新谷研究室

新谷研究室の教育・研究・社会活動及びそれにかかわる新谷個人の問題を考える。

靖国参拝の史実

2006年07月20日 09時17分59秒 | 教育・研究
 今日のニュースで知ったことだが、1978年以降天皇が靖国神社に参拝していない。その理由がA級先般の合祀に昭和天皇が不快感を感じたからだということの信憑性が高くなった。それは当時の宮内庁長官の富田朝彦氏(故人)のメモが出てきたからだ。このメモは日経新聞が手に入れたとのことで、早速日経を買いに行くことにする。
 このことについては以前から巷間囁かれていたことなのであるが、確たる史料のない限りどう考えようと推測の域を出ることはなかった。
 ところで、NPO法人岡崎研究所長岡崎久彦(元外務省情報調査局長)は「俗説では、天皇が靖国参拝できないのはA級戦犯が祀ってあるからだという。それに加えて、昭和天皇がA級戦犯の合祀に怒られたという説がまことしやかに伝えられている。」と俗説扱いした上で、「昭和天皇は、戦争責任者は『昨日まで朕の信頼していた臣僚である』と仰せられて庇われた記録もあり、ましてその御霊を祀ることに反対されるなどとうてい考えられない。」と自分の立場を示した。さらに「事実は三木総理が私的参拝と言った結果、天皇参拝の公私の別が議論の対象となって、行けなくなってしまったのである。A級戦犯の合祀はその後の福田内閣の時であり関係ない。」と何の根拠に基づいたものかわからないが、「事実」を提示してくれたのである。この「事実」とは何なのか。史料が出てきた今、岡崎氏の言う根拠は自らの信念でしかなかったのである。
(引用は岡崎久彦「靖国参拝「大戦」切り離しては?」2005年2月6日付讀賣新聞朝刊【地球を読む】掲載)
 歴史を読む、というときに考えておかなくてはならないことだ。



国家戦略からみた靖国問題―日本外交の正念場

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7 コメント

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小泉は靖国に8月15日に絶対に参拝する。 (Unknown)
2006-07-22 20:18:49
昭和天皇って、結果的に日本を敗戦に導いたんだから

ちゃんと責任とって、退位すれば良かったんだな。戦争の善し悪しは別として。

そういう流れで、弟宮や傍系宮家の当主や近衛文麿らが

昭和天皇退位(上皇就任)、明仁皇太子即位という方向で動いていた。

陸軍中野学校のやつらは、戦争にかかわってなかった

幼い北白川宮家の道久王を担ごうとしていたし。

中世の承久の乱だって、天皇が退位したり、上皇らが流罪になっているのだから。



しかし、昭和天皇は退位せず、それを図った傍系宮家らは皇籍離脱させられ、

それに協力していた近衛はA級戦犯になりかけ自殺した。

なぜか? アメリカが日本を統治するのに、傷物の昭和天皇を

傀儡として操るのが都合が良かったからだ。

昭和天皇は自らの保身のために、アメリカの日本統治のための

道具になることを選んだわけだ。



小泉は靖国に8月15日に絶対に参拝する。

小泉は、そういう昭和天皇のことを屁とも思ってないから。
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根本的な疑問なのですが (Unknown)
2006-07-24 16:00:51
昭和天皇の発言を記したとされる宮田メモですが

根本的な疑問があります。

このメモに書かれている内容を発言したのが、なぜ昭和天皇と分かるのでしょうか?

各報道を見ると「以前から似た様な発言があったと漏れ伝わっているから」というのが多く、この発言自体が昭和天皇のものであると断定できる資料は示されていません。

清水建宇さんの取材で徳川義寛元侍従長が今回のメモと類似する発言をしているようです。

宮内庁長官であれば侍従長の発言をメモに留める事は不思議な事ではないと思います。

先生はどの様にお考えになりますか?
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史料批判 (shinya)
2006-07-24 17:31:29
昭和天皇がこのような考えを持っていたという伝聞はあったようです。それは噂に過ぎませんから、それぞれいろいろな解釈をしていたようです。そこでこのメモということですね。

そうするとこのメモの性質について検証がされなくてはならないでしょう。unknownさんは侍従長の発言かもしれないということですが、現物を見ないで「かもしれない」ということはできません。現段階ではメモを見た人の眼を信じるしかないでしょう。疑念を持つなら実際にメモを見る労力を費やすしかないでしょう。前後を読んでいけば誰の発言かはわかるでしょうから。メモを見ずに異論は言えませんね。その限り見た人が一番正しいところの近くにいるということだな。
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Re:史料批判 (Unknown)
2006-07-25 00:27:16
ご返答ありがとうございます。

>unknownさんは侍従長の発言かもしれないということですが、現物を見ないで「かもしれない」ということはできません。



言葉が少なかったようです。申し訳ありません。

私は侍従長の発言かもしれない。という意味ではなく侍従長も類似する発言をしているという事のみをお伝えしたかったのです。ちなみにその記事はhttp://www.tv-asahi.co.jp/n-station/cmnt/shimizu/2001/0816num90.htmlになります。



>メモを見る労力を費やすしかないでしょう。前後を読んでいけば誰の発言かはわかるでしょうから。

見る機会があればぜひ見たいですね。当該メモの前ページのみはテレビで見る事が出来ました。事務的な内容が書かれていて天皇の発言のみを書き留めた手帳では無い事が分かりました。



>その限り見た人が一番正しいところの近くにいるということだな。

その通りですね。検証された方々は天皇(皇室)史、現代史などを研究されている方々でしょうから、その方々がおっしゃるのであれば信憑性も高いものでしょう。検証にあたり昭和天皇の発言である事を裏付ける記述・資料もある筈です。(無ければ断定できませんから)だからこそ、その裏付けとなる資料も併せて公開してほしかったというのが率直な気持ちです。私的には史料として物足りなさを感じます。
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歴史研究と評論 (shinya)
2006-07-25 01:04:54
歴史研究は研究として専門にその分野の人がやるでしょう。自分も歴史研究者ですが、教育史という範囲でその労力をさく余裕はありません。で、専門的にやっている人にそれはゆだねます。今回に関しては興味深い史料ですからそのうち調べがつきしだい史料は公開されるでしょう。
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Re:歴史研究と評論 (Unknown)
2006-07-25 01:43:03
ご返答ありがとうございます。



先生のおっしゃるとおり、専門家の方の今後の研究・立証・公開を待つ事が重要だと感じました。そういった意味では、まだ過程ですね。



ただ、そうなると結果と真実を伝える報道というモノに於いては可能性として伝えるべきで断定する事は時期尚早であったという事になりますね。



今回の報道に関しては、時間的猶予を考慮しながら見守りたいと思います。

ありがとうございました。
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それが (shinya)
2006-07-25 09:03:00
まあ、それがジャーナリズムというもので、それもまた世の中を動かしていくものです。完全な誤報でないのですから、あんなものでしょう。ジャーナリズムに学術的検証を期待することはできないでしょう。

報道の結果として天皇を恣意的に自分たちの意見に同調させようとしてきた人たちはぐらついたと言うことでしょうね。これはまちがいない。
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