【小沢被告第2回公判(5)】
弁護側「異議あり!」連発 4億円融資めぐり法廷紛糾
MSN産経ニュース 2011.10.14 16:02
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《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第2回公判は休憩をはさみ再開した。陸山会に小沢被告名義で4億円を貸し付けた銀行の元支店長の男性の証人尋問が始まる》
裁判長「被告に入廷してもらってください」
《大善文男裁判長が指示すると、小沢被告が指定弁護士の後ろのドアから入廷した。足取りはしっかりしており、疲れもなさそうだ》
裁判長「それでは開廷します。証人に入ってもらってください」
《大善裁判長に促され、黒っぽいスーツ姿の白髪の男性が入廷する。陸山会に4億円を融資した大手銀行の国会内の支店で当時、支店長を務めていた男性だ。指定弁護士の要請で証人として出廷することになった。定期預金を担保に新たに4億円を借り入れる不自然さを印象づけたい考えとみられる》
《大善裁判長が名前などを確認した後、指定弁護士による質問が始まる》
指定弁護士「いつから支店長を務めていましたか」
証人「平成16年4月から17年11月末までです」
指定弁護士「支店では16年10月29日に4億円を融資しているが、あなたは関与しているか」
証人「はい」
指定弁護士「融資の申し込みは誰がどこで受けましたか」
証人「16年10月28日に石川(知裕)秘書から支店の応接で受けました」
指定弁護士「あなたも立ち会った?」
証人「はい」
指定弁護士「記録にも残っていますか」
証人「はい」
《証人は指定弁護士の質問によどみなく答える。小沢被告は午前中の様子と変わらず、前方の一点を見据えている。指定弁護士は証拠として提出した銀行内の資料を示したうえで、質問を続ける》
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指定弁護士「甲213号証の資料1です。これはなんですか」
証人「支店長日誌です」
指定弁護士「予定を記載するのか、結果を記載するのか」
証人「結果を記載します」
《別の証拠を取り出す》
指定弁護士「次に資料2を示します。これは何ですか」
証人「課員の週間スケジュールです」
指定弁護士「次に資料3です。これはなんですか」
証人「役責日誌です」
指定弁護士「役責とは誰ですか」
証人「(書類の)上に押印している私を含めた5人です」
指定弁護士「ここから対応者が分かりますか」
証人「私とマネジャーが対応したことがわかります」
指定弁護士「10月28日ですか」
証人「はい」
指定弁護士「資料2では?」
証人「『10月28日』の下の方に、小沢一郎事務所と記載がありますので分かります」
指定弁護士「内容は?」
証人「預金担保で4億円の融資の申し込みがあったことが分かります」
指定弁護士「申し込んだのは、石川(知裕)さんですか」
証人「はい。『小沢事務所 石川秘書』とあるので分かります」
指定弁護士「ここから(面会した)時間まで分かりますか」
証人「週間日誌の下の方に記載してあるので、午後の遅い時間だと思います」
《指定弁護士は融資の申込日を確認した後、当時の詳細な経緯を質問する》
指定弁護士「融資の申し込みがあったとき、借り入れるのは誰ということになっていましたか」
証人「小沢先生です」
指定弁護士「何に使うと言っていましたか」
証人「陸山会が世田谷に秘書寮のための土地を購入するということで、陸山会に転貸しすると」
指定弁護士「今の話だと陸山会に融資をしてもいいと思うが、銀行は陸山会への融資には消極的だった」
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証人「いいえ」
指定弁護士「過去にも銀行が、陸山会に融資したことはありますね」
証人「はい」
指定弁護士「では銀行側から持ちかけた…」
《指定弁護士の質問を遮り、弁護人席から鋭い声が飛ぶ。“カミソリ”の異名を持つ弘中惇一郎弁護士だ》
弁護人「それは誘導だと思う!」
《法廷内のやりとりが一瞬途絶え、しんとした空気が流れたが、指定弁護士は気を取り直して、質問を続ける》
指定弁護士「えー、質問を変えますが、小沢先生の借り入れにするというのは誰の意向だった?」
証人「石川秘書からの申し出です」
指定弁護士「融資は何を担保に?」
証人「陸山会の定期預金です」
指定弁護士「融資の申し込みがあったとき、定期預金はあった?」
証人「なかった」
指定弁護士「改めて定期預金を組むことで融資を申し込むということか」
証人「はい」
指定弁護士「陸山会に転貸しする前に、(4億円の)資金を用意できるということだったのか」
証人「はい」
指定弁護士「土地の代金は用意できるのに、わざわざ融資を受ける説明はありましたか」
証人「ないです」
指定弁護士「その融資の申し込みをする理由はなんだと思いましたか」
《質問が終わるや否や、再び弘中弁護士が怒声を飛ばす》
弁護人「意見を聞くのは意味がないと思うが」
《たまらず指定弁護士が反論する》
指定弁護士「申し込みを受けた当時の意見を聞いているだけです」
裁判長「異議を棄却します」
《裁判長が異議を退け、審議が再開すると思いきや、再び弘中弁護士がかみついた》
証人「以前(別の)融資の稟議書を見た際に、世間的…」
弁護人「異議があります! 稟議書の内容は伝聞であり、不適切だ!」
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指定弁護士「証人が直接見たものであり、伝聞ではない」
弁護人「書かれたものを証拠にしないと!」
《指定弁護士と弁護人の激しいやりとりに、質疑は一時中断。たまらず大善裁判長が「議論がかみ合っていない」と、両者をとりなし、質問を再開させた》
指定弁護士「(定期預金を担保に融資を受けるという)その申し込みを受けたとき、どのような考えを持ちましたか」
証人「以前の(銀行内の)稟議書に『(陸山会は)世間的な影響を考えて、融資金で購入する』という記載があったので、今回も同じ理由かなと思いました」
《元支店長は銀行内の引き継ぎ文書に、陸山会が土地を購入する際、「世間的な影響を考慮して」融資金を使うとの記載があったと説明した。これは陸山会がマンションなどの不動産購入のたびに、複雑な資金操作を行っていたことを示唆する内容だ》
《これに対し、再び弘中弁護士が吠える》
弁護人「稟議書の内容は伝聞だ!」
指定弁護士「記載はあった。その内容を証人が実際に見て、そう考えたという『事実』だ」
《裁判長が左陪席の裁判官と何か短いやりとりをする》
裁判長「異議を棄却します」
《双方のやりとりが落ち着き、具体的な融資の内容や手続きに話題が移る》
指定弁護士「返済期限はどのようなものだった?」
証人「2年ぐらいで、というものだった」
指定弁護士「現実的には2年だったが、申し込みの時は1年だった?」
証人「はい」
指定弁護士「銀行側の決済権限は誰だった」
証人「私です」
指定弁護士「申し込みの際は即答した」
証人「していません」
指定弁護士「どのように答えた」
証人「『後ほどご連絡します』と言って帰ってもらいました」
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指定弁護士「その後、どういう協議をしましたか」
証人「支店で協議してクレジットオフィサーに相談しました」
指定弁護士「クレジットオフィサーとは?」
証人「融資に助言、アドバイスする人間です」
指定弁護士「なぜ相談した」
証人「スキームに問題があるかどうか、第三者的な意見を聞きたかった」
指定弁護士「問題はなかったか」
証人「なかった」
《次に指定弁護士は小沢被告が融資について知っていたかどうかについて、小沢被告の押印と署名がある融資申込書について質問を移す》
指定弁護士「これは融資申込書ですね」
証人「はい」
指定弁護士「小沢さんの押印ですね」
証人「はい」
指定弁護士「あなたの目の前で小沢さんが書いたもの?」
証人「違います」
指定弁護士「あなたは融資について小沢先生に確認した?」
証人「時期は覚えていないが、小沢先生に会った時に『融資をご利用いただきまして』と話した」
指定弁護士「小沢先生は何と」
証人「『お、おう』と」
指定弁護士「どういう意味だと理解した?」
証人「融資について知っているということだと理解しました」
《弁護士同士の激しい対立のなか、元支店長への質問が続く》
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