joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

最近(?)のゴンチチ

2006年08月02日 | Music
ギターデュオ・ゴンチチの音楽のことをよく「地球一快適な音楽」と言います。僕は昔はこのレッテルがあまり好きじゃなかった。そんな安易なイージー・リスニングと違うのだ、と言いたくなりました。

僕がゴンチチと出会ったのは87年か88年。『イン・ザ・ガーデン』。たしかチチ松村さんと中島らもさんが当時深夜番組で二人でコーナーをもっていて、それで知ったのだと思う。

今思えばこの『イン・ザ・ガーデン』はゴンチチの音楽が初期の荒々しさを失い、成熟した音楽へと脱皮しかけていた時期のアルバムだと思う。それでもそのマジックのように鮮やかなメロディとギター、完璧なアレンジに身震いしました。

それから僕は彼らの過去をさかのぼるように『冬の日本人』『サンデー・マーケット』『Legacy of Madamu Q』『Physics』『アナザームード・脇役であるとも知らずに』といった作品を聴きました。それらは、アレンジには素人っぽさがあるけれど、それだけに何か思いつめたような張り詰めたメロディが詰め込まれていて、インストゥルメンタルだけど作り手の叫びが聴こえてきそうな、まるで私小説のような音楽でした。

そのような彼らの試行錯誤が一種の完成品として結晶したのが『イン・ザ・ガーデン』だったのだと思います。

ただ、素人っぽさと、それゆえに他とは取替えのきかない独自性のあるギター音楽だったゴンチチの音は、『イン・ザ・ガーデン』以降、少し迷走を続けたような印象があります。

メロディにもアレンジにも、かつてのような素人臭さはなくなり、まさに「地球一快適な音楽」と呼ぶに相応しい、職業ミュージシャンによるイージー・リスニングへと変化していったような印象があります。『デヴォニアン・ボーイズ』『キット』といった作品は、テクニックの面では完璧かもしれませんが、以前のアルバムが好きな者にとってはとても退屈な音楽でした。

ここで私は、世間で彼らが認知するのと反比例するように、ゴンチチから気持ちが離れていきました。

その僕がまたゴンチチを少し聴き始めたのが去年ぐらいから。ずっと僕が聴いていなかった90年代や21世紀以降のアルバムを、全部じゃないけど、ちょこちょこ聴いています。『XO』『Black Ant's Life』『Strings with Gontiti』や、そして最近借りた『made in Uklele』など。なかには10年以上前のものもあるので、もう最近のゴンチチというわけじゃないけど、結構いいと思う。

完璧になると同時に彼らの独自性がなくなった一時のゴンチチと違って、これらのアルバムは、プロの洗練された作業であると同時に、単なるイージー・リスニングじゃない音楽になっているように思います。

誰だって時計を元に戻すことはできないし、そのときにできるものをするしかない。本人たちが悩んだのか、自然にやってこうなったのかは知らないし、どっちでもいいけれど、今のゴンチチは、テクニックが洗練されると同時に、自分たちにしかできない音楽をやっているように感じました。

もっと他のものも聴いてみよう。


涼風


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