政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

後期高齢者医療保険を世論が追いつめた

2008-09-22 16:38:41 | 自民党
ついに桝添が転んだ。
これまで政府の最前線で後期高齢者医療保険制度の弁護・擁護に詭弁・強弁を繰り返してきた桝添厚労相が姿勢転換。
制度の廃止を訴える民主党や世論に対して、無責任な態度といって口汚くののしってきた桝添。
それがこの豹変振り。
総辞職を目前にしてのこの態度はいったい何なんだ!

舛添厚労相、高齢者医療制度の見直しを検討 (asahi.com 9/20)

舛添厚生労働相が75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(後期医療)について、廃止も含めた見直しを検討していることが19日明らかになった。後期医療は今年4月に制度が創設されたが、年金からの保険料天引きなどに批判が強く、政府・与党が今年6月に改善策を打ち出したばかり。10月15日の天引きや次期総選挙が近づくなか、大胆な見直しで国民の支持をとりつけたい考えだ。

関係者によると、舛添厚労相は自民党の麻生幹事長らと批判の強い後期医療について、改善ができないか検討を進めていたという。


この男、いつも「首相が」とか「首相と」とか、首相との親密さを宣伝してきた。
「麻生と検討を進めていた」?
いつの間にか麻生にすり寄っていた。
まったく変わり身の早い男だ。

自民総裁選:選挙運動終了 争点ぼやけ「総選挙対策」濃く (毎日jp 9/21)

世論へのすり寄りは、最終日の議論にも表れた。21日、NHKや民放テレビで、麻生氏は後期高齢者医療制度について「これだけ国民の反発が出て納得いただけないなら、非を改めるのに長く時間をかけない。抜本的に見直す必要がある。75歳という年齢制限などはつけない」と語った。

 一緒に出演した石原伸晃元政調会長(51)も「抜本的に見直さなければいけない」と同調し、与謝野馨経済財政担当相(70)も「行政責任をどこが持つかに問題がある」と理解を示した。衆院選で野党の攻撃材料を一つでも減らしたい思惑が先行している。


雪崩を打って、制度の見直しを訴える。
いくら選挙対策とはいえ、あんまりあからさますぎるんではないか。
こんなに簡単に態度を変える連中を信用しろといっても信用できるわけないだろう。

しかし、選挙対策とはいえ、走り出していた新制度を、世論がここまで追い込んだことは瞠目に値する。
そして世論形成に大きな力を発揮したのが茨城県医師会であった。
茨城県医師会の投じた一石はずいぶんと大きな波紋を広げた。



茨城県医師会の作ったポスターである。
同医師会は反対表明に終わることなく行動していた。
20万人にのぼる反対署名も集めている。
中央の決定に唯々諾々と従う地方。
こんな図式が崩れようとしている。
自立した個人。自立した地方。
新しい民主主義の一歩を刻む出来事と言ってもいいかもしれない。

しかし、麻生や桝添の見直し発言くらいで気を許してはいけない。
こちらがちょっとでも油断するとすぐにつけ込んでくるのが自民党の政治家と役人どもだ。
この後期高齢者医療保険制度が完全に葬り去られるのを見届けるまでは、我々庶民は安心できない。




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