山の天気予報

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猪熊隆之の観天望気講座73

2015-10-13 18:15:04 | 観天望気

体育の日の連休から日本列島には、この時期としては強い寒気が入っています。富士山や立山では初冠雪を記録し、北アルプスや木曽駒ヶ岳、南アルプス主脈の稜線などで積雪を観測しました。幸い、低体温症などによる大きな事故はなかったようですが、この時期はいつ吹雪いてもおかしくない季節です。天気図やヤマテンの大荒れ情報などを確認するとともに、現場で雲の様子からリスクを想定していきましょう。

●稜線で荒れた天気となる危ない雲

危ない雲を八ヶ岳(上)と白馬岳(下)の例で見ていきましょう。

八ヶ岳の稜線にべったりと張り付く白く厚い雲。この雲が現れたら、山麓は晴れていても山の上は風が強く、ガスに覆われている証拠です。

また、この雲の高さが高くなっていったり、雲が山の下の方に押し寄せてくるとき(下の写真)は、上部で吹雪になります。

このときの天気図が上図です。オホーツク海に発達した低気圧が2つあり、中国大陸には高気圧があります。いわゆる西高東低の冬型の気圧配置です。北日本や東日本では等圧線の間隔が開き、午前中は日本海側の山岳でも広い範囲で青空が広がりました。しかし、等圧線が南にふくらんだ破線の部分があります。ここは、気圧が低い方から高い方に向かって線が張り出していて、このようなところは、周りより気圧が低い、気圧の谷になります。弱い前線が隠れていると思ってください。これが南下してきて天候が急変した訳です。

同じようなケースの八方尾根からの白馬三山にかかる雲を見ていきましょう。

始めは、白馬三山の上部だけに雲がかかっていましたが、

ご覧のとおり、厚みを増しながら迫ってきました。このようなとき、天候が急変します。森林限界より上部に登ると、大荒れの天気に見舞われる恐れがあります。

さて、上図は高度約5700m付近(500hPa面)の気温です。この時期は、-15℃以下の寒気が接近してくると、要注意です。日本海にはこれより強い-18℃線が南下していて、上空の寒気が強まっていることが分かります。このようにこれからの季節、上層に強い寒気が迫ってくると、高い山では荒れた天気になることが多いので、事前に予想天気図から気圧の谷の存在や上層の寒気について確認し、現地で雲の様子から修正していきましょう。

※地上天気図は気象庁ホームページより。500hPa面の気温予想図はヤマテンの山の天気予報、専門天気図ページより。写真は八ヶ岳2点は猪熊隆之撮影。八方尾根からの白馬三山2点は白馬村振興公社提供(http://hakubakousha.com/index.php/live-camera-happo-ike)。

※図、文章、写真の無断転載、転用、複写は禁じる。

文責:猪熊隆之

 


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