数日前、丹後のおいしいお米が届いた。
来週は何年ぶりかで、その丹後へ行く。私の生まれ故郷だ。
故郷といっても身内がいるわけではないのだが、地元の方が
パワースポットをあちこち案内して くださることになっている。
宿泊は天橋立。
海に横たわる松並木の長い砂浜は日本三景の一として有名だが、
その付け根にあるのが元伊勢・籠(この)神社。
なにがすごいって、ここの宮司を代々つとめる海部(あまべ)家には、
天皇家より古い系図が残っている。
海部氏の祖先は彦火明命(ひこほあかりのみこと)。別名、ニギハヤヒ。
天の磐船に乗って空を飛ぶ神様だ。 もっとわかりやすく言うと、
「海幸彦、山幸彦」の山幸彦の方。
この神話を絵本かなにかで読んだことのある人も多いだろう。
山幸彦は、兄の海幸彦から借りた釣り針を海に落としてしまう。
兄に責められ釣り針を捜しに行った山幸彦は、海の底にある宮殿で
海神の娘、豊玉姫と出遭い、結ばれる。
「わたつみのいろこの宮」という青木繁の美しい絵はその物語を描いたものである。
日本神話によれば、彦火明命の孫が神武天皇。
つまり天皇家と海部家は祖先が一緒なのである。
このあたり、神話と言ってしまえばそれまでだが、海部家の系図は本物である。
戦前は天皇家をおもんぱかって系図を外へ出さなかった。
昭和51年に、国宝に指定されている。
籠神社には息津(おきつ)鏡、辺津(へつ)鏡という後漢、前漢時代の鏡もあり、
その鏡の存在も、系図にちゃんと記されている。
これらの鏡は弥生時代の古墳から出土することもあるが、こうして代々、
子孫に受け継がれてきたものは他にないという。
これだけでもすごいが、籠神社の奥宮である真名井神社は知る人ぞ知る
パワースポット。さらにはミステリースポットでもある。
祀られているのは豊受大神。
神社そのものはこじんまりとしているが、
重要なのは神が宿るとされる岩座(いわくら)。
大きな岩だ。縄で結界が張られ、禁足地になっている。
対人センサーまでついているから、禁を破って足を踏み入れようものなら
誰かが飛んでくるだろう。
いや、その前にバチがあたるかも……。
霊感の強い地元の友人は、ここに来ると決まって頭痛に襲われると言う。
龍が天に昇っていくのを目撃したこともあるそうだ。
さらなるミステリーは、ここから掘り出された石板に、「ダビデの星」と呼ばれる
六芒星が刻まれていたことだ。
「失われたアーク」が磐座の下に埋められてるという話まで出た。
神社側ではこのように騒がれるのを嫌い(なにしろ由緒ある神社なのだから)、
六芒星を石板から削り取ってしまったらしい。
でもここは相変わらず、全国のミステリースポット好きにとって「聖地」なのである。
ほかにどんなパワースポットへ案内していただけるのか、
行ってみなければわからない。
丹後は出雲と並んで古代の遺跡も多いところ。
真名井神社に祀られている豊受大神は、卑弥呼のあとを継いだ台与(とよ)
だとする説もあるし、久しぶりに「謎」の中で嬉しい迷子になれるかも。
籠神社