お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

魔法の10ポンド

2009-11-09 | from Silicon Valley

出典: "Child Obesity" ZDNet Healthcare

秋風が冷たさを増すと野生のリス達がいかにも忙しそうになります。冬にそなえてとにかく食べるんです!ドングリや松の実などを、どこでもここでも、庭でも公園でも道端でも、とにかく朝から晩までせっせ、せっせと食べつづけています。

リスだけではありません。秋から冬のこの時期はアメリカ人もとにかく「食べるのに忙しい」季節です。ハロウィンのチョコレートからはじまって、家族揃って一日中ご馳走を食べ続けるサンクスギビング、そしてクリスマスから新年まで続くパーティ!パーティ!パーティ!

困ったことに、社交で食べる美味しいご馳走はダイエットの大敵!楽しいおしゃべりに興じながら大勢で食べるディナーでは、思わず知らずついつい食べ過ごし、あるいはお付き合いで食べることに。そんなこんなで、秋冬のホリデーシーズンにアメリカ人は平均10ポンド(4.8kg)太ると言われています。いつのまにやら気がつかないうちについていた‥‥というわけで「魔法の10ポンド(Magic 10Lb)」。実はこれ、20年前には魔法の5ポンドと言われ、10年前には魔法の7ポンドと言われていたのですが、年を追うごとに増加する体重もインフレ気味。

肥満が健康をむしばむこと、心臓病や糖尿病の原因となり、ある種のがんの誘因ともなることは、今日ではよく知られています。肥満防止が予防医療の最大課題のひとつとなっているのはそのため。ところが、医学研究の最先進国で予防医療の研究でも世界をリードしているアメリカが、一方では「肥満大国」として世界に名高いのは実に皮肉なことです。

ちなみにアメリカではBMI30以上を肥満と定義しています(日本をはじめとする諸外国では通常BMI25以上が肥満)。そう、肥満の定義、統計指標の基準値を変えなければならないほど太っているのがアメリカ人なのです。

最近の20年間、1980年代半ばから今日までに、アメリカ人の肥満度は劇的なまでに急速に進みました。CDC(米国連邦保健局)のHPには、1985年から2008年までのアメリカ人の肥満度の州別の年次変化が一目でわかる色分け地図が掲載されていますので、ぜひご覧ください。もともと肥満度の低い州は薄いブルー、肥満度が上がるにつれて濃いブルーに、それからオレンジがかった赤に、そしてワインレッドに近い赤にと変化します。地図をアニメーション表示にして年次変化をみると、ブルーだった地図がだんだん赤くなり、ついには真っ赤に塗りつぶされる変化が一覧でき、まさにアメリカ人が「どんどん太っている」ことが実感できます。

2008年現在、BMI30以上の肥満者が州民総人口の25%未満であるとみなされている州は、全米でただ一つコロラド州だけ。でも、こんなアメリカでも、1990年には肥満者が人口の20%(25%ではありません)を超えている州はひとつもなかったのです。

肥満者の人口比率が高い州は明らかに糖尿病患者が多い、ということを示した統計資料もあり、同じくCDCのHPで公開されています。

目下議会で熱い議論が展開されていますが、オバマ大統領の医療改革は明らかに予防医療を重視していますので、肥満問題への対応がアメリカの行政課題となる日も遠くないかもしれません。





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