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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

人材は「不良(ハミダシ)社員」からさがせ―画期的プロジェクト成功の奥義』

2005年11月30日 | Book

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┃--「仕事のヒント」神田昌典365日語録--

 No.135
キーワード:
依存させることによって、その人をコントロール
したいという自分のエゴに気づけ。

解説:
多くの経営者が、人を依存させることで
社員をコントロールしようとしている。
ほとんどの会社が年商10億円を超えられない理由
がここにある。年商8億円までいった会社が、
来期は10億円を目指すぞと言ったとたん問題が起こり、
年商5億円に逆戻りする。そんなことが頻繁に起こる原因は
社長が社員を依存させようとする無意識の行動パターン。



 No.136

キーワード:
家業から企業に成長させたいなら、
社員を依存させるというゲームをやめること。

解説:
ゲームをやめると、自分が育つかわりに、社員が育つ。
社員は自ら工夫をして、自らの方法で目的を達成するようになる。
一級のマネージャー(管理者)が育ち、社長は出社する
必要がなくなる。自分で決断し、自分で実行したことが
うまくいくことで社員は急速に成長する。

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『人材は「不良(ハミダシ)社員」からさがせ―画期的プロジェクト成功の奥義』という本を読みました。最近は著者の天外伺朗さんの本をよく読みます。

この本が書かれたのは1988年。ちょうどバブルの時代ですね。ただこの本にはそんな浮ついたところはなく、むしろ大企業の問題点があぶりだされています。現在のソニーの困難を天外さんは分かっていたのかもしれません。

話は分かりやすく、自身のソニーでのコンパクト・ディスク、コンピュータのワーク・ステーション「NEWS」の開発を通して、どのような社員・管理者・チームが画期的開発を成し遂げるかを説明したものです。いや、正確にはどのような人が画期的発明を妨げるのかを告発したものです。

単純に言えば、上司や会社の方針に沿って言われたことをマジメにこなす大企業特有の優秀社員ほど、革命的な開発の妨げになるそうです。なぜなら、会社全体の円滑な運営を第一にする「いい子」社員は、その運営から外れるプロジェクトの意義を見出せないからです。

しかし、会社、それも大組織が考える方向性とは、自然に「大きな損失を出さないもの」となります。それは組織に損害を出しては多くの人に迷惑がかかるということもあるし、組織で出世するには大きなミスを犯してはいけないと考えるからです。

ただ、そのような方向性からは当然「画期的」な商品は出てきません。リスクを犯していないところから革命的な発想は出てこないからです。

きっと組織が大きくなるほど、中にいる人は「組織」「集団」という観念を抱え込み、その観念につぶされて自由な発想ができなくなるのでしょう。

こういう話は大企業に対する一般的なイメージですが、まさにそのイメージ通りの病が大企業に実際に存在することを著者は指摘します。

それに対して、当然のごとく画期的開発を成し遂げるのは、会社全体の方向性・上司の目を気にしない「不良社員」ということになります。著者によれば、「NEWS」を開発した9人はその「不良社員」だったということです。

この「不良社員」のチーム運営に関する叙述で著者は興味深いことを言います。このような技術者集団が画期的プロジェクトを進めいていると、必ず「いい子」社員がそのプロジェクトを妨害してきます。それは目に見える形のときもありますし、表面上協力的でいながら妨害することもあります。

その表面上協力的というのは、たとえば「いい子」社員がそのプロジェクトのリーダーとなったとき。彼は画期的開発を進める「不良社員」チームのリーダーなのですが、その開発に様々な“指示”を出します。この指示は、本人はチームのためと思ってやっているのですが、外から見れば単にその開発がどういう方向に進むかが不安なことが原因となっています。

天外さんは、指示を多く出す人ほど視野が狭いと言います。つまり、他人の行動を縛るのは他人の行動がつねに自分の視野の中になければ不安だからです。本来は開発とは、そして会社運営とは、会社の外の環境に向かってどういうメッセージを発信するかが重要です。つまり本来であれば世の中全体を広い視野で見て、そこから情報をつかみ、その上で会社として・チームとしてすることを決めていきます。

しかしチーム内で部下に多くの指示を出す人は、視野がチーム内ばかりに行って、その開発が社会全体の動きとどう関係するのかが目に見えていないのです。これこそまさに衰退する大企業の問題なのでしょう。

それに対して天外さんは、優秀なリーダーとは、走る車の上を飛ぶ鳥のようなものと言います。走る車には「不良」の技術者達がやりたいようにやっています。しかしそに上の鳥は、車と一緒の方向に飛びながら、つねに目の間に拡がる大地と空をすべて見渡しています。彼は車と同じ方向に飛びながら、視野は世界全体に向かっているのです。

他人に“指示”を出すことは、視野が自分だけに向いていることを意味する。むしろ大切なのは、チームの人たちと同じ方向を行きながら、チームは車で、しかし自分は空を飛び、チームの車の環境を観察する。

それができるのが優秀なリーダーだと天外さんは指摘されています。

人とともにチームを作ることは、チームのメンバーの動きを手放し、自由に車を運転させ、かつ一緒の方向に飛び、しかし自分はチームの環境全体を見渡すこと、それがカギとなるみたいです。


涼風

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