しねまき ~月刊シネマ鑑賞記~

毎月、劇場で見たすべての映画の記録です。

2006年2月の感想記

2006-03-03 | しねま感想記(終了)
劇場鑑賞本数 36本

キング・コング
号泣必至の究極の純愛映画。序盤のショービズ界、中盤の島でのアドベンチャー、終盤のNYでの闘いと、映画3本分がぎっしり詰まった面白さ。男気あふれるキングコングに感情移入させ、やがて訪れる悲劇への展開は圧巻。特にNYの氷上のシーンはまるでダンスのようで、一瞬の幸福を見事に描いてみせた。

スタンドアップ
全米初のセクハラ集団訴訟に至るまでの社会派ドラマ。男に虐げられ続けてきた一人の女性の人生を、S・セロンが決して大げさではなく、抑制された演技で光らせる。女性陣に引けを取らない、W・ハレルソン、S・ビーン、R・ジェンキンスの好演も見逃せない。

スキージャンプ・ペア
一組の板で2人一緒にスキージャンプ……が、トリノ五輪正式種目になるまでを描いたドキュメンタリー。発想の斬新さと描写・展開のせこさのギャップに大笑い。特にジャンプシーンのCGにはトホホ。

最終兵器彼女
壮大なSF的内容を、あくまでも日常の小さな話に展開させたことが勝因。兵器にされてしまった女子高生と見守るしかない男子高校生の、あまりにもぎこちない恋愛描写が逆にせつなくなる。

あおげば尊し
死期の迫る老父。息子である小学校教師のクラスでは、実体のない死に興味津々。人が死ぬことはどういうことなのか、悩み、答えを出そうと行動に出る教師の描き方が秀逸。受ける老父・加藤武さんの演技は有無を言わせない。

男たちの大和 YAMATO
これまで繰り返し描かれてきた家族や恋人たちの出征・出陣のエピソードだが、身の毛もよだつほどの戦闘シーンに圧倒される。乗員が次々と死んでいき、大和が撃沈されていく地獄絵のリアリティがこの映画を成功に導いた。あの時代の体験者がかろうじて残っている今、作っておかなければならない映画である。

ブラックキス
連続猟奇殺人事件を目撃してしまったモデルたち。事件を追う刑事たち。手塚眞監督らしい作家性を織り込みながら、第一級のエンターテイメントなサイコサスペンスに仕立て上げる。華やかな女優陣と渋さあふれる男優陣の競演も嬉しい。

るにん
江戸時代の八丈島を舞台に、流人たちの生きざまが剥き出しに描かれる。すさんだ人々の心象と荒々しい島の風景がシンクロ。このような異色の時代劇を企画しただけでも喜ばしい。渾身の力作へと導いたのは、奥田瑛二監督。

ピーナッツ
内村光良初監督作。奇をてらわず、ストレートな青春スポーツドラマに徹し、好感が持てる。チームメンバー一人一人の想いをしっかり描き分けた手腕はあっぱれ。笑わせ、泣かせ、心温まる王道の娯楽映画誕生。色眼鏡なしで見てほしい。