雪の降った朝の街路樹ナナカマドの実は雪をのせて、青い空にひときわ赤く
輝いています。
一月も末になるとナナカマドの木々のうち半分くらいは野鳥が実を啄んで
枯木のように見えます。残っている実は凍える大気の中で雪の重みに耐えて
しばらくの間赤く燃えているように鮮やかです。この時季のナナカマドが
一年で一番印象的です。赤い色が私の胸に飛び火して「生きるってこの姿の
ことかな!」と感じさせます。
先日、奈良県の57歳の男性が新聞紙上に投稿した詩です。
「樹が」
弱りきった心で 樹を見上げたら
私を 守ろう守ろうとする 強い意思が
幹を伝わって くるように思えた
疲れきった身で 樹にすがったら
私を 救おう 救おうとする 深い意思が
根を張っているように 見えた
57歳、人生の後半で重たくて濃密な時間を過ごしている、この詩の作者に
深い共感を覚えます。