(仮)日本共産党 松戸市議会議員 うつの史行のブログ

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本会議前半がおわって(中編/「子ども子育て新システム」編)

2011-03-10 23:14:08 | 議会報告
市長の施政方針で触れられている「新しい公共」「地域主権改革」「子ども子育て新システム」とは、より具体的にはどういうものなのでしょうか?

●「子ども子育て新システム」
本郷谷市長は施政方針のなかで「子ども子育て新システムのモデルとなる」と表明されました。
これは施政方針のみならず、第4次実施計画にも同様のことが書かれ、「子ども子育て新システム」に対する市長の意気込みの強さが感じられます。

さて、現在議論されている「子ども子育て新システム」は、その目的として「すべての子どもに良質な育成環境を保障すること」「出産・子育て・就労の希望がかなう社会を創ること」とされています。しかし実際検討されている内容がそうした目的に果たして資するものなのか、という点が大きな問題となっています。そのため、検討段階でさまざまな異論が出され、新システムそのものがどのようなかたちの制度になるかも現時点でははっきりしていない状態です。

「子ども子育て新システム」でまず大きな問題は「直接入所契約制度の導入」です。
保育所への入所を希望する場合、現在は市役所(松戸市なら保育課)に申し込み手続きをおこない、入所判定会議を経て入所が決定する仕組みですが、「子ども子育て新システム」では現在の介護保険制度における特別養護老人ホームと同様に、保護者が自分で保育所を探し、直接保育所に入所申し込みをおこなう「直接入所契約」に切り替えるとしています。
こうしたことは、児童福祉法の第24条に定められた「保育に欠ける子どもへの保育義務」という自治体の責任を縮小し、保育所入所に自己責任を持ち込むことにつながります。(保育所に入れないのは自治体の責任ではなく自己責任となるとともに、入所待機児童の実態把握が難しくなる)

自治体の責任だけではなく、国の責任も縮小が検討されています。その一つは保育所の最低基準の廃止です。一般的にはガイドライン化・地方条例化と表現しますが、国が定めている保育所の最低基準を廃止し、各地方自治体で「自由に」基準を決めることができるようにします。これは同時に、認可保育所と無認可保育所という垣根を取り払うことも意味し、自治体が個別に定める基準をクリアすれば、社会福祉法人以外の、株式会社なども保育事業に参加することができるようになります。(保育の市場化・産業化)
保育料については、公定価格を定めてそれをすべての園の基準とし、そこに入園料や特別活動などの料金を上限なく上乗せできる仕組みになります。逆に、最低基準の撤廃により「安くて低いサービス」という保育形態も可能になります。現在は所得に関係なく同じ水準で受けることができる保育サービスに「高かろう、よかろう」「安かろう、悪かろう」という格差が入り込むことになります。

また、幼稚園と保育園という違いをなくし「こども園」とする方向も打ち出されています。(幼稚園経営者などから猛反対を受け、保育園・幼稚園を残しながら、こども園もつくる・・・など、方向性が定まっていない状態です)
保育園が「こども園」になると自治体の補助制度のあり方も変わります。現在は公立はもちろん民間保育所であっても最低基準以上の保育環境を維持するための保育所運営費を国や自治体が負担しています。しかし、「こども園」は最低基準はなくなり、預かっている子どもに必要な「保育量(時間)」に応じて補助金が出される仕組み(保育量の決定は各自治体)となります。施設側としては、長い保育時間の子どもを少数受け入れるか、短い子どもを回転効率よく受け入れるかなどの経営判断を迫られ、保護者はその経営方針に合わないという理由で入所を断られるケースすらも想定されます。一方、国や自治体としては最低基準の保障義務が外れるため、補助金削減につながる仕組みとなっています。

「新しい公共」での自己責任押しつけ、「地域主権改革」での国や自治体の責任縮小の流れが、子育て分野に波及してきた一つのカタチが「子ども子育て新システム」であると言えます。
この「子ども子育て新システム」は冒頭に書いたとおり、現時点ではっきりと決まったものとはなっておりません。これからの動き次第で、そのものが棚上げになる可能性もある問題です。
しかし、現状で話し合われている中身そのものはこれらの重大な問題を内包している制度であり、市長が「子ども子育て新システムのモデルとなる」と表明したことは衝撃的でした。

質問では、これらの問題点を挙げつつ「子ども子育て新システムのモデルとなる、とは国が検討しているものを先行して松戸で実施しようと考えているのか」と市長の考えを質しました。
これに対し市長(担当部長)は、「指摘のように、問題点も多いと認識している」「国で示されている個々の事業のうち、松戸市の地域に応じた子育て支援事業の検討を行うものである」と答弁されました。
要約すれば、「新システムのうち、使えそうなものがあれば、個別に実施を検討する」ということであります。

私はこの答弁に対して「問題点が多く指摘され、国でも固まっていない現段階で『モデルとなる』などという施政方針は慎重さに欠ける」と指摘するとともに、「仮に一部の実施であっても、それが国の新システムの呼び水とならないよう注意が必要である」と釘を刺しました。

続く(次は後編です)

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