豚、箱根湯本へ行く。

この文章を読んでいる心ある方々、お久しぶりです。
ビデオブラザーの山田でございます。

実家の母からの便りでは段々と雪の日も減り、心なしか春の気配を感じるように
なったといいます。

お母さん、都会はまだまだ寒うございます。

旅行の話を一席設けたいと思います。

先日私は声の大きい友人、「寺尾」氏と一緒に箱根へと日帰りの旅に出掛けた。

いろいろな事情が絡んで今回そのような運びとなったわけだが、前日までこの豚
は全くのノープランだった。

何処へ行き、何をする等々も考えに無いので前日の電話ではとにかくどこでもい
いので「温泉」「お酒」があればよいということを寺尾氏に告げた。

翌朝、我々は新宿に落ち合い、皆の憧れ「ロマンスカー」乗り場へと行く。

寺尾氏にはプランが幾通りかあり、イレギュラーが起きても平気だそうだ。

氏は前日の夜、私と電話を終えた後もまだインターネットでいろいろ調べていた
そうな。

氏の興奮具合がよく伝わる。

ところが土曜日だったのでロマンスカーは「満席」を我々に告げる。

ロマンスカーの車内ではキッズが騒ぎ、跳び跳ねている。

彼らは箱根で何を癒そうと言うのか。

1分も入らない温泉の中ででオシッコをして帰りは親の背中で寝るだけではないか。

悔しさ込み上げる中、寺尾氏は

「湘南新宿ラインがあるやないか」

と私に教えてくれた。

因みにこの時の彼の声はすれ違う人が振り返る位大きいものだ。

我々は湘南新宿ラインに乗りビールとツマミを社内販売で買う。
売り子のお嬢さんが随分可愛いかったので我々はイヤらしい眼で彼女を見つめ、
アルコールを飲む。

中々いい仕上がりだ。

途中の小田原にて一度下車。

寺尾氏は「やっぱ城見なあかんやろ」と私に言う。

氏は声が大きいのでいつもなんとなく説得力がある。

城見なアカンくなった二人は小田原城へ行く。

小田原城は近くで見ると大きく感じない。

我々は城への興味を早い段階で無くし、何故か猿の檻があったので二人で見る。

成る程、猿の社会の上下関係は厳しく、体の大きいものは小さいものへ容赦ない
。目をグリグリされていた。


猿山を見たあとはまた電車に揺られて箱根湯本へ。この間も寺尾氏は私を飽きさ
せないよう、いろんな小田原、箱根のご当地あるあるや小話をしてくれる。

私はただうなずいていれば良い為、脳味噌を殆ど使わなくてよい。大抵の事はこ
の体と声の大きな寺尾さんに付いていけばよい。暴漢が来ても平気。

箱根湯本から登山鉄道なるものに乗り、目的の駅へ向かうのだが途中、「スイッ
チバック」なるものを体験する。

どうやらこの鉄の塊が山を走るにはこの方法を取るのが良いそうだ。

寺尾氏はその電車によるスイッチバックを随分丁寧に説明してくれた。

脳味噌を使わない私はいつもに増して理解力に乏しく、寺尾氏は益々大声になる
。

親切な人だ。

目的の駅に到着。
駅名は忘れた。脳味噌を使わないから。

大男に案内されるがままになにやら雰囲気のある温泉場へ到着。

入湯料金は2500円。意気がったキッズや学生は怯む金額だ。

無論、私も怯んだ。

中はとてつもない静けさだ。
休憩スペースも皆大人しく横になる。

聞こえるのは布のすれる音、小銭の音、遠くの川の音。

素敵だ。

「なっ？言うたやろ」

寺尾氏だ。ドキリとする。

静けさの中の氏の存在感は半端ではない。静けさとの対比がすごい。

「あっ、しもた」

「ホンマやなぁ」

「使こたらええねや」

これらの言葉が館内に響き渡る。 はぐれても大丈夫そうだ。

温泉は最高だった。
絶壁に設置された温泉は段々になっていて一番下は1人用だ。

私は人よりも体を洗う時間が少ないため、先に体を洗い終えて1人用へまっしぐら
だ。

むぅ、最高だ。
体から灰汁がどんどん出てイオンがどんどん入ってくる。

寺尾さんも1人用に入ってきた。

気分いい。
貸し切り状態な訳だ。

ただこの状態で誰か入ってきたらきっと気を使われた事だろう。

途中インターバルを挟み、また温泉へ。

かれこれ一時間半ほど入っていたので私は氏に上がると申告した。

「わしはまだエエわ、もととってないけぇ」

そんな声すら響き渡る。
タフな男である。

帰りはどこにもよらずに新宿へ向かう。本当はいろいろ観光したかった。
あの女車掌め。

新宿での飲みには福島ピート幹夫氏、ルッパさん、ジェントルのベースのデジ、
が来てくれた。

1日遊んだあとに凄く楽しい飲みをして。

生きていかねばならん。 こんな楽しい事があるのだから。

帰りにバルビーのもっちゃんさんも合流。
江古田で再び飲む。

寺尾氏の話をまるでスナックのママのように聞くもっちゃん。

寺尾さんが楽しければ全部オッケーだ。

江古田の夜は長かった。

箱根のローソンにて撮影