「鋼の錬金術師」◆
思うのだけど。
マスタングはエンヴィーを、殺せないと思う。
マスタングの心理として殺せないのではなく。
物語の持っていき方として、殺させないのではないのかと。殺したくとも殺せない状況に、持って行くんじゃないのかな、と。
マスタングは、ヒューズの仇を取りたいと思っている。ずっと思っている。それは普段は少しも顔に出さず、だから8巻でバリーに「電話ボックスで将校を」と尋ねたとき、全て承知でついてきているホークアイでさえファルマンと顔を見合わせた。
表に出さない感情ほど、本当は、深い。
だから、マスタングは絶対にヒューズの仇をとってやると、ヒューズを殺した奴をこの手で燃やしてやると、強く深くそう思っている。
だからきっと、荒川先生は、マスタングにエンヴィーを殺させないと思う。
復讐はスカーの役目だ。
そして復讐は何も生み出さない。
仲間を殺された怒りに、手を振り上げ、振り下ろして敵を潰せるのは、強者だけだ。
弱者は、どんなに理不尽な仕打ちを受けようとも、振り上げた手を、悔しくても悔しくても、黙って引っ込めるしか無い。
それを私たちは知っている。そしてそこに争いは起きない。
だから手を振り下ろさないで、考えなければいけない、どうすればいいのかを。
という記事を、以前読んだことがある。米国同時多発テロからまだ間もない頃に。
そんな、テーマ性とか、非暴力の勇気、なんてもんはどっかに置いておいてもだ。
殺したいほど憎い、けれども殺せない。
そっちの方が、面白い。
例えばエンヴィーの協力を仰がねば国が救えないだとか、例えば別の者にすでに殺されたあとだとか。
男で大人で軍人で国家錬金術師という強者に、溜めに溜めに溜めた怒りと復讐の拳を振り上げさせて、そして振り下ろさせない。
そっちの方が、絶対に、何倍も、面白い!
だから。
マスタングはエンヴィーを殺せないと思う。
マスタングはヒューズの仇を討てない。きっと。
そして、ヒューズは復讐なんて望んでいないだろうからそれは本当は良い結果だったんだ、なんて話もきっと無い。だって死んだ者は何も語らないんだから。
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思うのだけど。
マスタングはエンヴィーを、殺せないと思う。
マスタングの心理として殺せないのではなく。
物語の持っていき方として、殺させないのではないのかと。殺したくとも殺せない状況に、持って行くんじゃないのかな、と。
マスタングは、ヒューズの仇を取りたいと思っている。ずっと思っている。それは普段は少しも顔に出さず、だから8巻でバリーに「電話ボックスで将校を」と尋ねたとき、全て承知でついてきているホークアイでさえファルマンと顔を見合わせた。
表に出さない感情ほど、本当は、深い。
だから、マスタングは絶対にヒューズの仇をとってやると、ヒューズを殺した奴をこの手で燃やしてやると、強く深くそう思っている。
だからきっと、荒川先生は、マスタングにエンヴィーを殺させないと思う。
復讐はスカーの役目だ。
そして復讐は何も生み出さない。
仲間を殺された怒りに、手を振り上げ、振り下ろして敵を潰せるのは、強者だけだ。
弱者は、どんなに理不尽な仕打ちを受けようとも、振り上げた手を、悔しくても悔しくても、黙って引っ込めるしか無い。
それを私たちは知っている。そしてそこに争いは起きない。
だから手を振り下ろさないで、考えなければいけない、どうすればいいのかを。
という記事を、以前読んだことがある。米国同時多発テロからまだ間もない頃に。
そんな、テーマ性とか、非暴力の勇気、なんてもんはどっかに置いておいてもだ。
殺したいほど憎い、けれども殺せない。
そっちの方が、面白い。
例えばエンヴィーの協力を仰がねば国が救えないだとか、例えば別の者にすでに殺されたあとだとか。
男で大人で軍人で国家錬金術師という強者に、溜めに溜めに溜めた怒りと復讐の拳を振り上げさせて、そして振り下ろさせない。
そっちの方が、絶対に、何倍も、面白い!
だから。
マスタングはエンヴィーを殺せないと思う。
マスタングはヒューズの仇を討てない。きっと。
そして、ヒューズは復讐なんて望んでいないだろうからそれは本当は良い結果だったんだ、なんて話もきっと無い。だって死んだ者は何も語らないんだから。
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今月号を読んでいて、ロイがヒューズの一件についてどれだけ私怨を抱いているか、ひしひしと伝わってきますよね。
その辺から派生して、私もグルグル考えたてるのですが、エンヴィーを殺せないというのは、同意です!
敵は敵で倒さなければならないけれど、目的が「ヒューズの仇」っていう気持ちで殺さないで欲しい。
あの人たちは軍人だから、そんな奇麗事じゃ済まないのかもしれないけれど。
ヒューズは復讐を望んでないんだよって、どうして周りの人が誰も言ってあげないんでしょうね。そういうことを言える人がヒューズしかいなったんだとしたら、やっぱり部下でもなんでも、きっぱり言ってあげないと。みんなだってヒューズの仇をとりたい気持ちはあるだろうけれど・・・。
かなり独り善がりな記事だったので(<それはいつもだ!)、コメント頂けてすごく嬉しいです。それも真朱様に!!
今月号で、ロイの気持ちが更に強く描かれていたから、逆説的にこの記事になりました。うん、あれはきっと、荒川先生の作戦。そしてその作戦は、読者を右へ引っ張っていってさらりと左にかわして驚きを与える、という小手先ではなくて。もっと、作者が鋼をとおして読者に伝えたいことへの、布石なのではないかしら、と。
ヒューズは復讐なんて望んでいない、って、ロイは知っていると思います。「私怨」なのだと分かってて、それでもロイはロイの意思で、仇を討つと決めた。だから、周りの人の言葉には意味が無いのじゃないかしら・・・なんて、思うんですが。どうでしょう?
この記事書いたの23巻発売前ですよね?
はい。この記事はマスタングがブラッドレイに、ヒューズを殺したのは貴方か、と聞いた場面から。
でも、私の想像よりずっと、この記事に最初にいただいたコメント通りの展開で。ああ、誰もがすごく深く鋼を読んでいるんだなぁ、と思いました。