昨日の夜の寝しなにテレビを見ていると、NHKで劇団大人計画の特集をしていて、大沢たかおがナレーションをしていました。
大人計画というのは、ぼくはその舞台を見たことがないけど、今をときめく脚本家の宮藤官九郎が所属している劇団ですね。僕は宮藤官九郎の『マンハッタン・ストーリー』を見て衝撃を受けたのですが、そのドラマにも、そしてクドカンのドラマの多くに大人計画の役者は出演しています。
昨日の特集を見てびっくりしたのは、大沢たかおが一時大人計画に所属していたということ。彼は団長の松尾スズキに大沢蝉之助という名前をもらっていたそうですが、それは大沢たかおがオーディションで蝉のモノマネをしていたから。
しかし大沢たかおはいつまで経っても舞台の役をもらえず、嫌になって大人計画を一年半ほどでやめちゃったそうです。
まぁ、やめて正解だったんでしょうね。その後彼は二枚目で実力派の役者として認められているのですから。
昨日の『アビエイター』についてのエントリーで「この映画を見て思うのは、アメリカ映画界の俳優の層の厚さ。無名の俳優でもみなリアルな演技をします。それはドラマ『ER 緊急救命室』を見ていてもいつも思うことです。製作者の腕さえよければ、誰もが名俳優に見えてしまうのです」と書きましたが、それってもちろん日本の映画・ドラマについても言えるんでしょうね。
先日の夜中に『陽はまた昇る』という映画をチラッと見ていて、主演が西田敏行だったのですが、それがいかにも西田敏行らしい人情派の演技をしていて、おそらくそれは監督の期待通りだったのでしょうが、僕は見ていてちょっとガックリしてしまいました。
この映画はアマゾンのレビューでも絶賛ばかりだし、西田敏行さんの演技も賞賛されているので、一般的な評価は高いんだと思います。
でも僕がガックリきたのは、最近の『巧妙が辻』での西田敏行を見ているから。といってこの大河ドラマを毎週チェックしているわけではないけど、チラッチラッと見ていてハッとさせられるのが西田敏行演じる徳川の家康です。
柄本明演じる豊臣秀吉もすごかった。しかし僕的には西田敏行演じる徳川家康は、僕が一番想像していた徳川家康に近い。つまり計算高さと忍耐強さと権力欲をもつ人というイメージです。
このドラマの西田敏行は、ふだん私たちがみる彼とは全然違うイメージ。『探偵ナイトスクープ!』や他の映画・ドラマでの西田敏行というのはいかにも笑いと涙を誘う人情肌の役者という印象があります。
でも『巧妙が辻』の西田は違う。顔は冷やりとして目は蛇を睨むような鋭さをもっているのです。普段情のある演技ばかりしているから、そのギャップで余計に人間の冷たさを演じると際立つのかもしれない。これを機にもっともっと毒のある演技をして欲しい。
渥美清は、寅さんを演じる前は悪役などもやっていたそうです。彼の元にはいろいろなタイプの役のオファーがあったそうですが、寅さんを演じてからは他のものを断っていたそう。それは寅さんのイメージを壊すからというのが理由だそうです。でも渥美清の悪役と言うのもぜひ見てみたかった。あの「笑っていない目」は、たしかに悪役に向いているからです。
たしかに大沢たかおさんが大人計画に在籍していたら、もっと知られていてもおかしくないはずですね。
ご指摘ありがとうございました。