迦羅求羅虫

小さな寺の日々の出来事

憶念する

2015-05-30 07:29:44 | 行事

◆3.11東日本大震災心に刻む集い 
    憶念~いのち悼み、いのち訪う~  (5月20日)

 
表 白

 どうして薄れていくのだろう

 あの日感じた、行き場のない怒りが

 どうして忘れてしまうのだろう

 水道から水が出たあの日、あんなに嬉しかったことを

 どうして思い出せないのだろう

 未来を自由に思い描けた あの日を


 それなのに、どうしても忘れられない

 私が愛したあの故郷を

 海沿いの松林を 走り回ったあぜ道を

 そしてどこまでも続く桜並木を


 あの景色は、もう目を閉じないと見ることはできない

 あの人には、もう目を閉じないと会うことができない


 だから憶念する

 こんな怒りを誰も抱かずに済むように

 だから憶念する

 いつでも目を閉じれば 故郷に帰れるように

 だから憶念する

 いつでも目を閉じれば あの人に会えるように


 数え切れない いのちが失われ

 故郷が奪われ いのちが脅かされた

 怒りと悲しみ、諦めが 胸を占めた


 それでも、と私はおもう

 うつむいていた私に

 かけられた声が 繋がれた手が 人の熱が

 背中を押す

 私の意思でこの地を生きたい

 子どもたちの姿に未来が見えたから

 私の意思でこの地を生きたい

 私の姿に未来を見て欲しいから


 だから私は、憶念する
 
 子どもたちと未来を語るために

 だから私は、憶念する

 この地で浄土を生きるために





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