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大恐慌!?その410 「臭いものに蓋」プロセスのその次は?

2009-05-24 22:04:34 | 世界経済

久しく投稿が滞り失礼いたしました。週末、昼夜もないような生活が続いていましたが、やっと落ち着きを取り戻しつつあります。

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少し前のニュースフローも含めて、最近の動きを振り返ってみたい。時価会計の緩和に始まった一連の「臭いものに蓋」のプロセスはとりあえず、ひと段落を見せた。

・時価会計の緩和

・マイルドなストレステストの結果発表

・当局者、金融機関トップの強気発言

・そして、金融機関の増資ラッシュ

結果として、金融機関の株価水準は、大幅な回復を見せ、金融機関は高い株価での増資を実現。景気の先行きへの楽観論もすっかり広がった。

http://stockcharts.com/h-sc/ui?s=BKX&p=D&b=5&g=0&id=0(日次)

肝心のストレステストの中身について、色々な詳細の分析を見る時間がとれなかったが、失業率前提について話をすると、4月の実際の失業率は8.9%。ストレステストの前提は2Q(4~6月)でベースケースで8.3%、悲観ケースで8.8%(※1)。4月単月で既に悲観ケースよりも悪いが、※4で示すようにその後も着々と失業保険受給総数は増加。2Qとしては悲観ケースより大きく悪い数字となろう。ちなみに、ベースケースで一番失業率が悪化する水準が8.9%であり、既にその水準に到達している。

ストレステストの必要額算定において、ベースケース、悲観ケースどちらを前提にしたのかという詳細を追いきれていない(普通はベースケースでやるものと思われる)が、 当初財務省が想定した必要資本額から、各金融機関との折衝で相当減額した、という報道があったので、いずれにしても悲観ケース以下のストレスとなろう。

ちなみに 20日になってFRBが出した見通しでは、失業率は9.2―9.6%まで悪化すると予測しており、ベースケースは不十分ということを当局自ら認めた形となる(※2)。

高い株価で増資ラッシュを済ますことで、政府が追加出資する額も抑えられるし、当局や金融機関にとっては、良いことずくめなわけだが、さて今後の展開はどうなのか?

肝心の個人消費については、米小売りは一進一退。 ※3のグラフが示唆するのは、V字回復というよりL字不況の持続、が懸念される状況。ホームエクイティなし、クレジットカードの延滞率急上昇中の局面で、一時的な株高だけが支えられる消費には限界があるとも思えるがどうか。 

過去の景気後退局面が終了する場面で必ず減少し、景気後退の終了時期をみるうえで、有効性があると考えられる米週間失業保険申請数(4週平均)は、ピークから約5%減となり、景気後退が終了に近い可能性を示しているとの見方もできるが、一方で高止まりの傾向も見られる。特に政府の景気対策による政府雇用者増の影響が大きいものと想定され、今後は、微妙な局面。いずれにせよ、給付総数は過去最高(※4)。

 

※1 Employment Report: 539K Jobs Lost, 8.9% Unemployment Rate

   http://www.calculatedriskblog.com/2009/05/employment-report-539k-jobs-lost-89.html


Stress Test Unemployment RateThe second graph shows the unemployment rate compared to the stress test economic scenarios on a quarterly basis as provided by the regulators to the banks (no link).

 

※2 米、マイナス2%成長も FRB、09年見通し下方修正

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2100J%2021052009&g=G1&d=20090521

 【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)は20日、最新の米経済見通しを発表した。2009年の実質経済成長率(09年10―12月期の前年同期比)をマイナス2.0―同1.3%とし、1月の前回見通し(マイナス1.3―同0.5%)から下方修正した。失業率は9.2―9.6%まで悪化すると予測。米経済が安定的な成長軌道に戻るには5―6年かかるとの見方がFRB内で優勢になっているという。

 同時に公表した4月28、29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録によると、複数の委員が長期国債などの購入増額による資金供給の拡大に前向きな姿勢を示していたことが判明。FRBは米景気の年内の底入れを確実にするため、追加緩和も視野に金融政策を運営するとみられる。

 FRBは四半期ごとに米経済見通しを発表する。今回は4月のFOMCで正副議長や理事、地区連銀総裁の予測を集計。中央値を公表した。  

 

※3 Retail Sales Decline in April

http://www.calculatedriskblog.com/2009/05/retail-sales-decline-in-april.html


Year-over-year change in Retail Sales Click on graph for larger image in new window.

To calculate the real change, the monthly PCE price index from the BEA was used (April PCE prices were estimated as the average increase over the previous 3 months).

Although the Census Bureau reported that nominal retail sales decreased 11.4% year-over-year (retail and food services decreased 10.1%), real retail sales declined by 11.9% (on a YoY basis).

 

 

※4 Unemployment Claims: Continued Claims at Record 6.66 Million

http://www.calculatedriskblog.com/2009/05/unemployment-claims-continued-claims-at.html

Weekly Unemployment Claims Click on graph for larger image in new window.

The first graph shows weekly claims and continued claims since 1971.

The four-week moving average is at 628,500, off 30,250 from the peak 6 weeks ago.

Continued claims are now at 6.66 million - an all time record.

 


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