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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

絵本 『ゆびくん』 五味太郎

2006年12月24日 | 絵本・写真集・画集

             “Ginkgo in the Park”


絵本『ゆびくん』(五味太郎 岩崎書店)を読みました。

他の五味さんの絵本のように、ユーモアはそれほどありません。ユーモアよりも、もっとあたたかいような、他人への生の愛情を描いている感じ。

初版は1977年の本で、絵柄も他の五味さんの絵とは少し違う感じがします。なんと言うか、“昭和”的で、折り紙を感じさせる絵です(この僕の印象に同感する人は少ないと思う)。

「ゆびくん」は、もうひとりの登場人物の女の子のともだち。

「ゆびくん」は、普通の友達のように、ケンカしたり、お互いの主張を言い合ったりしない。

あくまでその女の子のやることについていく。でも、服従しているわけじゃない。
その女の子のすることにいつでもついていくけど、その女の子のすることは「ゆびくん」にとっては、絶対に絶対に楽しいことなのです。

「ゆびくん」は女の子と一緒に遊ぶ。本当に心のそこから楽しんで遊ぶ。

「ゆびくん」は女の子をなぐさめたりしない。女の子のカウンセラーじゃない。

「ゆびくん」は女の子に何かを教えたりしない。女の子の教師じゃない。

「ゆびくん」は女の子とケンカしたりしない。女の子の友達じゃない。

「ゆびくん」は女のこのことが大好き。でも恋人じゃない。

「ゆびくん」は女の子が楽しんでいる姿を見て喜んだりしない。女の子のすることは、無条件に「ゆびくん」にとっても楽しいから。

「ゆびくん」と女の子は一心同体。「ゆびくん」は「ゆびくん」で、女の子は女の子で、二人はそれぞれ別々だけど、でもいつも心が通い合っているのです。


涼風

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