年利36％って言ったら例のグレーゾーン金利の上限のはるかに上だよ

Ｌ＆Ｇ：５万人から１千億円集め返金停止　出資法違反か

　なんつか，この手の事件が起きるたび思うのは「なんでこんなもんに騙されるかなぁ」ということである。例えばここの設立時の宣伝。「3ヶ月で協力金の（出資金）の9%（年利にして36%である）が得られ，満期（1年）になったら元金を返金する」だ。

　年利36％って言ったら例のグレーゾーン金利の上限（つまり出資法の上限金利）である年29.2%をはるかに上回っているのだよ。これがどういうことかと言えばこの会社は，合法的な営業をしている金融機関からそこが取れる最高の金利で資金を調達するよりも，それ以上の金利であなたから出資をしてもらう方がいい，という商売をしているってことだよ。そんな商売ありますか？

　あるところにはあるんぢゃないの？ というおめでたい人にもう少し説明すると，どんな商売でも事業資金を調達する金利は安ければ安いほどいい。100円でモノを仕入れ1年かけて110円で売るという商売をしているひとが，その100円の元手を年利10%で借りたら，儲けはゼロだ。

　安い方がいいのにわざわざ高い利子を払って金を調達する理由は二つしか考えられない。一つは安い金利ではどこも貸してくれないようなリスキーな商売である場合，当たり前だがこの場合元本が保証されるなんてことはない。そしてもう一つは最初からそんな金利払うつもりがない場合だよ。つまり詐欺だってことである。

　ちょっとは上向く傾向にあるとは言え，現在公定歩合は 0.75%だ。これは日銀が一般の銀行に融資する場合の金利だから，乱暴に言えば銀行はこれ以上の利息を取って金を貸せば儲かるという計算になる。いいっすか，この10倍取っても 7.5%なのよ。そしてグレーゾーンの下の方，つまり利息制限法の上限金利は元本100万円を超える場合（この会社の「協力金」は1口100万円だった）年15%である。

　早い話，グレーゾーン金利が撤廃されないうちは 29.2%，撤廃されたら100万円以上出させて年 15%以上（10万円までなら年 20%）の利益と元本を保証するなんて投資話は信じない方が利口だということである。「そんなこと言ったって世の中にはぬれ手に粟のうまい話実際にがあるんだよ」と言うかも知れぬ。オレもそれがあるかも知れないことは否定しないが，そんな話はあなたやオレには金輪際来ないってば。