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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

クジラの島の少女

2005年09月13日 | 映画・ドラマ
『クジラの島の少女』という映画を観ました。

ニュージーランド映画で、主人公の女の子がアカデミー賞候補に選ばれたことで話題になりました。

内容は、鯨に乗ってやってきたという伝説を信じるマオリ族の一家に生まれた女の子をめぐるお話。このマオリ族には伝統はありながらも、その貧しい状況から若者は村を出て行き、残った老人や若者達も無気力の中で過ごしています。そうした一族の状況を救いたい族長は子孫から一族を救う救世主が現れることを期待しています。主人公の少女はそうした祖父である族長を助けたいのですが、女として生まれた故に、跡取りとして認められない悲しみを抱えていました。

お話は、この一族の危機の中で少女が村の伝統と対峙しながら、どうすれば自分は一族を救えるのかを模索していく姿を追ってきます。

お伽噺のようでありながら、同時に伝統の断絶と共同体の存続というあらゆる社会が抱える問題に共通する普遍的なテーマを扱った作品です。

伝統の崩壊の中で族長である祖父を救いたいという少女の気持ち、慣習に縛られ周囲の人の気持ちを圧迫してしまい一人孤独になっていくその祖父、その祖父に反発する人たち。どこにも悪人はいないのに、それぞれがすれ違い不幸に沈んでいく一族の姿が描かれています。

おかれた現実の中である人間がそこから救いを模索していく過程が見事に映像化されていました。今年になって私が見た映画の中ではベストの作品です。

アカデミーにノミネートされた主人公の少女はもちろん素晴らしいのですが、個人的にはそれ以上に祖父役の俳優が見事でしたし、脇を固める俳優たちもみな素晴らしかったです。


涼風

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