歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

アルは三度手を無くす

2006年04月20日 | ◆小ネタとか突っ込みとかつぶやきとか
「鋼の錬金術師」◆
アルは三度も手を失っている。

13巻でグラトニーに左手だけ呑まれたのは、つまり作者が左手だけ呑ませたのは、グラの腹の中のエドに「手だけ、なら本体は無事か」と判らせるため。
でも真意は、アルに手パンをさせないためだ、と、私は思った。
グラにエドが呑まれた場面、あれは「お母さん」を錬成した時の逆パターンだから。
アルに両手があったなら、アルはその手を打ち鳴らしてエドを取り戻そうとしてしまうかも、しれないから。

じゃあ。
と、私は続けて考える。
対ラスト戦でアルの右腕をもいだのは、何の意図があるんだろう。

対スカー戦でも、右腕が壊された。あの時は右足も壊れていたし、一緒に右手も取れてもおかしくないけれど。
作者は四肢を奪うのを結構やっているけれど、好んでキャラを痛めつけるタイプでもない。絵的に分かりやすい怪我として考えると、手とか足とかになるんだと思う。

でも、いくら鎧とはいえ、三度は多い。
そして、ラスト戦での腕は、やっぱりちょっと無理矢理感がある。
右腕であることも、戦闘が終えてからもげるところも、スカー戦と被りすぎてる。
それにあの後、大佐のお見舞いに外出するのに半身にカバーかけてなんて、さすがに不自然すぎると思う。

それでも、アルの手を奪わなければならなかったんだ。
アルに自分で身体を治させないために。

アルの身体はいつもエドが治す。
魂の錬成を知るのはエドだから、だけれど。
同じ真理を見たアルも、治そうと思えば治せるんじゃないの?

けれど手を奪われたアルは、自分で治そうと思いつくずっと手前で、ストップをかけられる。

だからやっぱり、アルが自分の身体を取り戻すには、「アルがアル自身を錬成する」ことが、必要なんだよ。
作者が今まで、アルにアルを治させなかったということは、逆説的にその行為が物語の鍵だということを示している。
ああ、13巻の間に、何で気付かなかったんだろう。
・・・・・・いや、あの13巻の怒涛の展開に、考察をめぐらせる余裕なんてとても無かったな。

すでに作中で示されていることだけど。
自身の人体錬成。
改めて、アルの手というアプローチから、考えてみたのでした。




けれど私は、ここまでの考察と矛盾するのだけれど、アルがエドをエドがアルを、互いを同時に錬成することで身体を取り戻すんじゃないか、と考えています。
だって、その絵を私は見たい。



トラックバック ハガレンピープル 週間ブログランキング


最新の画像もっと見る

9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです。 (anna)
2006-04-21 00:14:47
潜っていて自身のブログにすら顔を出せていないのに、のこのこと現れました。例の如く。

どうしても、同意を示したくってついお邪魔せずにはおれなくなってしまいました。例の如く。



>アルがエドをエドがアルを、互いを同時に錬成することで身体を取り戻す

そう、それは、それだけは、叶ってほしい。

だって、「アルの体を、」という兄に対し、「兄さんの腕と足もね」と付け加える、といった兄弟のやりとりがあまりに浸透しすぎているから。

自身の人体練成の可能性は示唆されているけれど、どうかラストは、どうか…、と。



久しぶりに少し語ってなんだか気持ちがいい(笑)

また潜り期間終えたらダラダラと失礼するかもしれませんがとりあえずすっきり!お邪魔しました!(笑)
返信する
コメントありがとう! (歌猫◆管理人)
2006-04-21 04:19:09
anna様こんにちは!この記事は自分でも、少々こじつけがましいなあと思っていたので(でも書きたかったんだもん!私はやっぱり兄弟が好き)、コメントいただけて嬉しいです。

というか、書いているうちに「こじつけっぽいな」って分かってきたと言うか。書くとはっきりする、書くとすっきりする、ってありますよね~。

兄弟が互いを、というのは私の理想なのだけれど、anna様からコメントいただいて、エドも一緒に手足を取り戻すにはもしかしたら最適な方法かも、と思いました。

お互いを一人の錬金術師として全幅の信頼を置いている、そういう兄弟が大好きです!

コメントありがとうございましたv
返信する
なるほどー。 (真朱薫)
2006-04-22 00:37:58
エドがグラに飲まれてしまったときの、アルの手も一緒に飲まれてしまった理由が、手パンさせないため、というのは、なるほどと思います。



そもそもエドが母親を錬成したときに持っていかれたのは左足。そしてアルのために右腕。

これがもし逆だったら、エドはアルを錬成できないんだと思って、ぞっとしました。



対スカー戦で、エドが腕を壊してしまったとき、手パン以外の錬成手段ってないの?という違和感を思い出しました。



地面に錬成陣を描いて片手を着くことで、アルを治せないのかと。



片腕がなくとも、左手で右肩に触れて、力の循環は生み出せないのかと。それだと円状にならないというのなら、左手と右足とかだっていいわけですよ。



それでは術が発動しないというのを、エドは知っているから、試してみようとさえしないわけです。



四肢を欠損させておきながら、両手・両足は必要だという設定には、なにか奥深いものがあるのかもしれません。(足については「立って進め」ということで)



このところ、成長した生アルの露出が多いので、アルは体を取り戻せるのだろうと思いますが、兄さんは機械鎧を外さないと思います。ウィンリィは手足を取り戻したら、そりゃ喜ぶだろうけども。反面、可哀相だし。
返信する
コメントありがとうございます! (歌猫◆管理人)
2006-04-22 06:32:13
真朱様こんにちは!

>両手・両足は必要だという設定には、なにか

はい。足は「立って進め」で、手は「創造・破壊」だと思います。

錬金術は錬成陣に手のひらを触れて発動する。「手」は人が何かを生み出し、あるいは破壊するための道具だから、手が無ければ錬金術が使えないのだと思います。



私は兄さんの手足も元に戻ると思ってます。

生アル露出は、劇場版が無ければやらなかっただろうなと思います。アニメ絵で生身アルがもう「特別なもの」ではなくなったから、別にいいよと出し惜しみしないだけで。

逆に、謎としてキープしておいたものは時がくるまで全く出さないじゃないですか、今の連載のアレのよーに!いやあズルイですよ上手いですよ荒川先生は!!



ウィンリィはエドの機械鎧と生身の手足なら、絶対生身の手足を選ぶ。機械鎧を愛しているからといって、機械鎧を身に付けざるを得ない人生を歓迎しているわけではない。それがエドでなくても。

機械鎧が好きなのはもちろん格好イイとか技術者魂もあるだろうけれど、それ以上に欠けた物を自分の手で補ってあげられる、誰かを助けられる、そのことに遣り甲斐を感じるから。

だからエドが手足を取り戻したらウィンリィが可哀想なんてことはありえないんだよー!兄弟&ウィンリィには語りが熱くなっちゃうんだよー!ごめんよー!



そんでさ。エドが手足を取り戻したら、機械鎧技師という建前無しに、向かい合わざるをえないじゃない?エドもウィンリィも。

そこでようやく、彼らの恋は始まるんだ。エドウィン~vvv
返信する
あぁ、そうか・・・ (真朱 薫)
2006-04-23 13:52:45
ウィンリィについては、自分の考えが浅いなぁと痛感しました。(苦笑)そりゃ、生身よりも機械鎧のほうがいいと思っているわけない>ウィンリィ



そうやって手足の重要性を刷り込む一方で、ハボックの下半身の外見ではなく機能のみを奪っているわけで(しかも機械鎧不可)、いくら殺しちゃう予定だったのが生き延びたとはいえ、このまま退場させられっぱなしだったらあまりに歯がゆいと、脳内が脱線してしまいました。どうせ脇役だが。いや、脇役だからこそ萌えなんだけども。



>そんでさ。エドが手足を取り戻したら、

>機械鎧技師という建前無しに、向かい合わざるを

>えないじゃない?エドもウィンリィも。

>そこでようやく、彼らの恋は始まるんだ。

>エドウィン~vvv



うわ、あまりの甘酸っぱさにドキドキしちゃいましたよ。青春ですね。(#^^#)

それは、非常に良いなと思いました。
返信する
おおっ (レフト)
2006-04-23 21:46:50
そういえば……そうですね!全く思いもよりませんでしたが、確かにそうですね。

 痛みを感じない鎧のアルを痛ましく描くには腕を失くさせるのが妥当だからだろう、くらいにしか考えていませんでした。

 そしてここ数日の歌猫さまのブログを通して、色んな方面の方が鋼の世界を共有しているんだな!と、とてもうれしくなっちゃいました。本当にすごいことですね。



 イディサーハただいまブクオフにて創作中ですv
返信する
改めてレスいたします! (歌猫◆管理人)
2006-04-25 10:26:49
真朱様こんにちは!

いえいえ、私もロイや軍部の考察は真朱様に及びもつかないですし。好きキャラだから色々考えたり語りったりしちゃうんですよねv



ハボの下半身不随は、本当に、すごい選択だと思いました。「形はあるのに使えない」。何てとこを突いてくるんだと。

ブレダやファルマンのような頭脳派でも、フュリーのような技術屋でもない、土嚢運びと二挺使いとショットガンのハボックに、この運命を負わせるのか!と。

鋼は基本が錬金術とゆー「アタマ良い」人の話なので、ブレダは再登場あるような気もするけど、ハボはどうだろう・・・と思います(ごごごめん;)。

ただ、ヒューズは死んでしまって決して蘇らないけれど、ハボックは生きている。生きてさえいれば可能性がある。だからやっぱり、荒川先生ハボを生かしてくれてありがとう、なのです。



そしてエドウィンは青春ですよ!!(<力説!)







レフト様こんにちは!

うん。痛ましく描くため、というのもあるかも。ただ3度って、やっぱり多いと思って、あと、対ラスト戦での腕もげについて自分なりに納得したかったというのもあって。だって「名誉の負傷だよ 恥ずかしがること無いさ」って、そんなフュリー曹長、確かに名誉の負傷だけどやっぱ奇異だよ目立つなんてレベルじゃないよ!ってツッコミたくなるんだもん(笑)



色々な方のハガレン感想を読むの、私も楽しいです。メジャー作品の力ってすごいな!って思います。

それからブログの、どんな立場の人でも基本は対等っていう所も好き。自分勝手を語りつつオープンに交流もできる、私にとって最適なツールですv



ところで「イティハーサ」ですよ~。

アマゾン↓

http://www.amazon.co.jp/gp/product/customer-reviews/4150306397/ref=cm_cr_dp_2_1/503-9700328-5261516?%5Fencoding=UTF8&s=books

2000年星雲賞漫画部門受賞作。

星雲賞の漫画セレクトはかなり私好みです。

ちなみに2005年星雲賞メディア部門ではハガレンアニメがノミネートされてました。
返信する
絡まっている兄弟。 (「ど」の字)
2006-04-26 19:07:17
 こんにちは。「ど」の字でございます。

 前回の書き込みからしばし間が開きました。



 相も変わらず、『鋼の錬金術師』、快調に飛ばしているみたいで、読者としてわくわくしています。

 と同時に、歌猫◆管理人さんの考察ブログも楽しませてもらっております。



 今回の身体の欠損から見た物語の考察、興味深く思います。

 そのような読み解き方があったとは。

 ですが作者の語りたいことから読めば、納得できることですし。

 荒川さんは(というか世の物書きはおしなべて)無意味なことを書くという事のないでしょうから、確かにそれは重要条件なのでしょう。

 この謎が解かれる時が待たれます。



 さて。

 自分的には、今回の考察を読んでいて閃いてしまったことが一つあります。



>けれど私は、ここまでの考察と矛盾するのだけれど

>アルがエドをエドがアルを、互いを同時に錬成する

>事で身体を取り戻すんじゃないかと考えています。

>だって、その絵を私は見たい。



 と述べておられますが。

 これ、大正解なんじゃないでしょうか。

 13巻において、自分で自分を練成したエドは自分と弟の【真理の扉】を見て、自分と弟の混線を確信しています。

 つまり、兄弟は今、どこかで絡まって混線したママ生きている状態なんですよね。

(つまり、もしもどちらかが死んだら……)

 この混線を解いて全き肉体を取り戻すには、兄弟は同時に人体練成を行なって、二人分の肉体を持ち寄り互いの分を取り分けて再構成する必要があるのではないでしょうか?

 ただ、アルの肉体は【真理の扉】の前で五体満足で有りますが、エドの肉体は手足一本ずつ失ったまま。

 このあたりの折り合いをどうつけるのか。

 失った手足を【真理】から取り戻せるのか。

 荒川さんの裁定から、目が離せません。



 こうやって考えていると、拒絶反応の是非についても色々と思うことが出てきますが、それはまたの機会に書き込ませていただきたく思います。

 思いつきの考察でしたが、今日はこの辺で。

 失礼しました。
返信する
改めまして (歌猫◆管理人)
2006-04-29 16:11:03
「ど」の字様、こんにちは。改めて、コメントありがとうございます。

身体部位に意味がある、は、「盲目の錬金術師」以来、徐々に形になってきた私の考えなのですが(盲目(=理性や分別を無くすこと)の錬金術師って、また、すごい重い話なんですよね、あれ)、スカーにおいても得た腕をして破壊の力とするあたり、この私の考えはあながち的外れでも無いんじゃないかしら、と思っています。



>アルがエドをエドがアルを、互いを同時に錬成することで

これは、願いとして書いたことなのですが、私も「もしかしてこれが正解じゃん?」と思い始めています。

うん、書くっていいですね!ぼやぼやと形の無いものが、はっきりと表れる。だからそれについてもっと考えることができる。

このあたりはまた、別立ての記事で語りたいなと思っています。



そうそう、アルの拒絶反応の憂慮ですが、私は血印を介して鉄に魂のを宿らせた場合は、拒絶反応は無いと思ってます。バリーだって肉体は腐っても鎧はぴんしゃんしていたし。あのまま鎧のバリーが生きていて、そのうち肉体が朽ちて消えたら、彼はどうなったのかなあ・・・。

返信する