歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

「獣神演武」プロデューサー 森尻和明氏インタビュー

2007年10月29日 | ◆獣神演武
さて、やってきました「獣神演武」探求企画(え?)第三段!
太田出版CONTINUE vol.36
「獣神演武」プロデューサー 森尻和明氏インタビュー。

初読感想。
一番のウソツキはこいつかー!(笑)

さて。森尻和明氏とは誰か。
1965年生まれ。42歳。パイオニアLDC(現ジェネオンエンタテインメント)を経て、ジェンコへ。
キャリアあるアニメプロデューサー。名前で検索すると手掛けたアニメが多数出てくる。

そして、インタビューは聞き手も注目。だって発言はこの人のフィルタがかかってテキスト化される。
インタビュアー:志田 英邦 1971年生まれ。ゲームライター。ライター歴長く、うん、信用できるっぽい。

これ、B5版の小さい冊子で、書店でけっこう見つけにくかったです。
情報提供元ちわさき亭から通販サイト紹介ありますんで、もし手に入れたい方はそちらでも。
てゆかね。
獣神とゆー企画のカラクリについて知りたかったら、これ読まなきゃ!って感じでしたよ。ありがとうチワ様!

さて。表題。
「「獣神演武」プロデューサー 森尻和明氏インタビュー」
「「鋼の錬金術師」の荒川弘がアジアンファンタジーを描く。アニメ、マンガ、ゲームと展開するビッグプロジェクト「獣神演武」。その目指すものは何か!?」

インタビュー。文字びっちりで見開き2ページ。結構なボリュームありますが、これはね、引用させていただきますよ?

ことの起こりは?
1.「もともとはアニメ製作会社のスタジオフラッグのプロデューサーの方が、デビュー前の荒川弘さんと仲が良かったんです。スタジオフラッグのスタッフの方と一緒に荒川さんが絵を描き、スタッフの彼(張飛龍)がテキストを書くというかたちで同人誌を出したんです。(中略・中華好き解説)スタジオフラッグの中で、この作品のアニメ化をしようということで荒川さんが絵コンテを書いてパイロットフィルムを創ろうとしていたんです。(中略・荒川弘が忙しくなって中断)3~4年くらい前から、この作品をもう一度アニメ化しようという動きが起きて、荒川さんもマンガを書くというので、私たちジェンコも参加して、本格的に『獣神演武』のアニメの話が動き出したんです」

さあ、この冒頭の一文だけでも、森尻氏のスタンスがはっきり見えます。
まず、「荒川」を5回も出してる。「フラッグ」だって3回ですよ?

インタビュアー:同人誌、原作小説、過去のアニメ版、今回のアニメ版、さらにはゲーム、「ガンガンパワード」連載中のマンガの中で、一番中核にあるものは何ですか?
(私、このインタビュアーの質問の仕方、ウマイな、と思う。さらりと「有史以前」を示して)

2.「アニメ企画です。それと同時でマンガをやりましょうと。去年の10月ぐらいからマンガがスタートしましたが、アニメのシナリオは先行していて。それをもとにマンガ用の脚本を書いて、そこから荒川さんがマンガ化するという流れです。ほぼ同時進行で進んでいます」

「アニメ企画です」言い切りました。そう、獣神は、アニメ企画。

ストーリーは誰が?
3.「ストーリーは数名のチームで作っているんです。元の原案がどうしても同人誌なので、描きたいシーンしかないんですね。主人公のタイトウが少年ではなくて、24歳くらいで義賊として活躍していることや、七つの星の北辰天君という設定が無かったり、かなり過激な描写があったり、オヤジが多かったり、描き手の趣味が出ているというか……。そこを今回のアニメ化にあたって、ずいぶんふくらませました。岱燈の年齢を下げたり、登場人物を入れ替えたり、断片的な設定を大きく変更したんです。ストーリー会議は、関田修監督とシリーズ構成の関島眞頼さんを中心にして、荒川さんにももちろん参加してもらっていますし、アニメとマンガの脚本をやっていただいている社綾さんには、世界観の設定も手伝ってもらっています。」

黄金周がチーム名
4.「そうです。具体的には同人誌のストーリーを作っていた大原信弥さん、彼はスタジオフラッグの一員だったんですがいまは離れています。それと荒川さん、スタジオフラッグ、ジェンコの原作者グループです。」
この企画はやはり荒川弘さんあっての?
5.「立ち上げから深く荒川さんがかかわっているんです。『三国志』をはじめとして、武侠作品って昨今増えてきていますし、それをアジアンファンタジーとして荒川さんのキャラクターで描くというのは魅力的だと思っていました」

さあ。ここまでで半分です。
ニュアンスを感じていただくために、ほぼフルで引用させていただきました。
1~5の番号は、歌猫が振っています。

もう、どこから突っ込んでいいかわかりませんね!(笑)

まず、何より。
森尻氏は大原氏が、嫌いですねー!(笑)
最初、1.の回答では「スタジオフラッグのプロデューサー」「スタジオフラッグのスタッフの方」と、個人名を出さないで答えてる。読んでるこっちだってまだるっこしいですよ?音声で聞いてたら余計まだるっこしいんじゃないかしら。
「スタッフの彼(張飛龍)」のカッコは、歌猫が入れたのではなく、元文に入っています。
これは森尻氏が言い直したのか?インタビュアーが解説として挿入したのか?
「スタジオフラッグのプロデューサー」は、おそらく早坂氏でしょう。

4.でようやく大原信弥氏の名前を出したけど、それでもイコールにしていない。
大原氏は「同人誌のストーリーを作っていた」人。しかもスタジオフラッグから「いまは離れています」
この、切り離し方にねえ、もうねえ、森尻氏の思惑が見え見えですよ。

そして、3.。
「どうしても同人誌」「描きたいシーンしかない」「描き手の趣味が出ているというか」
嫌ってますね!!(爆笑)
森尻氏ってね。頭のいい人ですよ。プロデューサーなんつー職業で食ってきてるんだもん、悪いはずが無い。
で、頭のいい人は物言いもうまいです。
普通なら、「魅力的な原案なのですが荒削りなので修正させていただき」とか、言いますよね。
それが、この嫌いオーラ出まくりな発言!
「ずいぶんふくらませました」なんて、これ「ずいぶん直しました」って言いたいのを言い換えてるってゆーか、インタビュー記事原稿読んで赤字修正入れたんじゃないかとか、思っちゃいますよー(笑)

更に。
「(ストーリーは)荒川さんにももちろん参加してもらっていますし」
毎回ストーリー会議に引っ張り出してたってんなら、私本気で怒るよ…。
キャラ設定画描くための会議のこと言ってんのかな。
「立ち上げから深く荒川さんがかかわっているんです」
いや、それ嘘だから。
アマチュア時代に、一緒にやってたのは本当。でも、「荒川弘の作品」では、断固として無いから。
ついでにこっちも嘘。
「『三国志』をはじめとして、武侠作品って昨今増えてきていますし」
そういう決まり文句、言ってて恥ずかしくないかなあ(笑) 
中華物って一部に根強い人気があるけど「増えて」は、いないっしょ?歴史物とかSF物とか売り出すときにも同じ文句使うよね…。


そしてインタビュー後半。
アニメ版の魅力は?
「(前略) あとは同人誌のときよりもアニメ版は星の宿命の部分が強調されているので二天神尊と五神闘士たちが持っている運命をどう乗り越えていくかという物語が、26話かけて語られる大きなテーマになっています。(後略)」

26話完結です!
これ公式発表初めてかな?当初、4クール1年ものとかの噂がありましたが、半年放映です。ああよかった!鋼の最終回より前に、獣神アニメは終わりそうです。
そして、星の宿命とかゆーのは森尻氏のお気に入りぽいですよ~(笑)

荒川弘さんの魅力は?
「私が『獣神演武』に参加したのは3年前なので、企画当初の同人誌のときのことは詳しくはないのですが、同人誌の『獅子獣神演武』を見ればわかるように、荒川さんはヒゲとマッチョとオヤジが好きみたいですね(笑)。キャラクターデザイナーとしては、物語や設定を打ち合わせをしながら、その場でキャラクターを描いてくれる。非常にレスポンスが早い方だなという印象でした。」

「同人誌のときのことは詳しくはないのですが」
また予防線張ってるし…(笑)
そして。
「参加したのは3年前なので」
大原氏と荒川さんが4年ぶりに会ったのが2005年5月。今から2年と半年前。

じゃあ、言い出しっぺは誰だ?



なお、「有史以前」に関しては、ブログ「有栖川探偵小説事務所出張所」の「『獣神演舞』検証材料提供」をご覧ください。労作です!

今ここで、こうしてある程度の事実が公表されたのはさ、りほ様はじめ、数多くのファンの「それは違うでしょ?!」っていうネットの声が、製作側も無視できなくなったからなんじゃないかなあ?
だって森尻氏は、元が同人ってことさえ、本当は公表したくなかったっぽいでしょ?
そしてインタビュアーも勉強してきている(えらい!)。その勉強の素材として、きっと上記ブログも活用されたと思うんだ。

そして、「黄金周」の正体。
「獣神演武は荒川弘の話じゃない。黄金周こと大原信弥の作品だ」という事実の公表に対して、製作側は「いやいや。黄金周はグループで、その中心はやっぱり荒川弘なんですよ」と言ってきた。
これ、気持ち悪かったよね!
ムカツクけど、ぱっと反論できない。
「すり替え」は、「事実を混ぜた嘘」。否定されるよりずっと、反論しにくい。ずるく頭のいいやり方。
これは、森尻氏の仕業なんですね。
あー納得いった。だって、失礼だけどガンガン編集部はそこまで頭良くないもん(笑)。ずるさが無い。良くも悪くもね。

だからやっぱり、大原信弥氏は「隠された」んだ。
ネット上での私たちの発言は、あるいは大原氏が表に出られる土壌を作ったのかも??
うん、それで別にいいよ。


獣神演武という作品をめぐる、私たちの不快感。
それは「企画宣伝広報を務める送り手が、この話を好きじゃない」ことが、最大の原因なのかも、って思いました。

作り手は、好いてる。(ここはまた別記事で上げます)
けれど、送り手は、この「獣神」という作品を、愛していない。

だから、送り手は荒川弘というネームバリューに依存する。
森尻氏にとっちゃ、「荒川弘」しか、拾うところ無かったんじゃないか?この企画。
そんなもの、拾うなよー(笑)。
そして、荒川ファンを舐めてんじゃねー。<ここに(笑)はつけない。


という訳で、歌猫のこだわり獣神シリーズ(なんだその名前)、次回は「『獣神演武』はベタ定番から脱するか?」です!
今度は短い記事だよ。お楽しみに!<って誰か楽しみにしてる人いんの?<いや、私が…。




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4 コメント

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楽しみにしておりますよ (sengen412)
2007-10-29 22:01:42
 こんばんは。毎回「熱い」『獣神演武』語り、楽しんで読ませて頂いています。
 そうなんだ~、いろいろな思惑がさまざまに絡み合って今回の企画、となったんですね。
 でも、本当に、『獣神』はつまんなかったですからね。私は1回しか読んでません。だから批評もしちゃいけないかもしれないんですけども。とはいえ、まぁ、とうていもう1回読む気になりませんから、放っておきます(笑)
 こんなのどうしてアニメ化なんかするのかと疑問に思っていましたが。歌猫さまの記事のあれこれを読んで、謎が解けました。 
 にしても、
 大原氏、「ただすかっと気持ちよくあばれるおもしろさを」なんて、オバカじゃないの?(あ、すみません、前記事の内容うろ覚えです。文言違っていたらごめんなさい。だって、読んだとき腹が立って、覚えてなんかやるものか、と思っちゃったんだもの←言い訳です)
 そんな動機のない、やむにやまれぬ思いもない、人間のドラマのない作品なんて、読み進む気になりませんやね。

>荒川ファンを舐めてんじゃねー

よくぞ言ってくれました! まったく同感です。ついでにマンガ少年も舐めんなよ!です。意味なく「星の宿命」なんて言葉にロマンを感じるほど単純じゃないですよ。そこにロマンを感じさせるのならさせるだけの「設定」と「演出」がなければ。いくら荒川先生が筆力のある方だといっても根っこの部分が弱い、というかそこを大事にする気のない作品では、読み応えのある作品にするのは難しいのではないでしょうか?
 …荒川先生、こんな作品からさっさと足を洗っちゃえばいいのに。真面目な、義侠心に厚い方だからなぁ。
 ということで、歌猫さま、『獣神』告発の書、これからも続きを楽しみにしております。
 あ、今月号ガンガンのネタバレ感想もぜひぜひ!
返信する
こちらの考察はとても面白い! (柳楽)
2007-10-29 22:23:12
獣神なんとか本編より歌猫さんの考察や感想のほうが面白いって、一体ぜんたいどういうことなんだろう・・・ orz
と悶えながらも興味深く拝見しています。
私は漫画の1作目しか読んでないので、本当は批判する資格もないんですが、いろんな方の意見を読んでる限り(読まなくてもいいや)という気分になってくるのが不思議です。

アレなデキなのは分かっているけど、そのアレな理由すら深く追求したいファンの業が垣間見える、切なくも愛情溢れた(※荒川氏への愛)考察をこれからも楽しみにしてます。
・・・やっぱりいちおうアニメだけでも観ておこうかな・・・(何
返信する
忘れかけてました (りほ)
2007-10-29 23:43:44
歌猫さんの記事で思い出して、立ち読みしました。「CONTINUE」。
拙ブログのリンクまでありがとうございます。
 
なるほどねぇ。
これで、「ぱふ」で荒川さんが最初はキャラデザだけだと思っていた。と言われていた事の裏が取れましたね。
大原氏が2005年に持ち込んだのはあくまでもアニメ企画であり、そのキャラデザの依頼だったと。
ってことは、スクエニ側がうちの荒川にアニメの仕事をさせるならマンガ化の権利を寄越せってな形でメディアミックスになったのかしら?
こうなると、別記事で匿名でコメントされた方の言う時系列も気になりますね。

気になったのは。
森尻氏が、フラッグでアニメ化の動きと、荒川さんのマンガ化の動きがあってジェンコも参加した、と語っておきながら。
次には、「アニメ企画が中核で、同時にマンガを」と答えているあたり。
おかしいなぁ。マンガが決まってからジェンコが乗り出したのだとしたら、こんな発言になるかなぁ。
まるで「アニメ企画発足の時点からすでに参加していた」ように受け取れますよねぇ。

ところで。「黄金周」は今まで、荒川さん、スタジオフラッグ、ジェンコによる原作グループと言ってきたわけですが。氏がスタジオフラッグを抜けた今となっては。「黄金周」とは? と聞かれたら、今回みたいに、大原氏の名前を出さざるを得なくなったわけですよね。
大原氏が「隠された」のだとしたらこれが、その反撃なのでは?
現に、アニメのテロップにも原案協力(でしたっけ?)で大原氏の名前は出てますし。
アニメージュも食いついてきた。
この脱退、自己顕示欲が強く責任感皆無な大原氏らしい行動だよなぁ、と私は見てます。
狐と狸が泥舟に乗って泥仕合?

いやー、今後が楽しみですねぇ(怒)。
返信する
コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-10-30 05:02:25
何だかコメントくれくれ文みたいだったわね。恥ずかしいわ///

sengen412様こんにちは!コメントありがとう!
いや、大原氏は素直なだけですよ。小説でアクション重視とか言っちゃえる人ですもん(笑)。やーアクションほど文字で表すのに難しいものは無いと思いますよ。全てを読者の脳内映像再生力に委ねなければなりませんもの。
私の知り合いに、「竜馬が行く」が好きで、けれど剣の描写がいまいち実感できない、悔しい、と剣道を始めたとゆー人がいます(スゴイ)。剣道やって、ようやく感じられた!と言ってました。文豪・司馬遼太郎でさえ、剣を知らない者に剣を再現させることはできない。
ゆえに、武侠好きの武侠好きによる同人なんだなー、などと。
どーせ何も考えてないオヤジが暴れる話なら、そのまま何も考えない空っぽな話にすればよかったのに。その方がきっと、楽しめた。ヘタに本格狙って重くしようとするから、余計に上滑りになっちゃうんですよね~。
ガンガン感想は、獣神記事を書き終えたらの楽しみにしてるんです。あと3つ!

柳楽様こんにちは!コメントありがとう!
わはははー!面白いですか(笑)
ええ、業は深いですよホント;。でも、この作品のお陰で、作品から距離をとって見られるようになりました。
そして大原氏には腹が立ったりしただけなんですが、森尻氏に対してはものごっつ対抗心が燃えました(笑) 盛り尻なんて面白おかしい苗字しやがって、こんな奴に私が負ける訳にはいかないわ!とか(笑)
やー、アニメ観なくてもあと半年もしたら古本屋の鋼列の端っこに獣神が並ぶから、それからでもいいんじゃない?

りほ様こんにちは!
あああ、またもいつものごとく断りも無しにリンクでごめん;
でもあれはもう、パブリックな記事よ!wikiからリンクしててもおかしくないわ!
検証記事、本当にありがとうございました。
そして前の記事の間違い指摘もありがとう!さすが推理小説の方だわ、と改めて尊敬…v
スクエニは、マンガ権をよこせと主張したとゆーより、つるっと「荒川もマンガ描きますんで」とか言っちゃったって方が、なんかイメージできる・・・(笑)
「黄金周」は「荒川・フラッグ・ジェンコ」ですが、大原氏が表に出ちゃったから「荒川・フラッグ・ジェンコ、と、大原」になったわけですね。きっとこれ、成功したらもっともっと色んな名前が入ってくるんですよ(笑) でも成功はしないからこれで打ち止めかな(笑)
大原氏は脱退というより、コーテック・システムズ設立のためにもっと前にスタジオ辞めてたんじゃないかと思います。設立2002年5月だから。
でも、アニメージュははっきりと反撃ですよね。メジャー誌カラーですものこの勝負は大原氏の勝ち。荒川の設定画とゆー札を握ってたスタジオフラッグは、旧友大原氏の味方。それにフラッグとしては荒川アニメとゆーでっかい食い扶持を下げてきた大原氏に頭が上がらないでしょうしね。
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