joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『プライベート・ライアン』

2006年03月05日 | 映画・ドラマ
『プライベート・ライアン』という映画を観ました。もう超有名な映画ですね。でも私は先日初めて観ました。

先の大戦でアメリカは、同じ家族で戦死者が出た場合は、その家族で生き残っている他の兵士は国へ還ることを認められた(命じられた)そうです。戦地に赴いた家族全員が戦死するのは家族がかわいそうだという軍の「はからい」です。

題名は「ライアン二等兵」という意味。つまりこのライアン君の兄弟がみんな戦死したため、生き残っているライアン君を軍は家族の下へ帰還させようとします。しかしこのライアン君は戦場で行方不明のため、大尉(トム・ハンクス)率いる7名が敵の真っ只中の戦場でライアン君を捜しに行きます。

映画は、このアメリカ軍の「はからい」のため、ライアン君を捜すことを命じられた7名の兵士が命を危険に曝される姿を通じて、「なんで一人の人間を助けるために俺達が危険な目に遭うんだ」という戦争の不条理を描いています。

強制的な徴兵で多くの兵士が戦争に不満をもち、かつ一人の兵士を捜すために複数の兵士が命を危険に曝すことで、軍の身勝手な「はからい」、任務に忠実であろうとする大尉、下っ端で不満を言う兵士など、さまざまな立場から戦争の現実を照らし出していきます。

映画は、こうした特異なエピソードを通じて、戦争のさまざまな側面を描き出します。それは、ロマンも何もないただ殺戮だけが行われる側面、多くの兵士の命と国を守ろうと正義感に溢れる大尉の忠誠心、ともかく殺人マシーンとして命令に基づいて相手兵士を殺していく軍人、徴兵に不満を持つ兵士。

ラストで多少戦争を美化したような場面がありますが、スピルバーグはこの場面でも戦闘のリアリズムを追及しながら、同時にお伽噺の要素も取り入れています。これは意見の分かれるところなのでしょう。

ラストの戦闘シーンも戦争の現実を伝えますが、やはり圧巻なのが冒頭のノルマンディー上陸のシーン。戦争体験者がこのシーンを見て当時を思い出し神経症にかかったという話があるそうですが、確かにこれまでのどんな戦場シーンよりも「リアル」に見えます。このシーンを見れば、戦争にロマンを感じることのバカバカしさがよくわかります。

私はこの冒頭の場面を見て、『スターシップ・トゥルーパーズ』というSF戦争映画を思い出しました。パロディと残虐性を同時に描写した映画は、その残酷なシーンが有名ですが、まさに同様のことが実際の戦争でも行われるのだということが、『プライベート・ライアン』を観るとよく分かります。


涼風


最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
拝読しました (薩摩浪人)
2006-03-11 10:51:31
どうも(^▽^)/

本当に戦争描写のシーンは凄まじかったですね。

この映画を観ると改めて戦争をすること、殺しあうことの愚かさを感じます。その戦争描写をスピルバーグ監督は残酷なまでに描き出していましたよね。映像作家としての力量が存分に発揮された映画でした。

これからもどんどん映画の記事を書いて下さい(^-^)



また読ませてもらいま~す
返信する
Unknown (涼風)
2006-03-11 14:33:01
薩摩浪人様 コメントありがとうございます。



私も、なぜこの映画が映画ファンの間でずっと話題になるのか、観て初めて分かりました。商売度外視でスピルバーグは撮ってみたかった、そんな映画なんでしょうね。



また遊びに来てください。



返信する

post a comment