苦しみ、すぐ辞めてしまうかもしれない。

 

やはり、自分が長い人生をどう生きたいか、どういう形で社会に貢献していきたいかを十分考える必要があるのかなと思う。親や社会が望むことではなく、自分自身の明確な意志で決める。

 

そういった事を学生時代に考えられなかった自分の反省点を講演でそのまま伝え、出席した人がよりよい人生を送れるようになれれば、僕自身今まで生きてきた意味もあるかなと思う。

 



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