村上ファンド、阪神電鉄株３８％超取得

阪神電鉄の筆頭株主に躍り出た村上世彰氏が率いる村上ファンドが、同社株の持ち株比率を３８・１３％に上昇させたことが３日、関東財務局に提出された大量保有報告書で分かった。議決権ベースで三分の一超を確保したことで村上ファンドは株主総会で合併などの重要事項の決定を拒否できるようになり、子会社のプロ野球・阪神タイガースを含むグループの経営に大きな影響力を持つことになった。

村上ファンドの大量保有報告書によると、投資額は９３６億４７４０万円。これはライブドアの堀江社長がニッポン放送買収に投じたとされる約１０００億円に近い金額で、個別企業への村上ファンドの投資額としては突出しており、阪神電鉄や市場関係者を始め、ネット上でも投資の意図や背景をめぐって様々な憶測が飛び交っている。果たして、買収や転売などの大きな動きがあるのか気になるところである。

そしてこうした事態にようやく阪神電鉄も動き出したようで、阪神電鉄の幹部が今週中にも村上ファンド側と接触する意向を明らかにした。株式取得に約１０００億円もの巨額の資金をつぎ込んでいる村上ファンド側の投資目的について、その真意を聞く考えのようだ。村上ファンドの出方を見極めた上で、阪神グループとして具体的な対応策を示すとみられる。阪神電鉄は現段階では明かせないそうだが、一応対抗策も用意しているとのこと。

今後の展開はまだ分からないが、一連の問題に関して阪神の星野ＳＤがマスコミに対して強い怒りを表明している。星野ＳＤは一野球人として、黙っていられなかったようで以下のようにコメントしている。(星野ＳＤ激怒「ファンも私も絶対許さない」　大阪日刊スポーツ)

「非常に残念だし、悔しい。憤りを感じる。タイガースは公共のものであって、私的なものじゃない。村上さんも大阪出身で阪神ファンだと思うけど、今回の件はファンが許さないよ。わたしも野球界にお世話になった人間として、タイガースを愛するものとして、許せないね」

「せっかく優勝して、ここ数年で球団のブランド価値も上がっているところで、こういうことはして欲しくなかった。球界でも７０年の歴史があって、巨人がはい上がってきてまた競争するようになるまで、と頑張っている時期なのに…」

「本社にも落ち度があるとはいえ、これでは役員も優勝を喜べない。ファンのための甲子園改修計画も、余計なお金をつかえば出来なくなるかも知れない」

まさに熱い男といった感じで、個人的には星野ＳＤの気持ちはよく分かるけど、資本主義社会の中で村上ファンドは株式市場のルールに則って、阪神電鉄の株を買っただけなので、何ら悪いことをしたわけではないし、阪神タイガースが公共のものという発言は感情的すぎる気もする。それに現段階では村上ファンドの真意も明らかにされていないので、時期尚早な発言だったのではないだろうか。村上ファンドからは「（阪神電鉄には）徹底して株主価値を向上させてほしい。私たちも経営陣と緊密に協力する」としかコメントされていないわけだし。

それにライブドアのニッポン放送買収問題の時にあれだけ話題になったのに、上場している企業としてなぜ経営陣は何もしていなかったのかと疑問である。株式を公開している以上、こうなることも想定しないといけないし、乗っ取られたくなければ日頃から対策しておくべきことだ。阪神電鉄の西川恭爾社長は今さら「会社の存亡がかかっているとの認識はある」と語っているくらいで、経営陣の意識の低さが招いたとしか思えない。ただ個人的には阪神ファンが悲しむような事態にはなってほしくないとは思っているのだが。

どちらにしても一阪神ファンとしても今後の展開が非常に気になる。村上ファンドがどういった要求をしてくるのか、阪神タイガースがどうなってしまうのか、今後も注目していきたい。