歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

特別な生まれ(雑誌ネタバレ含みます)

2007年09月24日 | ◆小ネタとか突っ込みとかつぶやきとか
2008年4月発売予定「鋼の錬金術師1」9巻収録相当雑誌ネタバレ含みます。
短い記事です。


エドとアルは錬金術によって滅亡した国の、直系の子孫。
400年前の王国の血筋。
神の力を得た人間の、子供。

エドとアルは、特別な生まれだった。
「特別な生まれ」の主人公は、少年漫画では普通にあること。
けれど、「特別な生まれ」であることを、こうまで描くことなく、ここまで話を創りあげる。
これは、普通にあることではない。

そして多分、エドとアルはこの後も、リゼンブールの子として生きていくだろう。
少し賢く、特別に錬金術に長けた、けれど普通の人として。クセルクセスの血筋とは、関係無しに。

鋼では「特別な生まれ」を、キャラ立てに全く利用していない。
設定に寄りかからないで、人物を描く。
これは、ホークアイにも言えること。マスタングの師匠の娘、という設定を全く描かずに、マスタングとの絆を描いた。
そして後から、さらりと明かす。それを「どうだー!」と種明し的に使うのではなく、あくまでもさり気なく。

それは、「生まれ」という設定を、キャラの人格と別物として捉えているから。
生まれという背景を、人間の人格と別物として捉えているから。

誰の子であろうと、彼の(彼女の)人生は、その人自身のものだ。

そこに、私は作者の思想を見る。
エドの、人間の定義の広さ。
ブラッドレイが、ホムンクルスであることに矜持を持っていること。
キャラが、敵味方・人種・人間であるかどうかさえ関係なく、魅力的に描かれること。
誰であろうと救われる権利があるのだという信念。
それらは皆、作者の同じところから生まれているのだと思う。

その思想が心地よいから、勇気付けられるから、だから私は鋼が大好きだ。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おんなじこと (のわこ)
2007-09-26 21:58:40
歌猫様
こんばんは!
私も同じことを、なんとなく思ってました。あまりにもなんとなくで、記事にするどころか歌猫さんのこの記事で初めて認識したレベルなのですけど。
リザのお父さんがロイの師匠だった、ってとこで、その流れがイシュヴァール内戦のところで出てきたのもあって、これものすごいことなのに(特に私のような二次創作者にはネタとして)えっらいスルーされたー!とか思っていたんですよね。
で、クセルクセスの血が、あの二人の金の眼(ホーパパもか)に表れてるのかなーとぼんやり思っていたところで、この記事に出くわしたので。ちょっとびっくり。
ある人気作品で、設定が後付されたように感じた時点で興味がなくなった覚えがあって、ハガネはそういうのが一切無いなあ、ともまた思いました。
人が作るお話だから、どうしても話が広がってくるとそういう後付設定が読者にも読めてしまったりするのは仕方ないのかな、と思ってたんですけど、そういう意味でもやっぱりハガネはすごいな、と思います。
ううーん。上手く言えないです。ごめんなさいorz
そういうことをしっかり記事にされる歌猫さんも、やっぱりすごいと思います。と、言いたかった(笑)
ではでは
のわこ
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-09-28 07:05:34
のわこ様コメントありがとう!レスはまた改めて♪
返信する
改めて、コメントありがとうございます! (歌猫)
2007-09-30 08:55:12
のわこ様こんにちは!
レス遅くなってごめんなさい。
>えっらいスルー
ほんとーに!
そしてエドとアルの血筋も、ものすごいことなのにスルーされかねない、かも?
後付け設定が無い(修正はあるけどね)事もすごいけど、すごい設定を別に出さずに済ませちゃう、っていうのもすごいと思う。
難解なことを何てこと無いように描いたり、実はよくあるネタでもものすごく面白く描いたりと、荒川先生は力があるから表現を自在にコントロールできる。そして設定やネタまでも、出す出さないを自在にコントロールできる。荒川弘のすごさ。
ふと立ち止まって考えたとき、あんまりアッサリすごいことを描かれているのに気付いて、驚いちゃう。
だから、その魅力にハマってしまうんですよね~!
コメントありがとうございました!
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