画集『こころにしみるなつかしい日本の風景―近代の浮世絵師・高橋松亭の世界』を見ました。私は浮世絵を画集で見たのは初めて。浮世絵と言っても葛飾北斎とかも名前ぐらいしか知りません。
この高橋松亭という人は1871年生れの人なので、明治・大正・昭和に活躍した人なのだと思います。
浮世絵というと、イメージとして、いかにも“日本的”な画法が用いられているイメージがあります。でも、じゃあその“日本的”とは何なんだ?と問われても答えられないのだけど。でも、私たちが普通の絵画と思う西洋画とは雰囲気が違うのは分かります。
つまり、ある時代に発達した特異な画法であって、今の時代にはそぐわない描き方だという思い込みがあります。
でも、この高橋松亭という人の絵を見て思ったのですが、そもそも「浮世絵」という範疇は浮世絵師たちにとってどれほど重要だったのだろうか?と感じました。様々な技法から浮世絵を選んだのかもしれませんが、でも彼らにとって最終的に大事だったのは描こうとした現実の風景であり、現実の中の美をどのように切り取るかという問題だったはず、と思いたくなります。
つまり、高橋松亭の絵を見ても、浮世絵を見ているというより、彼がその目で見た風景を見ているというようにしか見えないのです。当たり前だけど。
ただ目の前にあるものを描写するのに筆を走らせる。その際の技術がたまたま彼にとっては浮世絵だった、と。
何か、日本画と西洋画という区別も意味もないものに思えてきます(いや、意味はあるのだろうけど)。
浮世絵というと、普通の絵とは違うとっつきにくいもの、というイメージがありましたが、この画集の絵は、むしろ淡々と現実の風景を描いている絵という印象があって、「浮世絵」という範疇はそれほど重要なものとは思えませんでした。
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写真:ゆきやなぎ
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