子育てカウンセラー・作家:山本勝美ブログ「子育ておしゃべりコーナー」

子育て・心理カウンセラー山本勝美のブログ。子育て・介護・障害者などの悩み相談も。

[性器いじり」(第5回)ーー「くせ」の話し(第11話)

2009年05月08日 | Weblog
(「性器いじり」(その1))のまとめ

○わが子のこの問題について多くの親はとまどう。
○男の子の場合は、おちんちんをいじくる、だんだん頻繁になる、
いじっているうちに大きく膨らんでくる
○女の子の場合は、おまたをさわる、机のかどなどにおなかを押しつける、
座布団やたたみの上にうつぶせになって全身に力をいれて固くなる、

○「性器いじり」の特徴は
1)3歳前後から本格化する
2)子どもなりに快感を感じる
3)多くの子(男の子は大半)が行う
4)何らかのストレスや鬱積があると、こだわりは強くなる
5)生活条件や環境が整いストレスが薄まるとやむ場合が多い
6)「くせ」の一つなので、やめさせようとしつける程かえって強まる。
  ”ごほうび”も無駄。
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(「性器いじり」(その2))のまとめ

今回から相談の事例から考えてゆきましょう。

事例1:「放っておいたら消えました」
3歳の女の子がお股をさわっているとお母さん。
子育て相談の基本は,
「子どもをしつけて親の願う方向に恣意的に向けようとするのではなく、
先ず子どもの気持をありのまま受け入れること」。
そこで「むりしないで見守ってゆきましょう」と伝えたところ、
一ヶ月後の面接では「やめました」と見事に効果が見られた。

事例2:「長い月日がかかって消えたケース」
3歳の男の子。2、3ヶ月前からおチンチンいじり。
そこで次のような助言をしました。
1)注意するとか叱るなどして止めようとするとかえってあおる結果となる
2)外で遊び、発散させてあげましょう。

1)については、その後お母さんは守っていました。
ところが2)については、当面近くにある公園は小さく子どもがいないため家の中で過ごす。
しかし数ヶ月後の面接で「大きな公園を見つけ、ほかの子と遊んでいるうちに消えました」

結論として
1)子どもにとっては,性器いじりも毎日の過ごし方次第で違ってくる。
2)3歳ぐらいからなら外遊びに夢中になる。友だちと遊ぶと一層はずむ。
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(「性器いじり」(その3))のまとめ

事例3:「お母さんが日頃の生活を冷静に振り返り,気付きが深まり、おちんちんいじりが解消」

お母さんは自分を見つめ、日常生活を振り返り,ゆとりのない生活ペースに気付きました。
つまり、
1)自分がパートの仕事を増やしたので充分遊びの相手ができなくなっていたこと、
2)イライラして子に当たることが増えたこと、
3)性器いじりを止めようと叱り続けたこと、

このような気付きから時間のゆとりを作る工夫をしました。
そして以前のように一緒に遊ぶ時間を作ることで、
お母さん自身のぎすぎすした態度が薄らぎ、子どもも喜ぶようになりました。
その結果おちんちんいじりが3日目には消えてゆきました。

お父さんは大らか。[俺もさわるから心配ないよ」と。
このお父さんの態度もお母さんに取っては良きサポートになったと思います。
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(「性器いじり」(第4回))のまとめ

事例4:「お母さんは我が娘が汗をかきながら行っているのを見て”熱いでしょう”とうちわであおいで上げた」

3歳の女の子、よく座布団の上に腹這いになりからだを硬直させながら左右に揺さぶっている。
それがだんだん激しくなってきました。
でもお母さんは、一度も注意せず放っておいた。終わった頃には[もう終わったの?」
とさりげなく声をかける。子どものほうも「うん終わった」と応えておしまい。
夏には汗をかいて行うようになりました。するとお母さんのほうから、
タオルで汗を拭ってあげたり「熱いでしょう」とうちわであおってあげたり。
「ママ,来て!熱いから」と頼むようになる。
そしてこのくせは間もなく消えていったのです。

お母さん曰く「いつかは消えるのだから、とくに止める必要はないと思っていました。」
このお母さん、実はぼくが勤めていた保健所の保健婦さん、
お子さんのことには温かい心で、そして広い,大らかな視野で見守っていたようです。
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「性器いじり」(第5回)ーーー「くせの話し」(第11話)

事例5:「性器いじりへの抵抗感、親の問題という自責の念から放っておけない事例」

数年前の相談例ですが、4歳の男の子の親子で相談室に見えました。
そ時の様子ですが、お母さんはとても固くなっていました。
男の子も人見知りして緊張している感じが伺われました。

お母さんとテーブルをはさんで向かい合ってからしばらくは沈黙が続いていましたが、
やがてお母さんがうつむきながら小さい声でお話を始めました。

「あの・・・実はこの子のことで・・・気が付いたらおちんちんをいじくって遊んでいまして」
「ああそうですか。この年頃のお子さんはみんな行っていますよ」
「あっそうなんですか」
[ですからご心配はいりません。まあ,でもせっかくおいでになったのですから、
どうぞお気軽に。もう少しお話を聞かせて頂けますか?」
「はい。はじめは「かゆいの?」と聞いてみたり、お風呂でよく洗ったりしていたんですが一向にとまらないんです。
そのうち時々見るにつけ
「さわっているとばい菌が入るからやめようね」
と注意するようになりました。ところがだんだん膨らんでくるようになってきたのを見て、
もうびっくりしちゃって・・・」
「ええまあ、でもそれがふつうですけどね」
「男の子ってそうなんですってね。お父さんにもようやく思い切って話しますと
「ああ、オレは前から知っていたけど、別に。
男の子はみんなやってるんじゃないの?おれもやっていたから」
と平然としているのでさらにビックリしました。」


お母さんは三人姉妹の長女で、こんなことは知らなかったとのことです。
それからは、でも見るたびに
「ばい菌が入るからやめようね。お医者さんに行かなきゃならなくなるわよ」
とか注意し続けていました。
でも一向にやめないので不安になって、ついに相談室に来られたとのことです。


さて男の子は相談室の中の,少し離れたところでおもちゃを見つけて喜んで遊んでいました。
でもお母さんが時々大きい声で「おちんちん」という言葉を発するたびに
はっとしてお母さんを見つめます。
そこでぼくは、これは良くないと思い、おもちゃをしまってある隣の小部屋に連れて行き、
そこのおもちゃを見せて「どれであそんでもいいんだよ」と伝えました。
すると、そこに落ち着いて遊ぶようになりました。


お母さんもその場面を見て、それからは小声になりました。
そしてさらに一通り伺った後にぼくは説明しましたーーー

○「この年齢の子たちの大半は大なり小なりおちんちんに好奇心を抱いてあそび始めます。
でもほとんどの場合やがてほかの遊びに興味が移り消えて行きます。

○それから、かりに続けても、それによって何か心身に悪影響が起こるということはありません。

○ただ、これも仕方のないことですが、親御さん方は目に入るたびに
気になりますから、幾度も止めるようになります。

○その結果、注意がかえってお子さんの興味を呼び起こし、こだわりが強くなって行きます。
お子さんはある意味、自然な感じ、時には無意識に手が行って、いつもの習慣で繰り返しているぐらいのほうが多いのです。」


「それじゃ、とめてもとまらないんですか?」
「そうですね。くせはだいたいどんなことでもそうですが、
大人が言葉で”やめようね”と言ったり、厳しく叱ったりと、
いろんなやり方で繰り返していてもやめないばかりか、、
それまで半ば無意識に自然に繰り返していたことにハッと気が付き、
かえって余計に興味を強め、やろうという気にさせられます。
つまり逆効果になるばかりなんですね。」


「あのう、それで、このくせは親の育て方に何か問題があったからでしょうか?
うちでは二人が仕事で忙しく、あまりゆとりのない生活をしてきましたし、
よく夫婦のいさかいも起こりましたからそういう余裕のない生活が
何か響いているんじゃないかと気になっているんですが・・・」


その時ぼくの胸には「事例3」のお母さんのことが思い出されました。
ご自分の日頃の様子を相談の中で振り返り、今ゆとりを失っている自分、
以前のように子どもと遊ぶ時間がなくなってきていること、
そしてその頃からくせも始まったこと、などに気付いて,
それ以降ゆとりのある生活のリズムを取り戻す努力を可能な範囲で工夫してみたところ、
3日程のうちにくせが解消した、というお話のことです。

「こんなお話もあるにはあります。あるお母さんがご相談に見えて、
ご自分の日常生活を振り返り、ゆとりのなさに気付いたので、工夫してみたところ、間もなく消えました」

ここまでお話しするとこの方は
「えっ、じゃあ、やはり親の問題なんですね!」
とショックを隠せずに叫んでおられました。
「そういう点をお伝えしたい訳じゃないんです」

ぼくは、この方にはゆとりをもって冷静に振り返ることが今は無理と悟り、
事例3のことについてはそれ以上のお話しを避けました。


(まとめとその後のこと)

後日の面接でのことですが、性器いじりをしている場面が目に入ったとき、
ただ注意し続けるということではなく、
その場面でほかに何かできることはないか、ということについて話し合いました。

確かに、ただ見過ごしにしているということは、通常の感覚や気持ちからすると
なかなか困難なことだと思われます

お子さんはその時、気持ちがすさんでいるとか,物足りない時やストレスが強くなった時ではないかと思われます。
(ちょうど「指しゃぶり」のところでお話ししたように,
夕どきに、指しゃぶりをしたくなる時の心境に似ているようです。)
そうすると、さりげなく抱っこをしてあげるのも一つではないでしょうか?
あるいはほかの好きなおもちゃや絵本、ビデオなどに注意を向けて一緒に遊ぶなどはいかがでしょう?とお勧めしました。

その後の経過では,このお母さんもそのことは実行できたようです。
ただ注意することはやめられず,ますますきつくなって行きました。

その後の永い月日にわたる経過については伺っていません。



(振り返って)
○この事例のように、
潔癖な抵抗感と生真面目な自責の念からは、
性器いじりがふつうのくせであると受け止めること、
また干渉せずにおく、という対応は残念ながら困難だと思われます。

同じ相談とアドバイスをしても、
そのことから、自分と自分の家族全体を冷静に振り返り、気づきが生まれる方と、
抵抗感と自責の念でかえって混乱する方とでは,
基本的に方向が違ってくることがおわかりでしょう。






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1 コメント

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相談 (すずき)
2011-07-30 22:21:36
文面、読ませていただきました。

うちの娘は8歳、小学校の三年生なのですが。最近眠りにつくまえに、枕を股にはさんだり、手を性器にあてています。

なにか、参考に。と読んで行くうちに、三歳頃の話しが多いので、小学生はまた対処法や、理由が違ってくるのでしょうか。生活環境的には最近変わったことはない気がします。私は週4回昼までパートで働いています。