プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

コア・コンクリート反応

2011年06月07日 | 日記
 報道では、「東京電力福島第1原発の正門から約1.7キロの福島県大熊町内の土壌に、今回の原発事故で放出されたとみられる放射性物質のプルトニウムがごく微量含まれていることが5日、山本政儀金沢大教授の分析で分かった」(『産経ニュース』)とのことでした。非常に重いプルトニウムがどのように運ばれたのか、NHKの「続放射能汚染地図」では、「コア・コンクリート反応」によるものではと言っていました。

 「コア・コンクリート反応」とは、メルトダウンした核燃料が圧力容器の底に溜まり、やがて貫通(「メルトスルー」)し、格納容器に達した溶融物とコンクリートと化学反応し、多量の水素と一酸化炭素を発生させるものです。その水素が爆発すれば、格納容器も大きく破損しますし、大量の放射性物質も放出されてしまいます。

今朝の『朝日新聞』には、原子力安全・保安院の解析結果が掲載されていましたが、「2号機の格納容器で温度が設計上の上限値の138度を超え、格納容器に50平方cm、圧力容器に300平方cm相当の隙間ができたと想定」しています。これが、圧力容器の「脆性破壊」だったのか、「コア・コンクリート反応」による水素爆発だったのか、或いはその両方なのかは分かりませんが、私が最悪の最悪の最悪として「想定」していた全てのことが、その「想定」の時点で既に起こっていた(後の祭りだった)わけです。当該保安院の解析では、1号機は地震後5時間で圧力容器が破損していたというのですから(それが本当なら)、11日の夜には、全て終わっていたのです。(但し、だから対応できなかったということではないでしょう)

 番組では(田辺氏が)、「ニオブやバリウム等、融点の高いものが検出され(メルトダウンの証拠)、それが貫通(圧力容器が破損)、そして「コア・コンクリート反応」が生じて、エアロゾル(煙霧)状の煙が発生して、それに乗ってプルトニウムは運ばれたとの観測を述べていました。テクネチウム99m等も運ばれており、これと同様にプルトニウムも運ばれたと。現在原発敷地外で見つかったのは1地点ですが、これはモニタリングポイントが少ないからで、「もっと調査点を広げ、プルトニウム含めた汚染源を調査すべき」、プルトニウムが検出されたということは「(アメリシウム、キュリウム、ネプチウム等の)核燃料中の全ての物質が運ばれている可能性がある」とのことでした。

 また、京都大原子炉実験所の今中氏は、「ウラン、プルトニウム、ストロンチウムは(チェルノブイリと比べて)比較的少ない」、「汚染のレベルやどのくらい被曝するのか、汚染データをきちんと測定し、住民が判断する為のデータを出していかないといけない」、チェルノブイリを25年調査された経験から「どういう種類の物質が出たか、それをどのように取り込む可能性があるのか、村なら村を、一軒一軒調べて、その情報を(本来は東電や政府が)出すべきだと述べられていました。

 同氏の実際の調査でも、28キロ地点のいわき市の志田名で、飯舘村と同等の汚染(ホットスポット)が見つかっています。これはチェルノブイリの第2ゾーンの避難区域に当るそうです。昨日の『朝日新聞』にも、「『計画的避難区域』の外側に位置する伊達市と南相馬市の一部地区で、同区域指定の基準となる年間積算放射線量を超える恐れがある」とのことで、地域的、その地域でもその一部がホットスポットとなっている危険性があり、さらに詳細な汚染ゾーンの調査が急がれます。

 そもそも、汚染ゾーンを単に距離で単純に決めることが異常で、チェルノブイリ同様、放射線量によって避難を決めるべきです。当然、そのためのデータが必要となりますから、きめ細かい汚染調査が必要になります。昨夜の「TVタックル」でも、避難に関して、「上限を低くすると住民がいなくなる」という理由から、避難させないでいるとのことで、「住民はモルモットなのか」との怒りの声もありました。チェルノブイリでは5mSvが強制避難の基準ですから、本来ならもっと広範囲の住民の方々が避難すべきと思いますが・・・

P.S. 同番組で、武田先生が、「放射能関係は、国だけが関わることになっている。しかし国の実働部隊が(現地に)いない」と怒っておられましたが、放射能汚染の調査は間違いなく国がすべきことですが、最早国の調査を待ってはおれませんから、自治体でも「自主的」に調査を実施し、詳細なデータを出していくべきだと思います・・・

P.S.2 避難指示が出た際、SPEEDIのシュミレーションの解析データはあったのに、公表せず、逃げるように指示された北西の方向に、実際は放射性物質は飛散していたそうです。車が渋滞し、30分で行けるところを、4時間半も掛かったとか。これは明らかに情報隠蔽による被害であり、その隠蔽行為は犯罪以外の何ものでもありません。こうした責任も、全て有耶無耶のままになってしまうというのでしょうか・・・

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1 コメント

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メトルスルー (kojipiano)
2011-06-07 22:23:37
先日メルトダウンの可能性と言っていましたが今日はメトルスルーの可能性だそうです。
想定内の言葉ですので、驚きませんが、私は力もなく祈るのみです。

東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府が国際原子力機関(IAEA)に提出する報告書の全容が7日明らかになった。

 報告書は、破損した1~3号機の原子炉圧力容器の底部から溶融した核燃料が漏れ出し、格納容器内に堆積している可能性を指摘した。

 格納容器まで溶けた核燃料が落下する現象は「メルトスルー」(原子炉貫通)と呼ばれ、「メルトダウン」(炉心溶融)を上回る最悪の事象。これまで圧力容器底部で、制御棒の貫通部などが破損し、高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏出したことは明らかになっていたが、政府が公式にメルトスルーの可能性を認めたのは初めて。

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