若生りえ Jazz Songs & Diary

ジャズ歌手の若生りえがジャズスタンダードソングの歌詞やエピソードについて語る。
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SMILE ~スマイル 中編~   

2008年12月16日 | 私の好きな曲 ~ジャズ訳詞一覧~
さて、スマイル・中編で~す

長くなってしまったので、3つに分けました


さてさて、前編でも使っているこの写真ですが、

右の女性は誰だか分かりましたか

そうです。晩年のオードリー・ヘプバーンです


彼女の笑顔は、今でも、昔の映画や本などでも

たくさん見ることができますが、この写真の顔は、

なんともいえない笑顔をしていると思いませんか?


あの「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」などでの、

彼女の笑顔は、前向きで、健康的で、キラキラしていて、

亡くなってもなお、老若男女問わず「永遠の憧れ」の存在

であることに、深くうなずくことができます。


一方、この写真は、彼女が晩年に力を注いでいた

「ユニセフ親善大使」の時に、エチオピアを

訪れているときに撮った中の一枚です


スクリーンの頃の笑顔とはまったく違います。


もちろん年を重ね、顔にはたくさんのシワが刻まれ、

ドレスではなく、

誰でも手に入れることができるような、

ポロシャツを着て、

別の写真では、荒れた土地の、岩がごろごろしているような

ところに腰おろし、地域の人々と語らっていたり、

人々がザコ寝をしている状態の中に混じって、

一緒に地べたに座り、会話している姿がありました。


それでもすごいのは、ますますオーラが増しているのに、

その光が、子供や地域の人々の中で馴染んでいるように

みえたことです。


実はオードリーも、つらく、悲しい生い立ちを

背負っていたのです。


彼女が5歳の頃、両親が離婚し、その後、父親はナチスに共鳴し、

家族のもとを去りました。また、一方、オードリーは

第2次世界大戦中に、反ナチスのレジスタン運動にも

参加していたそうです。


しかしそんな時、同じく反ナチスだった母親の親族である叔父たちが、

オードリーの目の前で銃殺されてしまいます


そんなつらい過去をもち、あの「アンネの日記」の

アンネ・フランクとも同い年だったこともあり、

彼女のことを知って心を痛めたそうです。


また、その映画の主役のオファーがきたときも、

つらい過去を思い出すのがあまりにも怖くて、

断ったそうです


人は、一つの面からみただけでは本当にわかりませんよね・・・。


もちろん、表裏のない、いい人もいますが

生まれたときから死ぬときまでを、

明るい、いい部分だけで生きている人なんて、

どこにもいないと思うのです。


むしろ、暗い部分があるからこそ、

明るい部分が輝くのかもしれませんね。

悪いところもあれば良いところもある

というのもしかり


オードリーのこの晩年の顔には、

人生の酸いも甘いも経験し、それどころか、

いまだに人々があちこちで殺しあったり、それによって

無力な子供が飢えていたり、薬も十分もなく、

目の前で亡くなっていく現実を悲しんでいる。


しかし、自分の過去も照らし合わせると、

悲しくてもしっかり向き合わなければ!

でも、ならば自分でできることは何なのか?

それをちゃんと見極めて答えを出し、

自分の人生を自分で選択して、責任をもって生きている、

そんな「彼女の人生」が、この表情に、

にじみ出ているように思えてなりません


またまた今日は長くなっちゃったなぁ~。

でも最後に、長くなったついでに、

私の好きな、元気をくれる、ヘプバーンの「愛した」、

「サム・レヴェンソン」が孫娘に捧げた詩を一つお送りしたいと思います。


TIME TESTED BEAUTY TIPS ~時の試練をへた人生の知恵~



魅力的な唇でいるためには、

思いやりのある、優しい言葉をつむぎなさい。


愛らしい瞳でいるためには、

人々の素晴らしいところを見つけなさい。


スリムな体でいるためには、

飢えた人々と、食べ物を分かち合う心を持ちなさい。


艶やかな髪でいるためには、

一日に一度、子供の指で梳かしてもらい、

その感じた気持ちを味わいなさい。


美しい身のこなしのためには、

人は、決して一人では生きてゆけない、

ということを心得なさい。


忘れてはいけません。

人はみな、物よりもはるかに多く、

回復し、復活し、生き返り、再生し、

救われることが必要なのです。

繰り返し、繰り返し、報われることが。


身分や年齢などに関係なく、

どんな人も、決して見放してはいけません。


忘れないで下さい。

『あぁ、もうダメだ!!』と思って倒れそうになっても、

あなたの腕をつかみ、救い上げてくれる誰かが

必ずいるということを。


年をとると、人は、

自分に『二つの手』があることに気が付きます。


一つの手は、自分を助けるために。


もう一つの手は、他者を助けるために。


また『女性の美しさ』というものは、

いかに高価な服を着ているか、などの理由で

判断されるものではありません。


『見た目の美しさ』というものは、

それまでのあなたの生き方が

姿となって表れるものです。


手入れの行き届いた髪とて同じこと。

それだけではダメなのです。


『女性の美しさ』を判断するなら、

その人の目を見れば分かります。


なぜなら、目は「心に直結する扉」だからです。


今までその人が、その目で何を見、何を感じ、

どんな風に自分や他人を愛してきたか、

それらを映し出す「鏡のようなもの」だからです。


また『女性の美しさ』というものは、

顔のどこにホクロがあるかなどで

判断されるものでもありません。


つまり、『真の女性の美しさ』というものは、

その人自身の「魂の表れ」となって

映し出されるものなのです!!!


心をこめた人々への気遣いが、

別けへだてのない人々への深い愛情こそが、

その女性を美しく、魅力的に見せているのです。


したがって『女性の美しさ』というものは

昨日今日で完成されるものではありません。

『真の女性の美しさ』というものは、

年を重ねてゆく過程の中で

まるでダイヤモンドのように、

数々の試練によって少しずつ磨かれ

光り輝いてゆくものなのです!!


作・サム・レヴェンソン


この詩の英文と対訳の前文はこちらのページ



~お詫びと訂正~

2011年4月30日に一度アップさせていただいておりますが、

もう一度、少しニュアンスを変えたい部分があったので、

対訳風に変えて、再度掲載させていただきました。


3月11日の震災以来、いまだに先がまったく見えない日本ですが、

大人はもちろんですが、心に傷を負った子供たちのことを考えると、

誰かに頼ってばかりでなく、私たちに出来ることはなんだろうと、

もう一度真剣に考えなければいけないときにあると思います。


重複する箇所がございますが、

訳させて頂いた感想も追加しましたので、

お時間がありましたら、ぜひお読みください。



以前訳させて頂いた『スマイル~中編~』で

ご紹介させていただいた詩は、

オードリー・ヘプバーンが書いたものではありませんでした。


サム・レヴェンソンという、アメリカの喜劇俳優、作家、

教師、テレビ司会者、ジャーナリストである彼が、

「TIME TESTED BEAUTY TIPS」

(時の試練をへた人生の知恵)というタイトルで、

自分のかわいい孫へあてて書いた手紙の中の詩です。


後に、オードリー・ヘプバーンが愛した詩と知られたことで、

「彼女自身が書いた」と間違えて伝わることもありますが、

オードリーが書いたものではありません。


ユニセフ親善大使であり、バレリーナであった

彼女が愛したこの詩は、人生最後のクリスマス・イヴの夜に、

子供たちに読み聞かせたというエピソードでも有名です。


この手紙を訳していて、特に後半は、

『女性美』についてかかれているのがわかります。


サム・レヴェンソンが『女の子の孫』にあてた手紙

ということだったので、今回はあえて『本物の女性美』

として書かせていただきましたが、

女性に限らず、もちろん男性にも、

全ての人々に当てはまることだと思います。


そして、前半にある一節。


「人はみな、物よりもはるかに多く、

回復し、復活し、生き返り、再生し、

救われることが必要なのです。

繰り返し、繰り返し、報われることが。」



今の日本人の心に、そして世界の人々の心に、

大事なことを思い起こさせてくれる、

ぜひ毎日でも読んで心に刻みたい、

そして、少しでもこの詩の内容を、

確実に、実行していきたい!!


そんな風に思わせてくれる、

素敵な一行一行だと思いました。



若生りえ


心にしみます

さぁ!お待たせいたしました!

ラスト後編「スマイルの歌詞」です!

長くなってすみませんが、頑張ってよんでください(笑)


関連ページ

曲の出来た経緯など↓

SMILE~スマイル~ 前編

曲の英語歌詞と日本語和訳歌詞↓

SMILE~スマイル~ 後編



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3 コメント

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試練 (マスター)
2012-06-16 03:22:26
オードリーに悲惨な過去があったことを知りませんでした。
晩年の生き方の根底にはそうした過去の体験がベースとしてあるのでしょうね

チャップリンも含めて皆さん人生を真摯に生きられた…
深イイお話をどうも有難うございますm(_ _)m
返信する
Unknown (Unknown)
2015-03-08 15:32:24
何年か前にスマイルの歌詞を探している時にこちらのブログにたどり着き感銘した事を思い出し、また今日検索して伺う事ができました。
オードリーが好きだった詩も好きですしスマイルの訳もとても良かったですが、これは見れなくなっていたのでスゴく残念でした。また、いつか見れる事を願っております。
返信する
スマイルの歌詞 (wakorie)
2015-03-09 17:53:56
この度はわざわざありがとうございます!他のものも含めてこのまま再アップするのはいいかなぁ~、と思っていたのですが、がんばります(≧∇≦)しばらくお待ちくださいませ!
返信する

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