
七月おおかぶき
〈四代目さかたとうじゅうろう襲名披露興行〉
【昼の部】
序幕 すみよし鳥居前の場
二幕目 つりぶね三婦内の場
大詰 長町うらのば
だんしちくろべえ とうじゅうろう
一寸とくえもん にざえもん
だんしち女房おかじ ときぞう
傾城ことうら たかたろう
三婦女房おつぎ たけさぶろう
三河屋ぎへいじ だんしろう
釣船三婦 がとう
とくべい女房お辰 きくごろう
説明を読むと、大坂・堺の長屋裏で実際に起こった殺人事件をもとにした作品だそうです。
なつまつりといっても、舞台は張るから始まります。
桜の咲く中、だんしちくろべえは女将から解放されます。
とくべえ(にざえもんさん)も出てきて心は沸き立つのですが、少し今回は省かれた場面が多かったように思います。
ようはにざえもんさんをもっと見てみたかった…
単なる客のわがままですね…
本物の泥と水を使っておられ、迫力もありましたと書いておきましょうか…(笑)
今回ぎへいじ役はだんしろうさん。
以前に観た笹野たかしさんがあまりにもはまり役で、脳裏に焼きつくような地獄絵を作ってしまわれただけに、今回だんしろうさんはかなりやり辛い点があられたのではないかとお察しいたしております。
だんしろうさんのぎへいじも品があって上品でよかったです…
私の悪い癖で、このぎへいじ役をにざえもんさんかさだんじさんがやられても、それはそれでまた素晴らしい舞台になったのでしょうかなんてふと感じてしまいます。
「悪い奴でも舅は親」
の台詞は好きで、心の中でいっしょに言っておりました。
凄惨な殺人を見得や立ち回りを使って様式美で表現する最後の場面もカブキを観たという満足感を感じます。
今回もとうじゅうろうさんの襲名披露ということもあり、とうじゅうろうさんの演技の細やかさが好きでした。
節々にとうじゅうろうさんの品のある艶やかな表情が見え、また手も動きも細やかで、素敵な演技をなさっておられ、私たちを楽しませてくださいました。
あの感情移入した彼の技は大好きです。
最後の花道を去るシーンも、彼の細やかさが出ていて入ってしまわれた後も名残惜しく、ずっと観ておりました。
かんざぶろうさんの『なつまつりなにわかがみ』も好きですが、やはりとうじゅうろうさんもうまい。
お二人の『なつまつりなにわかがみ』はまた別のもので、比較することはできないように思われます。
ただかぶきらしさを求めるのであれば、とうじゅうろうさんの方がかぶきらしいといえるかもしれませんが、お二人ともに舞台としてとても満足のいくものでした。
今回の『なつまつりなにわかがみ』はかなり省かれている場面が多かったので残念でした。
続きを見たいと感じ、後に残された下駄が痛々しげで悲しく感じられたのは私だけでしょうか…
続きが気になるほど楽しませていただいた演目に感謝いたしております。
ああ、楽しかった…
最後になりましたが、今回の釣船三婦役のがとうさんの河内弁(?)が素晴らしい。
自然で迫力があり、きれときっぷもよく、見事でした。
さぁすが、がとう兄ちゃん!
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