Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

絶滅について;Nipponia Nippon

2009-04-27 11:53:37 | 日記
たぶん“みなさん”のなかにも読んだ方が多いのではないかと思われる小説、阿部和重『ニッポニアニッポン』(新潮文庫2004、オリジナル2001)を昨日から読んでいる。

この小説は“トキ(鴇)”という鳥の絶滅にかんするお話しである。

トキという鳥の絶滅が、問題になるのはその形態の美しさというようなことのみでなく、その“学名”が“Nipponia Nippon”であるからである。

この小説の書き手が、このテーマを選んだのも、この小説の主人公がこの鳥にこだわったのも、その“学名”の“象徴性”による。

まだ、ぼくの読書は、途中であるので、その“象徴性”に著者がこめた“意図”は、把握されていない。

ただぼくは“絶滅”ということを思う。

絶滅という概念を思うとき、ぼくにおとずれるのは、恐怖や不安ではなく、かすかな“うつ”の気配である。

たしかなのは、“絶滅”というのは、“個的な死=つまりぼくの死”とは、ちがうということである。


Wikipediaの“トキ”項目から“日本産トキの絶滅”という項目をはりつける。
ひまなひとは、読んでください(笑);

日本産トキの絶滅 [編集]
★ かつてトキは日本国内に広く分布したが、肉や羽根を取る目的で乱獲されたため、1925年か1926年ごろには絶滅したとされていた[11]。その後、昭和に入って1930年から32年にかけて佐渡島で目撃例が報告され、1932年5月には加茂村(→両津市、現佐渡市)の和木集落で、翌昭和8年(1933年)には新穂村(現佐渡市)の新穂山で営巣が確認されたことから、1934年に天然記念物に指定された。当時はまだ佐渡島全域に生息しており、生息数は100羽前後と推定されていた。

★ 終戦後は、1950年を最後に隠岐に生息していたトキの消息は途絶え、佐渡での生息数も24羽[12]と激減していたことから、1952年3月に特別天然記念物に指定され、1954年には佐渡で、1956年・57年には石川県で禁猟区が設定された。しかし、禁猟区には指定されたものの生息地周辺での開発などは制限されなかった。また、民間の佐渡朱鷺愛護会や愛好家の手でも小規模な保護活動が行われるようになったが、1958年には11羽(佐渡に6羽、能登に5羽)にまで減少した。1960年、東京で開かれた第12回国際鳥類保護会議において国際保護鳥に指定され、会議を記念してトキをあしらった記念切手も発行された。1971年には、能登半島で捕獲された『能里(ノリ)』が死亡し、佐渡島以外では絶滅した。トキの減少の一因として農薬(による身体の汚染・餌の減少)が取り上げられることが多いが、日本で化学農薬の使用されるようになったのは1950年代以降[13]であり、その頃にはすでに20羽ほどにまで個体数を減らしていた。

★ 1965年、幼鳥2羽(『カズ』と『フク』)を保護したことから人工飼育が試みられるが翌年、カズが死亡。解剖の結果、体内から有機水銀が大量に検出されたため、安全な餌を供給できる保護センターの建設が進められる。1967年トキ保護センター開設。フクと、1967年に保護された『ヒロ』『フミ』の計3羽がセンターに移された。翌1968年『トキ子』(のちに『キン』と命名される)を保護。1970年には能登の最後の1羽『能里(ノリ)』を保護し、トキ保護センターに移送する。キンがメス、能里がオスだったことや盛んに巣作りを行っていたことから、繁殖に期待が持たれたが、1971年に能里が死亡。人工飼育下のトキはキン1羽となった。(フク、ヒロおよびフミは1968年に死亡)

★ 1968年にNHKがトキの営巣地である黒滝山上空にヘリコプターを飛ばし空撮を行ったが、1969年にトキが黒滝山の営巣地を放棄し人里近い両津市へ移動したのは、そのためだという指摘がある[14]。番組の放送があるまで空撮があったことに気付いていた者はいなかったが、空撮は通年にわたって行われた(はずだ)と批判する声もある。しかし、番組の責任者によるとヘリコプターを飛ばしたのは一度だけで、それも営巣期を避け、空撮以外の取材も慎重に行ったという[15]。

★1981年1月11日から1月23日にかけて、佐渡島に残された最後の野生のトキ5羽すべてが捕獲され、佐渡トキ保護センターにおいて、人工飼育下に移された。(センターで付けられた足輪の色から『アカ』『シロ』『ミドリ』『キイロ』『アオ』と命名される)その後、繁殖の試みが続けられたが全て失敗し、2003年10月10日朝、最後の日本産トキ(キン)の死亡が確認され、日本産のトキは絶滅した。ただし、生物学的にはまったく同一種である中国産のトキを用いて人工繁殖を行っているため、日本におけるトキの扱いは「絶滅」ではなく「野生絶滅」のままである。




<引用;『ニッポニアニッポン』から>

★ よく言われている通り、日本国民はセックスのことしか考えていない。しかも人間のセックスだけでは飽き足らず、鳥の交尾にまで好奇の目を向けて、新式のオナニーにでも励むつもりでいるらしい。散々殺しまくった上で態度をころっと変えて、たった一羽生ませただけで種の全体を救ってみせた気になり、トキもセックスするのだと知って大はしゃぎしているというわけだ。

★ 自分自身もまた、トキを出汁(だし)にして自己満足を得ることを目論む側の一人にすぎぬのではないか、などとは、春生は考えてもみなかった。この時分の彼は、自らの善意を信じて疑いもしなかった。とはいえ結局のところ、春生はトキを出汁にして「人間の書いたシナリオ」をぶち壊したいだけだった。彼がそれをはっきりと自覚するのは、もうしばらく先のことだった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿