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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

Re-discovery of your experiences 『成功ノート』 起業家大学(著)

2004年11月27日 | Book
以前にも紹介した『成功ノート』(起業家大学著 三笠書房)という本から印象深かったことが一つ書かれてあったので、そのことについて触れてみたいと思います。

その部分を読むと、なぜすべての人が簡単に成功できるわけではないのか。同時に、なぜ成功には価値があるのか、わかるような気がしました。


この本に限らず、お金儲けに関する本は無数に出回っていますよね。それだけに、そういう分野の本に詳しい人もたくさんいます。

アマゾンのページで、ビジネスで富を得る方法を紹介したベストセラーを見ると、それらの本を批判する人が多いのに驚かされます。「この本を読んでも成功しない」「誰某の真似だ」「内容が薄い」など、いろいろと書かれています。それらのレビューを見ると、そういうビジネス書に詳しい人がとても多いことがわかります。それだけに、ビジネス・サクセスについての新刊書には厳しい批評が並ぶのでしょう。目の肥えた人が多いのですから。

しかし、そのような批判が多いのは、多くの人がサクセス・ルールの書に目が肥えていると同時に、それらの本に「裏切られた」という気もちが強いからのようにも感じました。成功を約束してくれるはずの本が期待に応えてくれなかったことへの、悲しみと怒りの声のように思えてきます。


『成功ノート』の著者たちは、本を読んでも実際に実践しない人が多いから、成功者は少ないのだと述べています。

たしかにそうだと思いますが、なぜ実践が難しいのかも、この本は示唆しているように思います。


この本では、意外ですが、「あなたは変わる必要がない」と言っています。むしろ、あなたが蓄積してきたものの中から、サクセスの種を見つけなさい、と。

成功していないとき、ひとは、「いまのじぶんがわるい」と考えますよね。じぶんのやり方が間違っていたのだとじぶんを責めます。しかし著者たちは「そうではない」と言い切ります。

むしろ著者たちは、あなたが(わたしたちが)これまで経験してきたことを、まったく別の側面から見ることを勧めています。

「アメリカの主婦が自分が子育てに悩んで、誰よりも多くの子育て本を読み、セミナーにもたくさん行った。《その結果》、有名な子育てコンサルタントとなり、世界レベルで活躍している」(10頁)

こういう例がいくつか挙げられていますが、成功者のターニング・ポイントは、《その結果》と書かれてある過程にあります。 そして、その過程こそが、たんなるマニュアル本にそっていては上手くスルーできない通路なのだと思います。

上のアメリカの女性は、子育てが好きだとは自分では思っていなかったでしょう。ただ、思わず必死に子育てをしていたにすぎません。他にも、着物の帯が結べない女性が簡単に装着できる帯をつくった例が挙げられていますが、その女性も、帯び結びが好きだったのではなく、気づいたら帯について真剣になったのだと思います。


成功したいと思っている人は自分のことが嫌いなのだと思います。なぜなら、成功していない自分はダメな人間だと思っているように見えます。

しかし、上の例が示しているのは、むしろこれまで自分たちがしてきたことの中で、(場合によっては、自分でも気づかずに)夢中になっていたことを再発見することの重要性です。言い換えれば、嫌いな自分の中に価値を見出しなさい、ということです。


これまで、必ずしもすべての人が成功してきたわけではないのは、この「嫌いな自分に対する想いを変える」ということが、言葉にすれば簡単だけど、「実践」するのが難しかったのではないかと思います。なぜなら、それはひとのこころにかかわる部分であり、それだけは、その人の生い立ちなどが関わるだけに、他人の本を読めばすぐに変わるとは限らないからです。

ひとのこころの闇は深く、他人の闇を解明することは簡単ではありません。成功者が、自分の成功を分析できても、他人を簡単に成功に導けないのはそのためだと思います。

逆に言えば、成功者が他人を成功に導きたいのであれば、成功できない他人を責めるのではなく、この本のように、自分の価値を受け取ることを他人にすすめることが最初にすべきことなのでしょう。

また成功したい人は、難しく感じられても、いままでの自分の人生がすべて正しかったことを認識するレッスンを学ぶべきなのでしょう。そのレッスンがどれぐらい難しいのか(or簡単か)は、究極的には、その人にしかわかりません。


マニュアルだけでは成功できないのは、成功は、その人の人生とこころが深く結びついているからだと思います。

しかし、だからこそ成功は価値があるのかもしれません。

成功が、その人が自分のそれまでの人生の価値を受け取ることであるということは、自分が関わってきた家族や人々の存在を受け入れることを意味し、自分が受けてきた体験すべてを受け入れることを意味します。

同時に、それらの体験に隠されていた秘密を発見することでもあるのでしょう。その秘密は、その人にしかわからないものです。自分にしか分からない自分の体験の秘密を探り出していく過程こそが、成功の醍醐味なのだと思います。

(宝くじでポンと3億円が目の前に積まれても、あるいは人からおこずかいとしてポンと貰っても、その出来事がその人のそれまでの体験・人生の価値を再発見していく作業と結びついていない場合は、それは「成功」とは言えないのでしょう)


アメリカの心理トレーナーでビジョン心理学の創始者、チャック・スペザーノは、成功を「自分を承認すること。達成感。自分のためにも人のためにも(報酬を)受け取ること」と定義しています。そして、「『成功』とは本当は心の姿勢であり選択です。そして人と分かち合った分だけ、あなたの成功が大きくなるのです」と述べています(『Dr.チャック・スペザーノのセルフ・セラピー・カード』ヴォイス)。

チャックの文章は簡潔なので、そのときそのときで色々な解釈ができますが、今日の私には、成功とは、自分のそれまでの人生の体験を見直し、何かに思わず夢中になっていた自分の価値を受け取ることだよ、と言っているように思えました。そう、自分の中の、何かにおもわず取り組んでしまった部分が収穫を生んでいるのだから、それを刈り取ればいいのだよ、そうチャックはみんなに言いたいのだと思います。


知らず知らずのうちに自分が真剣になってしまったことは何なのでしょうか。それが「知らず知らず」だけに、探すのは難しいのかもしれません。しかしそれだけに、その自分の中の気づいていない部分を発見していくことは、きっととても面白いのではないでしょうか。


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