枯れ木にも花が咲きました。花咲か爺さんが咲かせたのも、もしやこれでは
と思わせる真っ白な世界が広がっています。北国札幌の師走、二十二日の
雪の朝の風景です。朝晩通うこの道の先には外猫の避難箱があって、そこには
私を待っている猫たちがいます。
雪が降った日は雪面が昇華する湿度によって、しっとりとした空気に
満たされて心まで潤って落ち着きます。
雪が天から舞い降りてくる時は、言葉にはならない白い記号が「聖なる」
「聖なる」と印をつけながら大地をつつみます。
こんな日は北海道を離れて暮らしている友人に「雪の便り」を書きます。
長いこと故郷を離れて暮らしている友人の記憶の中の雪景色は鎮魂の思いにも
通じるのだそうです。
ノルウエイのことわざに「ノルウエイ人がノルウエイ人に出会うと、いつも
ノルウエイのことを語る」と言うのがあるそうですが、北海道人は冬中雪の
ことを語って過します。
師走も残すところ五日となりました。どうぞよいお年をお迎えください。