joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『自然との対話』 イレーネ ファン・リッペ=ビースターフェルト(著)

2004年08月08日 | Book
『自然との対話』という本を読みました。図書館で借りてきて、一度通して読み、二度目を読み終わったところです。一度目よりも二度目のほうがはるかに著者のリズムに乗っていくことができたように思います。

この本を読もうと思ったきっかけは、訳者の矢鋪紀子さんが他で訳していた『あなたも作家になろう』という本を読んで、その味わいのある日本語の素晴らしさに接し、ぜひこの人のべつの本も読んでみたいと思ったからです。

『自然との対話』は、子供の頃から自然に親しんできた著者が、人生の困難に直面していく中で失っていた自然とのコミュニケーションをもう一度回復し、それによって自分自身や人間のあり方、ひいてはこの宇宙のあり方にまで洞察を深めていく過程を自身で綴った本です。

著者にとって自然とは、決して保護すべきかわいそうな存在ではありません。それは人間の側の傲慢な考えなのです。自然はもっと大きく、人間のように皮相な判断をくだしません。自然は人間と同じように生命を持つ存在でありながら、人間とはことなり、ただ存在することで自分を表現する命なのです。

著者は言います。もし自然に意思があるのなら、とっくに自然は人間を痛めつけているだろう、と。

実際にわたしたちが自然を破壊しているのは事実ですし、そのことを反省すべきなのもたしかです。しかしそれは、自然をかわいそうな存在にしているからではありません。むしろ、自然を傷めつけることで、わたしたちはじぶんたちをいためつけているのです。

自然は、いい悪いという判断を下さずに、ただ存在しています。だからこそ自然のエネルギーは、私たちを癒し、自分自身の源に戻るように私たちをうながしていきます。

この本では、著者イレーネ ファン・リッペ=ビースターフェルト(オランダ女性であり、王室出身であり、働くシングル・マザー)が、率直に自分の内面の動きを描写していきます。そこでは、たんに自然を大切にしましょう、という甘い言葉は拒否されています。

むしろ彼女は、自然が表出するエネルギーを受け取ることで、善悪の判断を超えてただ存在するというあり方をつねに学ぼうとしています。

その中で出てくる、過去生、宇宙、守護霊などの概念に馴染めない人もいるでしょう。しかし、それら神秘的な言葉を受けつけることができない人でも、彼女の著書を読めば、それが思考の錯乱から出たものではなく、彼女自身の体験が導いたものであることを、納得できるのではないでしょうか。




最新の画像もっと見る

post a comment