goo blog サービス終了のお知らせ 

憲法9条 戦争と平和

自分が生きている間に、戦争や紛争をなくしたい。理想郷ということではなくて・・・

教育基本法

2005-01-14 | 資料
教育基本法
昭和二十二年三月三十一日
法律第二十五号

朕は、枢密顧問の諮詢を経て、帝国議会の協賛を経た教育基本法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

教育基本法
われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

第一条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。


第二条(教育の方針) 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。


第三条(教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。

国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。


第四条(義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。


第五条(男女共学) 男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。


第六条(学校教育) 法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。


第七条(社会教育) 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。

国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。


第八条(政治教育) 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。

法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。


第九条(宗教教育) 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。

国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。


第十条(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。

教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。


第十一条(補則) この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。


附則
この法律は、公布の日から、これを施行する。

主客転倒 (※主と客の力関係が逆になること)

2005-01-14 | weblog
自民党・憲法改正プロジェクトチームが出している「論点整理」の中には、次のような記述があります。
--------
新憲法では、基本的に国というものはどういうものであるかをしっかり書き、国と国民の関係をはっきりさせるべきである。そうすることによって、国民の中に自然と「愛国心」が芽生えてくるものと考える。
--------

「国と国民の関係をはっきりさせるべきである」という表現は不思議な表現です。現行憲法では関係がはっきりしていないかのうようですし、不適当な関係のようにも受け止めることができます。

国と国民との関係では、国民が「主人公」です。憲法は国民が定めるものですから、憲法を通して国に対して「命令」をしているといえます。ただ、憲法が国民に対して「命令」をしている条文もあります。それは「第3章 国民の権利及び義務」に記されています。

具体的内容としては、①「公共の福祉」による自由の濫用制限、②普通教育を受けさせる義務、③勤労の権利と義務、④納税の義務、ということになると思います。それ以外は、国民の権利を国家権力から守るための条文になっています。または、国の暴走を防ぐために国に対して制限を加えている条文になっています。国と国民との関係を憲法を通して考えるとき、11章103条に渡って、国民が国に対して命令をしている、と読むことができるのです。

国民は「主人公」ですが、好き放題自由にできる、という存在ではありません。「公共の福祉」によって自由の濫用を制限されているからです。逆に言いますと、国が「公共の福祉」を理由に、国民の自由を制限し、様々な強制力を働かすことも想定できます。条文を曲解して「公共の福祉」のために、国民を兵役にとる、ということがあり得るかもしれません。命を捧げ出すことを強制するかもしれません。しかし現行憲法は、国権の発動による戦争を放棄していますので、国民は国から戦争を強要されることはありませんし、命を国のために捧げる必要もありません。公共(国)のために個人の自由が制限されることと、国による戦争を禁止していることとは不可分一体をなして機能しているといえます。

憲法改正の狙いは9条にある、といわれます。現行憲法は、国の交戦権を認めていませんが、自民党の思惑通りの改正がなされれば、国権の発動による「戦争」ができるようになります。
では、自民党はどのような改憲案を出してきているのでしょうか?

「自衛のための戦力の保持を明記」して、「個別的・集団的自衛権の行使に関する規定」を盛り込もうとしています。これで「戦争ができる国」になります。そして、「国の防衛及び非常事態における国民の協力義務の規定」を設けようとしています。これは「国防の義務」を国民に負わせることです。

国民が国に対して「戦争をしてはいけません」と命令をしていた現行憲法を書き換えて、
国が国民に対して「国防の義務」という形で、「国のために命を捧げなさい」と命令をしています。これでは主客転倒です。

教育基本法改正案原案の要旨

2005-01-13 | 資料
 第1条(教育の目的)教育は、人格の完成を目指し、心身共に健康な国民の育成を目的とする。

 第2条(教育の目標)教育は以下を目標として行われる。▽真理の探究、豊かな情操と道徳心のかん養、健全な身体の育成▽一人一人の能力の伸長、創造性、自主性と自律性のかん養▽正義と責任、自他・男女の敬愛と協力、公共の精神を重視し、主体的に社会の形成に参画する態度のかん養▽勤労を重んじる▽生命を尊び、自然に親しみ、環境を保全し、良き習慣を身につける▽伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度のかん養。

 第3条(教育の機会均等)国民は、能力に応じた教育を受ける機会を与えられ、人種、信条、性別等によって差別されない。

 第4条(生涯学習社会への寄与)教育は、学問の自由を尊重し、生涯学習社会の実現を期す。

 第5条(家庭・学校・地域の連携協力)教育は、家庭、学校、地域等の連携協力のもとに行われる。

 第6条(家庭教育)家庭は子育てに第一義的な責任を有するものであり、親は子の健全な育成に努める。国・地方公共団体は家庭教育の支援に努める。

 第7条(幼児教育)幼児教育の重要性にかんがみ、国・地方公共団体はその振興に努める。

 第八条(学校教育)学校は、国・地方公共団体及び法律に定める法人が設置できる。規律を守り、真摯(しんし)に学習する態度を重視する。

 第9条(義務教育)国民は子に、別に法律に定める期間、教育を受けさせる義務を負う。国公立の義務教育諸学校の授業料は無償とする。

 第10条(大学教育)大学は高等教育・学術研究の中心として、教養の修得、専門の学芸の教授研究、専門的職業に必要な学識と能力を培うよう努める。

 第11条(私立学校教育の振興)私立学校は、建学の精神に基づいて教育を行い、国・地方公共団体はその振興に努める。

 第12条(教員)教員は、自己の崇高な使命を自覚し、研究と修養に励む。教員の身分は尊重され、待遇の適正と養成・研修の充実が図られる。

 第13条(社会教育)国・地方公共団体は、学習機会の提供等により振興に努める。

 第14条(政治教育)政治に関する知識など良識ある公民としての教養は、教育上尊重される。学校は、党派的政治教育、政治的活動をしてはならない。

 第15条(宗教教育)宗教に関する寛容の態度と一般的な教養ならびに宗教の社会生活における地位は、教育上尊重される。国公立の学校は、特定の宗教のための宗教教育、宗教的活動をしてはならない。

 第16条(教育行政)国は、教育の機会均等と水準の維持向上のための施策の策定と、実施の責務を有する。地方公共団体は、適当な機関を組織し、区域内の教育に関する施策の策定と実施の責務を有する。

 第17条(教育振興基本計画)政府は、教育の振興に関する基本的計画を定める。

 第18条(補則)この法律に掲げる諸事項を実施するため、適当な法令が制定される。

武装解除と暴力装置

2005-01-06 | 安全保障と防衛力
『武装解除 紛争屋が見た世界』伊勢崎賢治著を読みました。伊勢崎氏は東チモール、シエラレオネ、アフガニスタンで紛争処理を指揮しています。暴力装置としての軍隊を考える上で非常に参考になります。秩序を回復(創造)し、維持していくための厳然とした現実の一端を教えてくれます。

抗争が常態化し、市民への殺戮が日常的に行われている無秩序状態から、いかにして秩序を回復していくのか。そうした現実に身を投じた伊勢崎氏は次のように指摘しています。

平和維持活動は「抑止力」である、と。

また、平和維持活動は「戦争」ではない、と指摘しています。ここは微妙な内容を含むと私は思います。平和維持軍を平和回復、平和維持のために使っている、ということですが暴力装置であることに変わりはないからです。慎重に状況を把握し、論旨を理解しなくては、軍隊そのものの常態化、肥大化を肯定することになりかねないからです。

伊勢崎氏が実践しきた秩序回復のプログラムはDDRというプログラムに示されます。

D:Disarmament 武装解除
D:Demobilization 動員解除
R:Reintegratin 社会再統合

武装解除、動員解除、社会再統合の順序で行う必要性を説くと同時に、平和維持軍(武装)による抑止と非武装による対話、交渉による秩序回復を行っています。状況としては、無秩序状態であり、紛争がいつでも再発しかねない状態である、ということを押さえることができます。また一方で、スタッフや自らの命を極限にさらしながらも、泥臭い政治的な決断を遂行しなくてはならない困難なミッションであることが語られています。きれい事では語れない現実の中の、実際に行われている武装解除である、と理解することができます。

-----------
通常、敵対武装勢力を武装解除するには、銃をおろしても双方に安全が保障される環境を作らなければならない。それには大量の中立な軍を投入することによって抑止力とすることが一般的な考え方だ。
引用:『武装解除 紛争屋が見た世界』P.166
-----------

この「抑止力」という言葉は、自衛隊を維持、肥大化していった論理でも使用されています。「力の空白をつくらない」と政治家は語り、白書にも記述されています。似ているようですが、ここは慎重であるべきだと思います。核の傘や米軍、ましてや自衛隊の肥大化が「抑止力」である、と解釈してはいけません。日本が行っている軍備増強は憲法違反そのものであり、もはや近隣諸国に対する「脅威」「威嚇」であると判断すべきです。

「抑止力」としての「軍」(暴力装置)が求められたのは、隣国で言いますと「38度線」を指摘できるのではないでしょうか。もっともらしいがゆえに自衛隊が常態化し、肥大化し極東最大の軍事力(脅威)を持つに至った事実を、私たちは直視しなくてはならないと思います。

-----------
イラクをはじめ、日本の自衛隊の派兵は、この現場でのシビリアン・コントロールの確保に敏感になるべきだ。平和憲法を戴く日本は、他国以上に敏感になる責任があると思う。イラクにおいて、イラク暫定政府からも。国連ミッションからも司令を受けない、そして連合国占領統治国(CPA)もなくなった後の米主導のシビリアン・コントロールは? 自衛隊は軍隊じゃなく人道援助団体だから、シビリアン・コントロールはいらないなんて言い訳が聞こえそうであるが、勘弁していただきたい。
引用:『武装解除 紛争屋が見た世界』P.165
-----------

ここで重要なのは、秩序回復、維持のための暴力装置の必要性を説きつつ、そのシビリアン・コントロールが言わずもがなの前提である、ということです。日本のやっている事は、その前提がめちゃくちゃになっていることを指摘しています。シビリアン・コントロールが効かない要因としては次の3つを挙げています。

・(違憲行為を行い続ける)現在の政治状況
・(情報収集能力、決断能力がない)日本の外交能力
・大本営化したジャーナリズム

この内容を指摘した上で、次のように結んでいます。

-----------
日本全体としての「軍の平和利用能力」を観た場合、憲法特に第九条には、愚かな政治判断へのブレーキの機能を期待するしかないのではないか。
日本の浮遊世論が改憲に向いている時だから、敢えて言う。
現在の日本国憲法の前文と第九条は、一句一文たりとも変えてはならない。
-----------


『武装解除 紛争屋が見た世界』

コスタリカ「有志連合」リスト削除要請(和訳)

2004-12-08 | コスタリカ
コスタリカは「有志連合」諸国リストからの削除をアメリカに対して要請しています。イラク戦争に対する明確な意思表示であると考えます。コスタリカ政府の公式文書を和訳しました。スペイン語がお得意な方で、より良い和訳があるようでしたらこのブログのコメント欄に書き込みをお願いいたします。コピー自由、無断転載を歓迎します。

--------------------和訳ここから
外務・宗務省
機関通信局
電話(00 506)256 65 61 ファックス 256 67 37
ウェブページ www.rree.go.cr

コスタリカのロベルト・トバル・ファハ外相、対イラク同盟「有志連合」諸国リストからの自国名の削除を米国に要請

コスタリカのロベルト・トバル・ファハ外相は、昨日の最高裁憲法法廷の判決に従い、今日、対イラク同盟「有志連合」諸国リストより同国名を削除するよう正式にアメリカ合衆国に要請した。

ロベルト・トバル外務大臣は、コリン・パウエル米国務長官に宛てた外交文書にて、同国は法治国家を重んじると共に、民主主義体制を律する権限の独立性を尊重し、最高裁憲法法廷の判決を遵守する責任を負うことを明らかにした。

この外交文書にて、「従って、コスタリカ政府は、アメリカ合衆国政府に対し、ホワイトハウスのホームページに掲載されている『対イラク同盟または連合』の『有志連合』諸国リストよりコスタリカ共和国の国名を削除することを要請する」と表明。同文書は在サンホセ米国大使館に提出された。

機関通信
(イラク削除リスト-492)
2004年9月9日(木)

--------------------ここまで


--------------------原文はここから

Ministerio de Relaciones Exteriores y Culto
Dirección de Comunicación Institucional
TELEFONO (00 506) 256 65 61 FAX 256 67 37
Portal electrónico: www.rree.go.cr


El Ministro de Relaciones Exteriores de Costa Rica, Roberto Tovar Faja, solicita a Estados Unidos retirar nombre de lista de naciones que apoyaron la coalición en Irak.


El Ministro de Relaciones Exteriores de Costa Rica, Roberto Tovar Faja, en cumplimiento de una resolución de la Sala Constitucional de la Corte Suprema de Justicia, emitida ayer, solicitó oficialmente hoy a Estados Unidos retirar el nombre de su país de la lista de naciones que apoyaron la coalición en Irak.

En una nota diplomática dirigida al Secretario de Estado de los Estados Unidos, Colin Powell, el Jefe de la diplomacia costarricense expresa que Costa Rica, respetuosa del Estado de Derecho y de la independencia de Poderes que rige su sistema democrático, acata con responsabilidad la decisión del alto tribunal constitucional.

“Consecuente con lo anterior, mi Gobierno se permite solicitar al Ilustrado Gobierno de los Estados Unidos de América, se sirva excluir el nombre de la Republica de Costa Rica de la lista de países “aliados” de la “Coalición” o “Alianza”, que consta en la página web de la Casa Blanca”, señala la nota diplomática, que ha sido trasladada a la Embajada de los Estados Unidos en San José.



Comunicación Institucional
(Irak retiro lista-492)
Jueves 9 de setiembre 2004.

--------------------ここまで

原文:コスタリカ政府 http://www.rree.go.cr
画面左上Sobre el Ministerio
→画面右Comunicacion Institucional
→画面中央上
 Busqueda Rapida por Categoriaで
 comunidadosを選択
→09/09のIrakretirolista.doc

最初の一発目は部隊判断で

2004-11-30 | 安全保障と防衛力
迎撃ミサイル発射の際に閣議決定などを省略するという考え方が出てきました。大野防衛長官は、ミサイル攻撃を受けそうな場合には「権限を現場に付与するしかないと思う」と述べています。ついに出てきた、という印象を受けると同時に、「防衛」といいながら歯止めが効かない状況に突き進んできている、と言わざるを得ません。

簡単に言うと、(戦争が勃発する際の、)最初の一発は部隊判断ができるように、(文民による)法整備を行いましょう、と言っているのです。

文民統制の重大な「放棄」を意味しています。こんな危険な発言をする大野功統氏には防衛庁長官を辞めてもらわなくてはならないと思います。ただ事ではありません。

------------
 事前承認の方法に関しては「ミサイルを撃ってくる場合、相手国の意思などがわかる。燃料を注入したり、ミサイルが立ってくるという状態もわかる。その段階で、(相手国がミサイルを発射した場合に迎撃する)事前承認を与える」と述べた。
------------
引用:YOMIURI ON-LINE 部隊判断で迎撃ミサイル発射を検討…防衛長官

この理屈は、簡単です。
ミサイル攻撃に対処するために、弾道ミサイル防衛システムを整備しようとしています。問題として、飛んでくるミサイルの滞空時間が短く、現場に指示を出すまでに打ち込まれてしまうことが想定される。だったら現場に判断させて迎撃ミサイルを発射してもらうしかない、そのための法整備をしておこう、というものです。

現場(軍部)の暴走を生む、制度として整備してしまう可能があります。
弾道ミサイル防衛システムは、現場(軍部)主導で、文民統制を否定するシステムであるともいえます。「防衛」のためなら「文民統制」を放棄します、と防衛庁長官が言い出したのです。

次に、「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書の記述です。
------------
ミサイル攻撃に対処するため他に手段がなくやむを得ない措置としていわゆる策源地への攻撃能力を持つことが適当か否かについては、米国による抑止力の有効性、ミサイル防衛システムの信頼性等の観点から慎重に検討するとともに、費用対効果や周辺諸国に与える影響等も踏まえ、総合的に判断すべきである。
------------
注:策源地 戦地で、前線の部隊に対し、物資の補給などの兵站(へいたん)活動を行う後方基地。

この文章の意味するところを詳しく聞きたいところですが、敵国に攻撃をすることを検証したいとしていることは間違いないと思います。この文章は、「2 新たな防衛力の体制」の項目の下の「(2)防衛力の具体的な構成」の下の「オ ミサイル防衛」の項目に記述されている文章です。想定される状況は、

①ミサイルを打ち込まれたため、策源地への攻撃を行う(報復、自衛攻撃)
②ミサイル攻撃が火急の事態として想定されるので、策源地への攻撃を行う(専制攻撃)

といったところでしょうか。

いずれにしても「防衛」といいながら敵国に攻撃を行うことを想定しており、これは、戦争です。
迎撃ミサイルの発射を現場(軍部)の判断で行うことを認めた先には、実は、似たような状況下における「防衛」という名の攻撃を想定していることを念頭において置く必要があります。

憲法改正プロジェクトチーム「論点整理」

2004-11-30 | 資料
 総論

一 新憲法制定に当たっての基本的考え方

 本プロジェクトチームの審議・検討を通じて浮かび上がった新憲法制定に当たっての基本的な考え方は、おおよそ次のとおりである。この中には、われわれの議論の共通基盤である、先の総選挙における政権公約の内容も含まれている。

《新憲法が目指すべき国家像に関して》
○  新憲法が目指すべき国家像とは、国民誰もが自ら誇りにし、国際社会から尊敬される「品格ある国家」である。新憲法では、基本的に国というものはどういうものであるかをしっかり書き、国と国民の関係をはっきりさせるべきである。そうすることによって、国民の中に自然と「愛国心」が芽生えてくるものと考える。
○  諸外国の憲法の規定例を参考にして、わが国が目指すべき社会がどういうものであるか(例えば「公正で活力ある経済活動が行われる社会」など)、その大綱について憲法に明示すべきである。

《21世紀にふさわしい憲法のあり方に関して》
○  新憲法は、21世紀の新しい日本にふさわしいものであるとともに、科学技術の進歩、少子高齢化の進展等新たに直面することとなった課題に的確に対応するものでなければならない。同時に、人間の本質である社会性が個人の尊厳を支える「器」であることを踏まえ、家族や共同体が、「公共」の基本をなすものとして、新憲法において重要な位置を占めなければならない。

《わが国の憲法として守るべき価値に関して》
○  新憲法は、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重という三原則など現憲法の良いところ、すなわち人類普遍の価値を発展させつつ、現憲法の制定時、連合国最高司令官総司令部の占領下において置き去りにされた歴史、伝統、文化に根ざしたわが国固有の価値(すなわち「国柄」)や、日本人が元来有してきた道徳心など健全な常識に基づいたものでなければならない。同時に、日本国、日本人のアイデンティティを憲法の中に見いだすことができるものでなければならない。

二 主要分野における重要方針

 一に掲げた基本的な考え方をもとに、安全保障など主要分野においてはさらに突っ込んだ討議がなされた。それらの討議全体を通じて、われわれが共有すると思われる新憲法草案の起草に当たっての重要方針は、おおよそ次のとおりである。

《安全保障の分野に関して》
○  新憲法には、国際情勢の冷徹な分析に基づき、わが国の独立と安全をどのように確保するかという明確なビジョンがなければならない。同時に、新憲法は、わが国が、自由と民主主義という価値を同じくする諸国家と協働して、国際平和に積極的能動的に貢献する国家であることを内外に宣言するようなものでなければならない。
 さらに、このような国際平和への貢献を行う際には、他者の生命・尊厳を尊重し、公正な社会の形成に貢献するという「公共」の基本的考え方を国際関係にも広げ、憲法においてどこまで規定すべきかを議論する必要があると考える。

《基本的人権の分野に関して》
○  新しい時代に対応する新しい権利をしっかりと書き込むべきである。同時に、権利・自由と表裏一体をなす義務・責任や国の責務についても、共生社会の実現に向けての公と私の役割分担という観点から、新憲法にしっかりと位置づけるべきである。

《統治機構の分野に関して》
○  新憲法には、迅速かつ的確な政策決定及び合理的かつ機動的な政策執行を可能とする統治システムが組み込まれたものでなければならない。また、憲法裁判所制度など憲法の実効性を担保する制度や道州制など国のかたちをなす大きな要素についてこの際明確に位置づけるべきである。

三 今後の議論の方向性

 憲法を論ずるに当たり、まず、国家とは何であるかについて、わが党の考え方を明らかにし、国民各層の理解を深めていく必要があると思われる。
 次に、憲法の意義を明らかにすべきである。すなわち、これまでは、ともすれば、憲法とは「国家権力を制限するために国民が突きつけた規範である」ということのみを強調する論調が目立っていたように思われるが、今後、憲法改正を進めるに当たっては、憲法とは、そのような権力制限規範にとどまるものではなく、「国民の利益ひいては国益を守り、増進させるために公私の役割分担を定め、国家と国民とが協力し合いながら共生社会をつくることを定めたルール」としての側面も持つものであることをアピールしていくことが重要である。
 さらに、このような憲法の法的な側面ばかりではなく、憲法という国の基本法が国民の行為規範として機能し、国民の精神(ものの考え方)に与える影響についても考慮に入れながら、議論を続けていく必要があると考える。


II 各論

一 前文

1 共通認識
 現行憲法の前文については、これを全面的に書き換えるものとすることで、異論はなかった。

2 前文に盛り込むべき内容
 前文に盛り込むべき内容に関する意見は、次のとおりである。
○  現行憲法の基本原則である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は、今後ともこれを堅持していくべきである。ただし、「基本的人権の尊重」については行き過ぎた利己主義的風潮を戒める必要がある。また、「平和主義」についても、現行憲法9条の見直しを反映させ「一国平和主義」の誤りを正すとともに、国を挙げて国際平和を推し進める姿勢を強調するなど修正が必要である。
○  国民誰もが自ら誇りにし、国際社会から尊敬される「品格ある国家」を目指すことを盛り込むべきである。
○  わが国の歴史、伝統、文化等を踏まえた「国柄」を盛り込むべきである。
○  環境権や循環型社会の理念(持続可能な社会づくりの観点)などを盛り込むべきである。
○  社会を構成する重要な単位である家族に関する文言を盛り込むべきである。
○  利己主義を排し、「社会連帯、共助」の観点を盛り込むべきである。
○  国を守り、発展させ、次世代に受け継ぐ、という意味での「継続性」の観点を盛り込むべきである。

3 前文の文章表現
 前文の文章表現に関する意見は、次のとおりである。
○  翻訳調の現行の前文の表現を改め、前文の文章は、平易で分かりやすいものとし、模範的な日本語の表現を用いるべきである。
○  一つの文章が冗長にならないようにすべきである。

4 今後の議論の方向性
 前文に盛り込むべき内容は、憲法の各条章の内容と深く関わるものであり、今後の議論の流れによっては大きく異なることも予想され、現時点でその内容を固める必要はないものと考える。一方、文章表現については、わが国の憲法である以上わが国の言葉で書かれるべきことは当然であるとしても、文体や語彙の選択は、盛り込むべき内容のいかんによって左右されるものであり、ある程度内容が固まってから議論の対象とすべきである。
 したがって、前文の議論は、各条文の議論が進んでから再び行うこととした。

二 天皇

1 共通認識
 象徴天皇制については、今後ともこれを維持すべきものであることについては、異論がなかった。

2 改正意見
 天皇の国事行為その他の公的行為に関する改正意見は、次のとおりである。
○  天皇の国事行為について定める第7条の規定のうち第4号の「国会議員の総選挙を公示すること」は誤りであり、これは「衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の公示をすること」とすべきである。
○  天皇の祭祀等の行為を「公的行為」と位置づける明文の規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
 連綿と続く長い歴史を有するわが国において、天皇はわが国の文化・伝統と密接不可分な存在となっているが、現憲法の規定は、そうした点を見過ごし、結果的にわが国の「国柄」を十分に規定していないのではないか、また、天皇の地位の本来的な根拠はそのような「国柄」にあることを明文規定をもって確認すべきかどうか、天皇を元首として明記すべきかなど、様々な観点から、現憲法を見直す必要があると思われる。
 なお、女帝問題については、皇室典範の改正という観点から今後検討すべき論点であるとの意見が多数を占めた。

三 安全保障

1 共通認識
 次の点については、大多数の同意が得られた。
○  自衛のための戦力の保持を明記すること。

2 安全保障に関し盛り込むべき内容
 安全保障について盛り込むべき内容は、次のとおりである。
○  個別的・集団的自衛権の行使に関する規定を盛り込むべきである。
○  内閣総理大臣の最高指揮権及びシビリアン・コントロ-ルの原則に関する規定を盛り込むべきである。
○  非常事態全般(有事、治安的緊急事態(テロ、大規模暴動など)、自然災害)に関する規定を盛り込むべきである。
○  「人間の安全保障」(積極的な「平和的生存権」)の概念など、国際平和の構築に関する基本的事項を盛り込むべきである。
○  国際協力(国際貢献)に関する規定を盛り込むべきである。
○  集団的安全保障、地域的安全保障に関する規定を盛り込むべきである。
○  食糧安全保障、エネルギー安全保障などに関する規定を盛り込むべきである。

3 今後の議論の方向性
 21世紀において、わが国は、国力に見合った防衛力を保有し、平和への貢献を行う国家となるべきである。こうした観点から、今後は、個別的及び集団的自衛権の行使のルール、集団的安全保障・地域的安全保障における軍事的制裁措置への参加のルール並びに国際的平和維持協力活動への参加のルールはいかにあるべきかを議論しながら、憲法においてどこまで規定すべきかを考える必要がある。
 なお、非常事態については、国民の生命、身体及び財産を危機から救うことが国家の責務であること、その責務を果たすために非常時においてこそ国家権力の円滑な行使が必要であるということを前提に、憲法に明文の規定を設ける方向で議論する必要があると考える。

四 国民の権利及び義務

1 共通認識
 時代の変化に対応して新たな権利・新たな義務を規定するとともに、国民の健全な常識感覚から乖離した規定を見直すべきであるということについて、異論はなかった。

2 新しい権利
 いわゆる「新しい権利」に関する意見は、次のとおりである。
○  「環境権」とともに「環境保全義務」に関する規定を設けるべきである。
○  IT社会の進展に対応した「情報開示請求権」や「プライバシー権」に関する規定を設けるべきである。
○  科学技術の進歩に対応した「生命倫理に関する規定」を設けるべきである。
○  知的財産権の保護に関する規定を設けるべきである。
○  現憲法は被告人(加害者)の人権に偏しており、犯罪被害者の権利に関する規定を設けるべきである。

3 公共の責務(義務)
 公共の責務(義務)に関する意見は、次のとおりである。
○  社会連帯・共助の観点からの「公共的な責務」に関する規定を設けるべきである。
○  家族を扶助する義務を設けるべきである。また、国家の責務として家族を保護する規定を設けるべきである。
○  国の防衛及び非常事態における国民の協力義務の規定を設けるべきである。

4 見直すべき規定
 上記の2・3とも一部重複するが、現憲法の運用の実態に照らし、権利に関する規定を見直すべきとする意見は、次のとおりである。
○  政教分離規定(現憲法20条3項)を、わが国の歴史と伝統を踏まえたものにすべきである。
○  「公共の福祉」(現憲法12条、13条、22条、29条)を「公共の利益」あるいは「公益」とすべきである。
○  婚姻・家族における両性平等の規定(現憲法24条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである。
○  社会権規定(現憲法25条)において、社会連帯、共助の観点から社会保障制度を支える義務・責務のような規定を置くべきである。

5 今後の議論の方向性
 この分野における本プロジェクトチーム内の議論の根底にある考え方は、近代憲法が立脚する「個人主義」が戦後のわが国においては正確に理解されず、「利己主義」に変質させられた結果、家族や共同体の破壊につながってしまったのではないか、ということへの懸念である。権利が義務を伴い、自由が責任を伴うことは自明の理であり、われわれとしては、家族・共同体における責務を明確にする方向で、新憲法における規定ぶりを考えていくべきではないか。同時に、科学技術の進歩、少子化・高齢化の進展等の新たな状況に対応した、「新しい人権」についても、積極的に取り込んでいく必要があろう。
  なお、美しい国づくりの観点から、景観を含めた環境保全と私権との調整についても今後の検討課題とする必要があると思われる。また、地方参政権(現憲法93条2項)について明確な規定を置くべきとの意見を踏まえ、今後さらに検討を続ける必要がある。

五 国会及び内閣

1 共通認識
次の点については、大多数の同意が得られた。
○  政治主導の政策決定システムをより徹底させるとともに、そのプロセスを大胆に合理化し、時代の変化に即応してスピーディに政治判断を実行に移せるシステムとすべきである。
○  現在の二院制については、両院の権限や選挙制度が似かよったものとなっている現状をそのまま維持すべきではなく、何らかの改編が必要である。

2 改正意見
 国会及び内閣の分野で、憲法改正に関する意見は、次のとおりである。
○  議事の定足数(現憲法56条1項)は、削除すべきである。
○  総理大臣以下の国務大臣の国会への出席義務を緩和し、副大臣などの代理出席でよいとするなど憲法の規定を見直すべきである。
○  法律案の提案権は、国会議員(国務大臣たる国会議員を含む)に限定する方向で憲法の規定を見直すべきである。
○  閣議における内閣総理大臣のリーダーシップ、衆議院の解散権の行使主体及び行使要件、国会の予算修正権など、現憲法では必ずしも明確でない事項について明確な規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
 議会制民主主義を採る以上、政策決定に当たり議会の多数の同意を得なければならないことは当然であるが、現在の政策決定システムの問題(運用も含めて)は、各省庁と内閣・政党との関係、一律の国務大臣の出席義務、会議の定足数など、最終的に議会の同意を得るに至るまでの間にあまりにも多くの時間を要するシステムになっているのではないかという点である。
 要は、どのような政策決定システムであれば国民の権利利益を適時適切に伸張・擁護することができるのかが重要なのであって、今後も、この観点から議論を続ける必要があろう。なお、首相公選制、国会議員の任期や会期制(現憲法52条、53条)、国務大臣全員を国会議員から選出すべきか、副大臣の憲法上の位置づけなどについても、今後検討する必要があると思われる。

六 司 法

1 共通認識
 次の点については、異論がなかった。
○  最高裁判所による違憲立法審査権の行使の現状には、極めて不満がある。
○  民主的統制を確保しつつも政治部門が行う政策決定・執行に対する第三者的な立場から憲法判断をする仕組み(憲法裁判所制度、あるいは最高裁判所の改組など)について、検討すべきである。
○  裁判官の身分保障のあり方について見直すべきである。
○  民事・刑事を問わず裁判の迅速化を図るべきである。

2 改正意見
 現憲法第6章(司法)に関する改正意見は、次のとおりである。
○  最高裁判所裁判官の国民審査の制度(現憲法79条)は廃止し、廃止後の適格性審査の制度についてはさらに検討を行うべきである。
○  最高裁判所裁判官の任期は10年とし、再任を行わないものとすべきである。
○  下級裁判所の裁判官の任期は、3年を下回ってはならず、10年を超えてはならないとすべきである(再任は妨げないものとする)。
○  一定の場合には裁判官の報酬(現憲法79条・80条)を減額することができる旨の明文規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
 司法のあり方については、一部に、常識に反する裁判をしているとの国民の批判を招いていることを踏まえ、司法制度改革を推進しつつ、今後とも検討を進める必要がある。同時に、司法への国民参加という観点から憲法に何らかの規定を置くべきかどうかについても、今後の検討課題とすべきである。
 また、弁護士会に入会しなければ弁護士になれないという現行弁護士法のあり方についても議論となったが、引き続き検討することとしたい。なお、憲法裁判所、行政裁判所、軍事裁判所等については、外国におけるその権能・組織などを調査しながら、引き続き議論を継続することとしたい。

七 財 政

1 共通認識
 財政民主主義を、より実質の伴うものとする方向で見直すべきであるということについては、異論がなかった。

2 改正意見
 現憲法第7章(財政)に関する改正意見は、次のとおりである。
○  現憲法89条を書き直し、私学助成に関する明文規定を置くべきである。
○  決算に関する国会の権能に関する明文規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
 上記の2のほか、会計年度を1年とすることを前提とした憲法・財政法の定める財政システムを検証し、健全な財政規律に関する明文規定を置くべきか否か、複数年度予算の可能性などについても、今後、検討する必要があろう。また、後年度負担を伴う財政支出については、次代への財政負担の責任を明確にするため、その発生原因、数額などに関する情報開示の必要性についても議論することとしたい。

八 地方自治

1 共通認識
 地方分権をより一層推進する必要があるという点については、異論がなかった。また、地方分権の基本的な考え方や理念を憲法に書き込む必要があることについても、大多数の同意が得られた。

2 改正意見
現憲法第8章(地方自治)に関する改正意見は、次のとおりである。
○  いわゆる「道州制」を含めた新しい地方自治のあり方について、(1)法律の範囲内での課税自主権の付与等自主財源の確保、(2)自己決定権と自己責任の原則、(3)補完性の原則など、その基本的事項を明示すべきである。その際には、住民による自発的な自治、必要最小限の行政サービスの保障などの観点に留意すべきである。

3 今後の議論の方向性
 近年の通信交通のスピード化に伴い、住民の生活圏は広域化する傾向にある。従来の都道府県は以前ならば十分「広域」自治体であったが、今では、大きな市で県に匹敵する区域を有するものも出てくるようになっている。一方で、農山漁村の中には過疎化で消滅の危機にある地域がいくつもあり、その地域に根ざす伝統や文化が絶えてしまうおそれが出てきている。こうした問題に対して、現憲法は何の解決策も用意していないのではないだろうか。
 こういった観点から、今後とも、「道州制」(その前提としての「市町村合併」や中央政府と道州政府による統治権限の適切な分配のあり方等)や、地方財政における受益と負担の関係の適正化などに関する議論を進めていく必要があると考える。また、住民投票の濫用防止規定についても更に検討を進めることとする。また、昭和26年以降「一の地方公共団体のみに適用される特別法」の制定はなく、現行95条は削除する方向で検討する。

九 改 正

 現憲法の改正要件については、概ね、次の2点について議論がなされた。

(1) 現憲法の改正要件は、比較憲法的に見てもかなり厳格であり、これが、時代の趨勢にあった憲法改正を妨げる一因になっていると思われる。したがって、例えば、憲法改正の発議の要件である「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を「各議院の総議員の過半数」とし、あるいは各議院において総議員の3分の2以上の賛成が得られた場合には、国民投票を要しないものとする等の緩和策を講ずる(そのような憲法改正を行う)べきではないか。
(2) 憲法改正の国民投票について、現憲法は「特別の国民投票」と「国会の定める選挙の際行われる投票(国政選挙と同時に行うこと)」の2種を規定しているが、このような特別の選択肢を明示する必要はないのではないか。

 以上の諸点については、引き続き、議論を継続する必要があると考える。

十 最高法規及び補則


 現憲法第10章(最高法規)については、国民の憲法尊重擁護義務を含めることとしつつ、その各条文の内容に応じて、「前文」あるいは「国民の権利及び義務」にその趣旨を盛り込むものとし、章としては削除するべきであるとの意見があった。この点については、引き続き、議論を継続する必要があると考える。
  また、現憲法第11章(補則)は、すでにその役目を終えた経過措置に関する規定であり、これを削除することについて異論はなかった。

十一 その他

 以上のほか、次のような事項について、憲法に盛り込むべきであるとの意見があった。
(1)  領土、大陸棚など
 わが国の主権が及ぶ地理的範囲を明確に憲法で規定すべきだとする意見があった。
(2)  国旗及び国歌
 諸外国の憲法の規定例を参考にして、国旗及び国歌に関する規定を憲法に置くべきだとする意見があった。

結  語


 わが党のたゆまぬ努力により、憲法改正のための国民投票は、もはや絵空事ではなくなった。憲法改正の手続法が整備され、国民投票が実現されれば、わが国憲政史上初めてのことになる。すなわち、日本国民は初めて主権者として真に憲法を制定する行為を行うことになるのである。
 今回の新憲法草案の策定作業がこのような重大な意義を有することにかんがみ、本プロジェクトチームは、意図的に議論を方向づけたり、性急に結論をまとめるようなことをすることなく、毎回の会議において、参加者から文字どおり自由闊達な意見交換に意を用いた。その結果、憲法のあらゆる分野にわたってまさに多種多様な意見が提出された。
 その多様な意見の中で、発言者が異口同音に強調していたのは、「一国の基本法である憲法が正反対の意味に解釈されることがあってはならない。新憲法は、その解釈に疑義を生じさせるようなものであってはならない。」ということであった。今後の作業を行う上で、肝に銘ずべきこととして、あえてここに明記させていただく次第である。
 本プロジェクトチームの会議で出された一つ一つの貴重な意見については、丹念にこれを書き留めるとともに自民党インターネット・ホームページにより国民に公開したが、このことを通じて、わが党が先の総選挙における政権公約を着々と実行に移している姿を、国民各層に伝えることができたものと考える。
 今後は、この「論点整理」を基礎として、参院通常選挙後、党の地方組織を含めた全党的な議論を深めるとともに、憲法改正に関するわが党の取組についてなお一層の国民の理解を求め、新憲法草案が大多数の国民の共感を得ることができるものとなるよう、引き続き努力を傾注してまいりたい。

経団連の「選択と集中」

2004-11-29 | 安全保障と防衛力
経団連は1995年に出した「新時代に対応した防衛力整備計画の策定を望む」を皮切りに、防衛産業の拡大、充実を提案するようになっています。2004年7月に出した「今後の防衛力整備のあり方について」では、武器輸出三原則の緩和など踏み込んだ提言をしています。その中で、「選択と集中」という経営用語が出てきます。この「選択と集中」という言葉は、東京電力顧問の荒木浩氏が座長を務めた「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書にも出てきます。ここでは経団連の記述を引用します。

--------------
わが国では、厳しい財政状況を背景として、防衛装備予算は年々減少の傾向にある。さらに、ミサイル防衛システムという新たな装備の導入に伴い、従来の装備に対し、「選択と集中」が強く求められている。

装備・技術の選択と集中
厳しい財政状況の中で、安全保障環境の変化や技術進歩に対応した装備・技術の整備を図るために一層の「選択と集中」が避けられない状況となっている。
--------------

「選択と集中」とは、有限である経営資源の中から強みを選択し、その部分に集中することによって、市場における競争優位を確立しようとする経営戦略を意味しています。自社の強みを確定するためには、外部環境における機会や脅威を把握し考慮する必要も出てきます。つまり、経団連が「選択と集中」を提言するにあたってどのような分析をしたのかが浮かび上がってきます。

まず、経団連は戦争や人道復興支援は機会である、と捉えています。武器輸出三原則の緩和を求めるところに端的に示されているわけですが、戦争そのものをビジネスチャンスと捉えています。アメリカは武器消費大国ですから、日本が輸出した武器をアメリカが使用するということは当然のことと考える必要があります。また、各国の共同プロジェクトに参画しないことは技術的な後退を招くということで脅威につながる、という認識を示しています。そして、強みは、大企業から中小企業にまで及ぶ技術力です。ハイテクやものづくり力、ということが言えます。

もう一段、広い視点に立った戦略の方向性はグローバル化する市場に対応することと言えます。防衛産業市場において競争優位を保ちたい、と言っているのです。

--------------
昨今、ITを中心として、高度化する民生技術が防衛技術として活用される事例が増えており、わが国が優位性を持つ民生技術を国民の安心・安全に積極的に利活用していくことが重要である。わが国発の技術を用いて、国際社会への貢献を図ることは、高度な技術・経済力を持つわが国にとって、国際的に果たすべき安全保障上の一つの使命でもあろう。
--------------

ここで私は経団連の方々に伺いたい。そして考え直していただきたい。

あなた方は、グローバル化した武器市場で日本の防衛産業の競争力を高めたいと提言しています。まずはアメリカから輸出したいと言っているし、儲けたいといっています。「国民の安心・安全」のために武器を開発し、輸出したいと言っています。そのために、国策としての「選択と集中」を提言しています。

「選択」するということは何かを「選択しない」ということです。「棄(す)てる」ということです。
何を棄てるとお考えですか?

考え直していただきたいし、思いとどまっていただきたいので、当たり前のことをあえて申します。これまで日本が日本の商人が守り続けてきた「哲学」であり「倫理観」です。それは、「戦争と商売を決して結び付けない」、という哲学であり倫理観です。あなた方が棄てるといっているのは、あなた方自身が、あなた方の先輩が守り続けてきた商売魂そのものです。

◆関連記事
弾道ミサイル防衛システムの危険性
武器輸出三原則等

◆参考資料
経団連作成資料
自衛隊海外派遣「民軍協力」構築を 経済同友会が意見書 恒久法制定求める
防衛計画の大綱」骨格・武器輸出3原則の緩和盛る
NRI経営用語の基礎知識「選択と集中」

改憲草案大綱の素案要旨/自民党憲法調査会

2004-11-26 | 資料
 【はじめに】国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本的原理は今後も維持。

 【第一章】天皇を象徴とする自由で民主的な国▽戦争放棄思想堅持、積極的に国際平和実現に寄与▽国旗は日の丸、国歌は君が代。

 【第二章】天皇は日本国の元首▽皇位は男女問わず継承。

 【第三章】(基本的権利・自由)名誉権、プライバシー権及び肖像権を保障▽知る権利を保有。

 (国民の責務)国民に国家の独立と安全を守る責務。国家緊急事態には国および地方自治体などの実施する措置に協力▽徴兵制は認めず。

 (社会目的としての権利・責務)教育はわが国の歴史、伝統、文化を尊重、郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を涵養(かんよう)▽良好な環境の下に生活する権利、保護する責務▽生殖医学、遺伝子技術の乱用から保護。

 【第四章】(平和主義)国際平和への寄与▽侵略戦争の放棄▽自衛、国際貢献のために武力行使を行う場合でも、武力行使は究極、最終の手段。必要かつ最小限の範囲を自覚▽武力行使は事前の国会承認必要▽非核3原則を明示。

 【第五章】(国会)国会は唯一の立法機関。司法、憲法両裁判所を統制▽両院制は維持▽国政調査権の充実▽国会の行政監視活動を補佐する議員オンブズマン設置▽衆院の優越条項強化。

 (首相、行政)首相のリーダーシップ明確化。

 (国会と内閣)首相は衆院議員の中から衆院の議決で指名▽閣僚はすべて衆院議員。そうでない場合は衆院の承認か次期衆院選立候補の宣言が必要。

 (司法裁判所)専門裁判所設置を明文化▽裁判員制度を認める▽憲法判断は憲法裁判所に移送。

 (憲法裁判所)法令の憲法適合性を決定する1審の裁判所。

 【第六章】(財政)1年を超えた期間を一会計年度として予算編成できる。

 【第七章】(地方自治)地方自治体は道州および市町村、自治区(仮称)。

 【第八章】(国家緊急事態、自衛軍)首相は(1)防衛緊急事態(2)治安緊急事態(3)災害緊急事態-の発生を認めた場合、布告▽国家緊急事態が布告された場合、基本的な権利・自由は制限できる▽国会緊急事態において国会の措置を待つ暇がないとき首相は法律で定める事項に関し政令を制定できる。その措置は国会の事後承認を得なければならない▽個別的、集団的自衛権行使のための必要最小限の戦力として自衛軍設置▽自衛軍の任務は、防衛、治安、災害の緊急事態での秩序維持、国際貢献のための活動(武力行使を含む)。

 【第九章】(改正)各議院の総員の過半数の賛成で改正案可決、国民投票の過半数で承認か総議員の3分の2以上で改正案可決。

あたらしい憲法のはなし

2004-11-19 | weblog
文部省が出した『あたらしい憲法のはなし』という小冊子があります。あたらしいといっても今から57年前に出されたものです。それは第二次世界大戦が終結し、日本国憲法が施行された直後のことです。この冊子を読むと、憲法とはそういうものだったのかと驚かされ、あたらしい発見があります。

自民党は憲法を改正したいと表明しています。9条を改正して、「自衛軍」を持って「武力行使」が出来るようにしたいと言っていますので、「戦争の放棄」の部分を引用します。



----------------
 みなさんの中には、今度の戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。このまえの世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々ではいろいろ考えましたが、またこんな大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。

 そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍隊も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは、「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

 もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすはめになるからです。また、戦争とまでゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。

 みなさん、あのおそろしい戦争が、二度と起こらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。

出典:『あたらしい憲法のはなし』文部省 1947年(昭和22年)8月2日発行
----------------

日本国憲法 第2章 戦争の放棄 

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

弾道ミサイル防衛システムの危険性

2004-11-18 | weblog
およそ1年前の12月、弾道ミサイル防衛システムを日本に配備する閣議決定がなされています。

「弾道ミサイル攻撃に対して我が国国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段であり、専守防衛を旨とする我が国の防衛政策にふさわしいものであることから、政府として同システムを整備することとする」

日本に飛んでくるミサイルを打ち落とすシステムで、「純粋に防衛的」「唯一の手段」などと今、改めて読み直すと公式文書としては、問題のある表現となっています。当時、私が考えたのは、人を殺すための兵器を購入するよりはましなのだろうという程度でした。しかし、「純粋に」や「唯一」など選択肢を否定し、思考を停止させるような言葉の裏側を読むべきであったと後悔しています。

弾道ミサイル防衛システムはクリントン政権時代から開発していますが、莫大な国家予算を投じる割には効果がない、とアメリカ国内で批判が耐えなかったシステムです。このシステムにはパトリオットの改良型が使われているのですが、パトリオットは湾岸戦争時に米軍側が「命中率はほぼ100%」と発表し、実際は命中率9%かそれ以下でしかなかったことが公表されています。米軍が映像メディアを活用しウソをついて戦争を遂行していたことが明らかにた事例としても記憶にとどめておきたいところです。

閣議決定においても、わざわざこんなことを記述しています。

「最近の各種試験等を通じて、技術的な実現可能性が高いことが確認され、我が国としてのBMDシステムの構築が現有のイージス・システム搭載護衛艦及び地対空誘導弾ペトリオットの能力向上並びにその統合的運用によって可能となった」

今度は、命中しますよ、と米軍に成り代わって日本政府が言っているわけです。「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書にも弾道ミサイル防衛システムの記述がありますが、完全なものを買っていない疑いがあります。武器輸出三原則を緩和すべきであるという主旨の中に、「現在の弾道ミサイル防衛に関する日米共同技術研究が共同開発・生産に進む場合には武器輸出三原則等を見直す必要が生じる」と断定的に記述している点です。通常ですと国是にかかわる武器輸出三原則の放棄を求めるわけですから、「検討が必要だ」程度にとどめるはずです。にもかかわらずこのような表現を使うということは不自然です。

考えられるのは次のような背景です。日本の技術を使って共同開発をしましょう、みんな利益を享受しましょう、ということです。アメリカから不完全なものを押し付けられたともいえないし、日本の技術を転用して、なんとか形にしましょう、ということです。これは日本の産業界は断る理由がないわけです。むしろ積極的にかかわりたいからこのような「報告書」が出てくるのです。国家予算を使って、軍事用に技術を転用し利益を上げ、かつ開発費用が入るわけです。ミサイルは進化しますから、技術転用と開発を行い続けることができます。予算が毎年毎年つくわけです。

では、日本を守るためにこれらの支出は許されるでしょうか。一部の民間企業が儲かる程度のことなのでしょうか。昨日、プーチン大統領は次のような声明を発表しています。

-----------------
「(米英など)他の核兵器保有国がただちには追随できない新型核ミサイル」の開発がすでに実験段階に入っており、数年以内に実戦配備できるとの見通しを明らかにした。
-----------------
出典:asahi.com ロシア、数年以内に新型核戦力を配備 大統領が表明

これは、弾道ミサイル防衛システムをかいくぐって着弾するミサイルを作っています、ということです。一見、アメリカや日本は本土を守っている様でも、それを打ち破る技術的開発を誘発しているに過ぎないということです。ロシアや中国にしてみれば、自国の発射したミサイルが敵国に着弾せずに、敵国が発射したミサイルのみ自国に着弾する、という事態を避けたいと考えるはずです。

技術的に遅れている国からのミサイルは打ち落とせる

という反論が聞こえてきそうですが、ミサイルを持っていることの「効果」が出るような行動をとると考えるべきです。1発着弾することを敵国に想定させさえすれば、「目的」が達せられるわけです。途中で打ち落とされるのであれば、何十発も打ち込めばよい、ということになるだけです。分かりやすいのが、ミサイルの数を増やすということです。そして、技術力の向上を待つのです。

ミサイルの数が増えれば隣国や射程距離に入る国々は当然、それ相応の軍備を整えようとするでしょう。

つまり、弾道ミサイル防衛システムは無意味です。
無意味どころか、軍拡を誘発しています。

「ミサイル防衛」というのは形を変えた「攻撃」を内在させています。日本が行うべきは、アメリカやロシア、中国などの弾道ミサイル保有国に廃絶を求めることです。合わせて、北朝鮮、イランなど核開発を進めようとしている国々に対して、対話により、核開発や弾道ミサイルの開発を止めるよう求めることです。それが、弾道ミサイル攻撃から日本を守り、世界各国が弾道ミサイルの脅威から解放される現実的な「防衛策」ではないでしょうか。どこかの国のミサイルは良くて、どこかの国のミサイルは悪い、というような外交姿勢では防衛にならないばかりか軍拡を誘発するだけです。

自民党が国民にたいしてこう言っています

2004-11-17 | weblog
自民党憲法調査会がまとめた憲法改正大綱が出ました。「自衛軍」を設置し「集団的自衛権」を盛り込んで武力行使をしたい、と自民党は言っています。日米軍事同盟に基づいて、アメリカが行っている戦争に参加したい、と自民党は言っています。
読売新聞:集団的自衛権の行使容認、自民が憲法改正大綱原案

自民党が言っている相手は、私たち国民です。なぜか?

憲法は国民のものだからです。主権者が国民で、憲法を通して権力(司法、行政、立法)に命令をし、制限を加えているのです。憲法改正を承認するのは、国民であると、それこそ憲法に明記してあります。たとえ、「加憲」の公明党、「創憲」の民主党、その他の政党がこの「改正大綱」に賛成し、憲法改正の発議をしたとしても、国民が承認しなければ、成立しません。主権者は国民だからです。憲法を定めるのは国民だからです。

今、私たち国民が直面している最大の危機を、家族や友人と語り合っておく必要があると思います。

--------------------------------
第9章 改 正
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
--------------------------------
日本国憲法 9章 改正



「九条サイクリング」

2004-11-16 | weblog
もう、リンクが切れてしまいましたが、このブログで「九条クッキー」という記事を紹介しました。今度は、「九条サイクリング」です!? 

実際には九条サイクリングではなく、ピースロードサイクリング

ピースロードとは、大阪・西区の九条駅から京都・南区の九条駅までつづく、
全長はおよそ40キロの、主に国道1号線からなるドーロだそうです。

壮大ですね! 気合をいれてがんばって下さい!

(^o^)

フィリピンの「現実的選択」

2004-11-14 | weblog
「戦争放棄」を憲法に明記している国は日本だけではありません。1991年に米軍基地を撤去させたフィリピンを挙げる事ができます。フィリピンの憲法の諸原理は「民主主義、共和制、国民主権」「戦争放棄」「文民支配」「国防の責任」「政教分離」(出典:『衆議院英国及びアジア各国憲法調査議員団報告書』国立国会図書館調査及び立法考査局作成)です。自国民が人質になった事件をきっかけに、イラク派兵部隊を完全撤退させたことでも注目を集めた国です。

参考:asahicom 人質のフィリピン人解放、保護 アロヨ大統領が発表

日米の軍事的結びつが強化され、アメリカの進める戦争に、より積極的に加担し始めた日本が、学ばなくてはならない国の一つではないかと思います。戦争を回避し、平和を創造する「(国際)政治」は、泥臭い側面が多分にあると思います。「フィリピン固有のことだから・・・」と切って捨ててはいけないと考えます。曲折を重ねながらも、フィリピンが米軍基地を拒否し、イラクから全面撤退した背景には、フィリピンの憲法の中に、またはフィリピン国民自身が持つ平和を希求する精神があるからではないかと思うのです。泥臭い「(国際)政治」の中にあって、その精神を実行している、と解釈をし、私たちはそういった点を学ぶべきであると思います。

次の『米比新基地条約の批准拒否にかんするフィリピン上院の決議』は、画期的な決議であると思います。アメリカの軍事戦略が変更されたから「アメリカが出て行った」、「アメリカに許してもらった」という解釈があるのも事実です。しかしすくなくとも、日本以上に、アメリカに対して主体的で独立的な発想に立ち、平和を希求する視点に立った政治的判断であると言えます。

-------------
(前略)
よって、ここに、
上院は、友好協力安全保障条約とその付属協定が憲法に違反し、不平等であり、均衡を欠いていること、各条項の曖昧さその他の不備、〔同条約および付属協定で〕宣言されている諸目的が実現不可能であること、フィリピンの国益に対し適切な保護を与える面での全般的な欠陥を考慮し、友好協力安全保障条約とその付属協定の批准に同意しないとの見解を表明することを決議する。
-------------
『米比新基地条約の批准拒否にかんするフィリピン上院の決議』「1991年8月27日に調印された友好協力安全保障条約およびその付属協定にたいする上院の不承認決議にかんする決議」より
出典:『こうして米軍基地は撤去された!―フィリピンの選択』松宮敏樹著

「条約」が憲法違反であること、不平等であることを明記し、かくして、フィリピンの国土から米軍基地が撤去されました。

そして「イラク戦争」における政治的決断についてです。フィリピンが「テロリストの要求に屈した国」という解釈は間違いです。フィリピンの国民世論が後押しをした結果、「暴力による解決を撤回した国」と解釈すべきではないでしょうか。そして、政治の方針を一人一人の国民の命を大事にするとする「民主主義」に立ち返った国であると見るべきです。

現在、完璧で理想的な国は、ありません。フィリピンには軍隊が存在しますし、米軍基地撤去後の、米軍との密接なつながりも指摘することができます。また、日本には見られないほどの貧富の格差があるなど内政上の重大な課題を抱えています。

将来、完璧で理想的な国を、見ることはないでしょう。しかし、戦争を否定し、回避し、防止する試みを積極的に評価し、学び取るべきではないでしょうか。これらの行為が、実は泥臭い「現実的選択」といった側面があることをも認識しながら、その選択の背景にある「平和を希求する」精神を、私たちは真摯に学ぶ必要があると思います。

参考:asahicom フィリピン部隊の撤退完了 メディア、米豪の批判に反論

笑ってはいられない「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」

2004-11-11 | weblog
岡田代表「非戦闘地域の定義を言ってほしい」
小泉首相「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」
10日党首討論より

前提として非戦闘地域であることを確認しながら自衛隊を派遣しているにもかかわらず、自衛隊を派遣した地域であることが非戦闘地域の理由になっています。あべこべです。小学生でもわかる論理矛盾です。あまりにもばかばかしい答弁ですが、笑ってばかりではいられません。論理的な説明ができない首相は、その資格がありません。もしくは、論理的な説明をわざと回避しているのであれば、虚偽の発言を繰り返していることになり、国会議員を辞めさせなくてはなりません。

現在、北部地区を除きイラク全土に非常事態宣言が発令されています。イラク全土は戦場です。ザルカウィ幹部がファルージャに潜伏しているという理由で軍事行動をおこしたイラク多国籍軍は、「すでに脱出したとみられる」として拘束作戦をイラク全土に広げると明言しています。イラク全土は戦場です。

米軍が攻撃を開始したのは8日、対象となるファルージャ全域を制圧する前の9日時点で、「すでに脱出したとみられる」というメッツ作戦司令官(米陸軍中将)の発言は信用できません。そもそもザルカウィ幹部が実在するのか、ファルージャに滞在していたのか、そういったことはどうでもよかった、ということが明らかです。

「ザルカウィがいるのでファルージャを攻撃します。逃げたのでイラク全土を攻撃します」
攻撃開始の理由もいい加減なら、攻撃を全土に広げる理由もいい加減です。

本当の狙いを私は次のように考えます。来年1月に予定されるイラク国民議会選挙を前に、暫定政府やアメリカの方針に従わない人々を一般市民も含めて、殺してしまえ、という作戦ではないでしょうか。


 
映画『テロリストは誰?』上映会