歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

「獣神演武」という企画が、不成功に終わる理由

2007年11月04日 | ◆獣神演武
失敗ではない。
けれど、成功もしない。
理由は、「鋼の荒川」の商品であること。そして作品に「興奮」が無いこと。

1.何をもって成功っていうのか難しいけど。
失敗じゃーないよ?
だって地上波だし。
アニメ雑誌に大きく載るし、ブログでもある程度話題になってるし。
だって、モトは素人同人ネット小説で、代表作が「こいこい7」とゆー弱小アニメスタジオがよーやっと手掛けた独自作品で、マンガ版も1冊しか出ていない。
それがこんだけ話題になるんだもの。
これで、スタジオフラッグは胸を張って代表作といえる作品ができた。
大原氏は7年越しの夢が果たせた。

でも、成功でもない。
鋼放映当初、朴ろ美って、今の鈴村健一や櫻井孝宏ほどの知名度、無かったよね?大川透なんて、アニメ界ではそれまでほとんど知られていない声優だったでしょ?
さて。
それでは、鈴村氏や櫻井氏にとって、獣神は、そのキャリアに光る一点となるか?
原案グループにまで名を連ねるプロデュース会社ジェンコにとって、獣神は、誇るべき作品となるか?


2.深夜アニメ?
このアニメは、ほぼ間違い無く、夕方放送を見込んで製作されたと思うのよ。
鋼の夢を、もういちど!ってね。

で、夏コミに仕掛けて、テレビ局に売り込む。
定番?いや、王道なんです。
単純?いや、正統派なんです。
古い?いえいえ、今の子供たちにとってはかえって新鮮なんですよ。こういう話は。
ふしぎ遊戯と里見八犬伝と北斗の拳を足して10で割った感じ?ええ、ですから今度はこの「獣神演武」が、子供たちにとって新たな北斗の拳になるんですよ。
しかも鋼の錬金術師の荒川弘です。キャストは鈴村君、櫻井君をはじめ豪華にそろえました。20代から30代の女性層もがっちり掴みますよ?C、TそしてF1F2を狙える商品です。タイアップも数多く進行しています。さあいかがです?

セールストークが目に浮かぶわ~(笑)。
でも、売れなかった。
そしてヒネリもお色気も皆無なのに、深夜枠。

※後日追記
ここの記載は間違っていました。
今どき夕方枠などテレビ局が製作に名を連ねるアニメしか放映されないですものね。
テレビアニメはDVDを売るために、製作が枠を買って、流すもの。ここは「テレビ局」を、「出資者」と読み替えてください。
なお、番組提供基準額はおおまかに以下の通りだそうです。(増田弘道著「アニメビジネスがわかる」NTT出版 より)
全国ネットワークプライムタイム 月額8500万円
関東キー局(テレビ東京とか)単独の深夜枠 月額1350万円 
準キー局(テレビ大阪、テレビ愛知とか)単独の深夜枠 月額200万円
 

3.「鋼の荒川」
なんで、売れなかったと思う?
だってテレビ局出資者は、買い手だもん。私たち視聴者とおなじに。
そして。
「鋼の荒川弘」
だから、売れない。

だって、それを言ったとたん、基準値はハガレンになっちゃうもん。

基準値が高いから、実物を出されたとたん、しゅう、と心がしぼんでしまう。
ねえ?鋼と比べたら、どーしたってマイナスポイントしかつかないよ。(苦笑)

鋼と比べると、あまりにも単純で、地味で、薄味。
命の意味を問う、重さが無い。
錬金術という、目新しさが無い。
鋼の手足という、絵的なショックが無い。

最初に鋼があるから、物語にもメッセージ性を求めちゃう。
荒廃する大国とか腐敗した役人とか、ふつーなら、「ああそういう設定ね」で済むのに、「鋼の荒川」だと、つい、そこにリアリズムを探してしまう。
だから、ただキャラ動かすための設定とわかると、なーんか騙されたような後味が残る。

あとさ。
荒川弘は、所詮「鋼の荒川」なんだよ。
鋼しか、実績は無いんだ。
そして、荒川弘は、マンガ家だ。
アニメ作家じゃないんだよ。アニハガもまた荒川弘が作ったわけじゃない。BONSと水島氏と會川氏が、作ったんだ。
荒川弘が提供したのは、命の意味を問う重さと、錬金術という目新しい設定と、鋼の手足という絵的なショック。
それと、それまでに発行された単行本の、こいつは只者じゃねえ!という興奮だ。


4.「興奮」が足りない
獣神演武の単行本、発行部数少なかったよね。
売り切れで盆休みで、品切れが10日くらい続いた。
これをね、飢餓感を煽る作戦?とか深読みする方もいたけど。
ちがうよー(笑)
だって、メディアミックスって露出の戦略。「知られなければ意味が無い」。
品切れ起こしてどーすんのよ。ライトユーザーは店舗で知るのよ?ランキングにも載らないし、そしたら今月のピックアップとかにも書いてもらえないじゃん?
あれはさ、出版社がビビったんだ。
荒川弘といえど、新作。
表紙に金色使ってエンボス加工してカラー頁にして、金かけて単行本作ったはいいけど、どんだけ売れるんだ?って。

私、パワード一回、抜かしてるんだけどさ。
アニメ化発表後の、8月パワード。
それ、ブログ感想が、ほっとんど無いのよ。
アニメ化発表と単行本発売で、「えーっ、荒川弘が鋼以外もやってんの?知らなかった!」って驚きの声は結構あったのね。
だから雑誌まで追いかけた荒川弘ファンが、いなかったはず、無いじゃない?
けれど、感想が無いの。
わかる?
感想を書くって、エネルギーいるんだ。興奮しないと感想って書けない。

獣神演武という作品に、決定的に足りないもの。
それは、「興奮」。

ワクワクが、ドキドキが、無い。
それはお色気のドキドキだっていいんだ。バカ話のワクワクだっていいんだ。
中身なんか無くたって、興奮はさせられる。
アニメもマンガもゲームも、娯楽は全て、その目的は「興奮」じゃないか!


5.「獣神演武」の商品価値
「鋼の荒川」は、宣伝文句。
だから、キャッチはする。
でも、リピートを呼ぶのは「鋼の荒川」ではない。「獣神演武」だ。

なぜ、出版社は初版部数を絞った?
一番最初にスタートしたマンガというメディアで、すでに消費者の感覚に触れていた出版社は、「獣神演武」という作品に、売り手として自信が持てなかったから。違う?
いやそれ以前に、一人のマンガ読みとして、「こいつは絶対面白い!絶対売れる!」と叫ぶ人が、いなかった。そうでしょう?

たぶん、「鋼の荒川」というキャッチコピーを取り払ったあとの「獣神演武」の商品価値は、最初に刷られた単行本の数なんだと思う。

それでももちろん、荒川弘ファンでかつ獣神演武が好きって人もいる。荒川絵が動くだけで幸せな人もいるし、荒川モノなら全て揃えたい人もいる。
私、そゆのも、いいなって思う。
それから、やっぱり武侠だからイイ!って人もいる。
鋼は買ったことないけど獣神は買ったって人もいる。分かりやすい話で好きって人もいる。

荒川弘だから買う人がいる。
作品を愛する人がいる。
だから、失敗じゃあ無い。

でも、「鋼の荒川」だから金になる、と飛びついた人たちにとって、決して成功にはならないだろう。



歌猫短期集中連載獣神記事。今回は話題があちこち飛んじゃったんで(だって書きたいこと多くてさ~(笑))ちょこっと章分けしてみました。
そして次回が最終です。「そして漫画はとりのこされる」
だんだん、口調がサクサクあっさりで無くなってまいりましたが(苦笑)、いや頑張るぞ!


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私がテレビ版を見るわけ (大沢大和)
2007-11-04 16:10:44
私は、漫画版の「獣神演武」は見てません。
荒川先生らしいけど、「水滸伝」風なのであまり興味を持たなくて・・・。
アニメ版は週1だし、大好きなラジオ番組の後だから見ている。その間に某アニメの再放送がやっているけど、それは全く興味なしだからみない。まあ、荒川先生が大好きだから見ているだけですが・・・。
アニメ版は全く荒川先生のよさが生きていない感じがする。ギャグの要素が抜けお落ちているし、それがあっての生きる作品(荒川作品)だと思う。
私の場合は、素人時代から大好きだった事もあり、とても嬉しいが「荒川弘」で商売をしょうとしている人間には全く興味はないので、ゲーム版とかは買う予定はない。
今は、冷静な気持で作品を見るだけです。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-11-05 00:02:42
大沢大和様こんにちは。
おお!素人時代からご存知なのですか!それはいいなあ~。
じゃあ、獅子獣神の頃もご存知なのでしょうか?
荒川先生のギャグはいいですよね!ネタ以上にタイミングがいい。そのリズム感は天性のものなんだろうな、って思います。プラス、サービス精神。
冷静な気持ちでアニメを観ていて、どうですか?獣神って。
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う~ん・・・・ (大沢大和)
2007-11-07 12:29:11
素人時代を知っていると言っても、某雑誌投稿時代によく似ている作風の人がいるだけで、本人とは確定してない(この雑誌の元読者達は間違いない思っているが・・・)。獅子獣神の事は知りません・・・。
事実なのはその投稿雑誌の廃刊直後に、某大賞受賞した事とその雑誌があった頃は「荒川弘」と言う漫画家が存在しない事・・・。ちなみに、この投稿雑誌の事は「インタネット辞書」には載ってません。
あくまでも、推測ですが、高橋弥七郎先生も某投稿雑誌の投稿者かも・・・。よく似た、PNの投稿者がいたもので・・・。
「ハガレン」のアニメ版よりはクオリティーは数段落ちている感じ。それ以上のコメントは・・・・。
一応、「大沢大和」と言うタイトルでブログをかいてます・・・。もし、勇気があるなら見てください、競馬、横浜ベイスターズが中心のやつなので・・・。
「ハガレン」の第1巻のカバー裏のイラストを「1984」と呼んでいる大沢大和でした・・・・。理由はブログ内の同門対決(8月19日)に書いてます。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-11-08 04:51:03
大沢大和様こんにちは。
ああ、ゲーム雑誌の投稿常連さんだったそうですね。エドモント荒川とかいうPNで。あと競馬雑誌だか新聞だかにイラスト描いたりのバイトもしてたとか。それかしら?
ブログ拝見しました!ごめん、8/19のネタはわかんなかった…;単行本を持っていないので(でも読んでる)、カバー裏がどんなんだったか覚えていないのです(汗
コメントありがとうございました!
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違います・・・ (大沢大和)
2007-11-14 13:00:41
勘違いしてます・・・。
僕は、インターネット辞典には載ってないと書いたはず。
僕が読んでいて、荒川弘先生と思っている人物が投稿していたのは、歴史ものです・・・。某ゲーム会社が出していたんです・・・。ちなみに、PNも違ってます・・・。
で、何故、荒川先生と思っているのかと言うと、作風がほとんど似ている上に、アシの中に「その雑誌」の投稿者がそのままのPNで名前が表記されていたりしている為です・・・。単行本で確認できたのは、レギュラーのアシが1人とゲスト参加のアシが2人程度・・・、当時のPNで確認されてます・・・。
「ハガレン」の第1巻のカバー裏のイラストは、エドが、ロイ・マスタングとアル捕まっているやつなんですが・・・、僕の中学の先輩に「ますだおかだの増田さん(本名 増田英彦)と中川家」がいるのですが、3人を順に並べるとイラストに似ていると思ったので3人がそろって在籍していた年が1984年だったので「1984」と読んでます・・・。ちなみに、学年の順序も増田さん・中川家(兄)・中川家(弟)になります・・・。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-11-15 06:17:17
大沢大和様こんにちは。
そうですか、荒川先生も昔は普通に色々な雑誌に投稿する一般人だったんですねー。それが、今はこんなにすごい作家に。
荒川先生のアシさんは歴史好きだったり三国志好きだったり、渋いですよね(笑)。うん、「好き」があるのはいいことだ!(笑)
コメントありがとうございました。
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