切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

「牧神の午後」 山岸涼子 著

2007-07-13 23:59:59 | 超読書日記
山岸涼子の『舞姫 テレプシコーラ』にはまって以来、バレエに俄然関心がわいてしまって、本やら映像やらをちょこちょこ追っかけているんですが、その際に出会った『バレエに連れてって!』という入門書で取り上げられていたのが、今回のこのマンガ。伝説のダンサー、振り付け師であるニジンスキーを取り上げた作品で、これも傑作。ますます、バレエにはまりそうですねえ~。

1910年代に活躍した伝説の男性バレエダンサー、振り付け師のニジンスキーは、初演時に暴動が起きたことでも知られるストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」にも参加していたひとだけど、興行師ディアギレフとの同性愛や精神病院をたらい回しにされたという悲劇的な後半生でもまたよく知られている。

このマンガでは、ニジンスキーの悲劇的な人生を同時代の振り付け師フォーキンの視点から描いており、ニジンスキーの内向的で複雑な性格と、没心理的ともいえる彼のバレエを躍る姿を、いかにも山岸涼子というような、冷たく刺すような表情の絵柄でえがいているところが、なんとも印象的。

タイトルの「牧神の午後」は、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」を使ったバレエの演目で、牧神を演じたニジンスキーが自慰行為を再現した振り付けで、スキャンダルを巻き起こしたことでも知られる作品。

・ニジンスキーとは(ウィキペディア)

ところで、番外編として、このマンガの入手が大変だったということについて、書いておきます。

そもそも、『牧神の午後』というタイトルで、倒産した朝日ソノラマから出版されていたそうですが、当然ながら、なかなか手に入らず、潮出版から出ている『青青の時代』第4巻に併録されている版でわたしは読みました。ただ、この第4巻もなかなか店頭には置いてなくて、結局アマゾンに頼った格好なんですが…。

『舞姫 テレプシコーラ』の影響で、『アラベスク』も再び売れているようですし、このマンガを読みたいという方も多いでしょうから、手に入りやすい形での再刊を希望したいですね~。 


青青(あお)の時代 (第4巻)

潮出版社

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ICON 伝説のバレエ・ダンサー、ニジンスキー妖像

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