松木秀さんのうた

松木秀さんの歌から８首。


090:長
深夜降る雨はいかりや長介のベースのように世界をつつむ

078:アンコール
日本語でみんながさけぶアンコールやや民謡のリズムを帯びて

070:CD
ぺらぺらのＣＤ－ＲＯＭの広辞苑ひとを殺せる武器にはならず

040:すみれ
「すみれ September Love」を雨の降る今日は挽歌として口ずさむ

021:くちばし
くちばしに空の記憶を秘めながらさかなくわえて歩くペンギン

013:カタカナ
カタカナで書かれたような体型の若き女が叫ぶ公園

007:ランチ
日の丸と星条旗立て同盟はがんじがらめのお子様ランチ

006:水玉
無重力空間に浮かぶ水玉は力を抜いて完全な球



「カタカナ」の一首は、迫力ありますねぇ。
か行の音の連なりが狂気を醸している、そんな印象を受けます。
比喩を使うなら、こんな風に詠みたい、そんな一首。