見出し画像

真相世界(The truth world)

200801天城越え


伊豆の湯ヶ島で泊まりがけの忘年会をやってきた。寒い日が続いたが、その日は雨が降ったものの気温は暖かめだった。
山海の珍味を堪能し、しこたま酒を飲んだ。湯ヶ島温泉の泉質は癖がなくて好い。湯温はぬるめだが、露天風呂でもさして苦にならなかった。

翌日は快晴だった。ただ東京に帰るだけではつまらないのでドライブでもしようということになった。伊豆の観光名所といってもとっさには思いつかない。
川端康成が滞在して伊豆の踊子を書いたという旅館が近場にあったので、徒歩で散策した。建物は古いが、地味な旅館だった。その側に犬猫温泉というものがあった。行ってみた。一応露天風呂だった。文字通り犬猫専用らしい。人間と一緒に入ってスキンシップを図るには狭すぎるようだった。

洋蘭センターや猪牧場などもあったが、行く気はしない。観光地図を見ても、アッと驚くような名所は見あたらない。
このあたりは天城地方である。天城といえば天城越え、我ながら単純な思考である。

「隠しきれない 移り香が いつしかあなたに 浸みついた~」
蘇州夜曲と並んで私の十八番である。

九十九(ツヅラ)折り 浄蓮(ジョウレン)の滝 小夜時雨(サヨシグレ) 寒天橋

小夜時雨は既に味わったので、ついでに他も見てやれ、ということになった。
どうせ、暇つぶしのドライブである。2時間足らずで一周できそうだ。旅館の人に訊いたら、「天城隧道へは歩いて行った方がいい。パーキングから20分くらいです」と言っていた。

まずは浄蓮の滝、泊まっていた宿から3Kmくらいのところにある。いや、込んでる込んでる。バス旅行の団体客とでも重なってしまったのだろうか、人の列が延々と続いている。
パーキングから谷底まで急な階段を50mくらいおりる下らなければならない。また上ることを考えると、うんざりするが、ガキも走り回っているので、おじさん達も下りた。
滝壺は釣り堀になっていた。アマゴを養殖して滝壺で飼っているらしい。釣り人達が挑戦していたが、掛かりは今ひとつである。
滝そのものは予想通り小さな滝だったが、大雨の直後だったので水量は多かった。
伊豆と言えば山葵田である。釣り堀の隣が山葵田になっていた。「吸い殻以外ワサビ田に投げないでください」と注意看板が架けられていた。意味も意図も不明である。

次に旧道入り口にさしかかった。浄蓮の滝に較べると観光客はかなり少ないが、それでも旧道沿道をうろうろしている連中はかなりいる。
車で走破する連中がいないので、「どうすんべえ?」と相談した。道も狭く悪路である。
しかし、歩く気にはなれず、「行っちまえ」ということになった。
5分も走ると誰もいない。鬱蒼とした山道である。
それでも天城隧道には数台の車が駐まっていた。歩いたら1時間以上はかかっていただろう。旅館の人に騙されたようだ。至る所落石はあるし、対向車が来たらヤバいので、「土地鑑のない奴は車で行くな」ということだったのだろうか。
ところで、天城隧道は全長445mあり、石造道路トンネルとしては、日本に現存する最長のもので、重要文化財に指定されている。
もう一つは心霊スポットとしても有名である。私は霊感は強い方だが、隧道は見た目陰鬱な印象だが、霊的なものは感じなかった。せっかくだから、降りて数枚記念撮影した。
しかし、恐ろしいことがおこった。対向車が来たのである。たまに車が走っているので、当然と言えば当然である。あんな狭窄なトンネルの中で対向車に遭遇したら、たまったものではない。私はバック運転に自信がないのである。真っ直ぐバックできる奴が不思議でならない。
で、ライトを上向きにして猛スピードでぶっ飛ばした。心霊観賞する精神的ゆとりはなかった。

トンネルを抜けると九十九折り、 寒天橋となるわけだが、ここでアベックに遭遇した。こんなところを歩いている。男は30~40代、女は20代のミニスカートのネーちゃんである。
どういうカップルなのか見極める前に車は通過してしまったが、歌の叙情に触れるためにはネーちゃんと歩かなければ駄目なようだ。
「何だい、あれは?」と車内はアベックのことでもちきりになったが、「暇なオヤジがホステスを口説いて『天城越え』やってんだろう」という意見で落ち着いた。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

珠洲
天城への旅
Happy New Year!

何かいつもは難しい話ばかりでしたが、今回は軽いタッチで書かれていましたので、あまり頭を使わず良かった。今年もどしどし書いてください。無料で閲覧できるんですから、最高。

ではまた。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「本文」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事